なぜ「不正ログインログの定期確認」がセキュリティ対策になるのか
まず大事な前提から。
セキュリティは「設定して終わり」ではなく、「ちゃんと見続ける」ことで強くなります。
強力なパスワード
2段階認証
ログイン試行回数制限
こういった対策はすべて大事ですが、
それでも「攻撃されていないかどうか」は、実際にログを見ないと分かりません。
不正ログインログの定期確認は、ざっくり言うと、
今この瞬間、どれくらいログイン攻撃を受けているのか
どんなユーザー名が狙われているのか
どのIPや国から攻撃が来ているのか
を“目で把握する”行為です。
これは、プログラミングで言えば「ログを見てバグの兆候をつかむ」のと同じで、
セキュリティにおける「監視」と「早期発見」の役割を担います。
「不正ログインログ」とは何を指しているのか
失敗したログイン試行の記録
不正ログインログというのは、主に次のような情報を含むログのことを指します。
いつ(日時)
どのIPアドレスから
どのユーザー名で
ログインを試みて
成功したのか、失敗したのか
特に重要なのは「失敗したログイン試行」です。
例えば、こんなログが並んでいたとします。
2016-02-08 19:10 IP: 203.0.113.10 user: admin result: failed
2016-02-08 19:10 IP: 203.0.113.10 user: admin result: failed
2016-02-08 19:10 IP: 203.0.113.10 user: admin result: failed
これは、同じIPから「admin」というユーザー名で、
短時間に何度もログインを試している、ということを意味します。
こういうログが大量にある場合、
それはほぼ間違いなく「総当たり攻撃(ブルートフォース)」です。
プラグインやサーバーログが記録してくれる
不正ログインログは、次のような場所に残ることが多いです。
ログイン試行回数制限系プラグインのログ画面
セキュリティプラグインのイベントログ
サーバーのアクセスログ(Apache / Nginx)
初心者のうちは、
「WordPress の管理画面から見られるログ(プラグインのログ)」を使うのが現実的です。
何を見れば「危ない兆候」に気づけるのか
同じIPからの大量の失敗
一番分かりやすいのは、
同じIPアドレスから
短時間に
同じユーザー名(またはいろいろなユーザー名)で
何十回も失敗している
というパターンです。
これは典型的な総当たり攻撃で、
パスワードを片っ端から試している
あるいはいろいろなユーザー名を試している
という状態です。
こういうログが毎日のように大量に出ているなら、
ログイン試行回数制限がちゃんと効いているか
2段階認証を導入すべきか
ログインURL変更やIP制限を検討すべきか
といった「次の一手」を考える材料になります。
存在しないはずのユーザー名が狙われている
ログを見ていると、こんなユーザー名で攻撃されていることがあります。
admin
test
user
info
もしあなたのサイトに「admin」というユーザーがいないなら、
これは「よくあるデフォルトユーザー名」を機械的に試している攻撃です。
逆に、
実際に存在するユーザー名
しかも管理者権限を持っているユーザー名
が頻繁に狙われているなら、
そのユーザーのパスワード強度や2段階認証の有無を、
真剣に見直すべきサインです。
特定の時間帯だけ異常に多い試行
例えば、
深夜2〜4時だけ、急にログイン失敗が増える
特定の日だけ、普段の10倍の試行がある
といったパターンもあります。
これは、
ボットネットによる一時的な攻撃
特定のキャンペーン的な攻撃波
である可能性があります。
こういう「波」が見えるようになると、
そのタイミングでサーバー負荷が上がっていないか
他の不審な動き(ファイル改ざんなど)がないか
を合わせて確認する、という発想が持てるようになります。
例題:ログを見て「次のアクション」を決める流れ
例1:毎日 admin で大量に失敗している
ログを見たら、こんな状態だったとします。
毎日、世界中のIPから
ユーザー名 admin で
数十〜数百回のログイン失敗
この場合、まず考えるべきは、
admin というユーザーが存在していないか確認する
もし存在しているなら、ユーザー名を変更するか、別ユーザーに権限を移して削除する
ログイン試行回数制限プラグインが入っているか確認する
という流れです。
「admin というユーザーを使わない」は、
ログイン攻撃の難易度を一段上げる、基本的な対策です。
例2:特定のIPから集中的に狙われている
ログを見たら、
同じIPから
短時間に数百回のログイン失敗
というパターンが見つかったとします。
この場合は、
そのIPを一時的にブロックする(セキュリティプラグインやサーバー側の設定)
同じIPから他の不審なアクセス(wp-admin 以外)がないか確認する
といったアクションが考えられます。
ここで大事なのは、
「ログを見て初めて、そのIPが問題だと気づける」
という点です。
ログを見ていなければ、
「なんか最近重いな」で終わってしまうかもしれません。
なぜ「定期的に」見ることが重要なのか
一度だけ見るのでは「変化」が分からない
ログは「一瞬の写真」ではなく、「時間の流れ」を見るためのものです。
今日だけログを見ても、
それがいつも通りなのか
それとも異常に多いのか
は分かりません。
例えば、
普段は1日に10件くらいの失敗
ある日突然、1日に500件になった
という変化は、
「定期的に見ている人」にしか気づけません。
「平常時のノイズ」を知っておくと、異常が分かる
正直に言うと、
WordPress サイトは「何もしなくても」世界中からログイン攻撃を受けます。
1日数件〜数十件の失敗ログは、
もはや「ノイズ」と言ってもいいレベルです。
だからこそ、
自分のサイトの“平常時のノイズ”がどれくらいか
を知っておくことが大事です。
それを知っていれば、
「今日はいつもより桁が違うな」
「このIPだけ異常に多いな」
といった異常に、すぐ気づけるようになります。
プログラミングの感覚で捉える「不正ログインログの定期確認」
これは「ログを読む習慣」をセキュリティに応用する話
開発者として、
エラーログ
アクセスログ
アプリケーションログ
を読むことは、バグ調査や性能改善の基本ですよね。
不正ログインログの定期確認は、
その「ログを読む習慣」を、
セキュリティの文脈に持ち込んだものです。
コードのバグの兆候をログから見つけるように、
攻撃の兆候をログから見つける。
これは、ツールやプラグインだけでは代替できない、
「人間の目と感覚」が活きる部分です。
「設定して終わり」から「見て考える」へ
セキュリティプラグインを入れるだけでは、
攻撃を自動でブロックしてくれる
でも、どれくらい攻撃されているかは分からない
という状態になりがちです。
ログを定期的に見るようになると、
自分のサイトがどんな攻撃を受けているか
どの対策が効いていそうか
どこを強化すべきか
を、自分の頭で判断できるようになります。
これは、
「ただのWordPressユーザー」から
「自分のサイトのセキュリティを設計・運用するエンジニア」への一歩です。
まとめ:ログを見ることは「攻撃されている現実」を直視すること
「不正ログインログを定期確認」というテーマの本質は、
自分のサイトがどれくらい狙われているかを、数字と事実で把握する
そのうえで、必要な対策や強化ポイントを考える
という、セキュリティ運用の“目”を持つことです。
一度、セキュリティプラグインやログ機能を開いて、
直近1週間のログイン失敗ログを眺めてみてください。
「思ったより攻撃されているな」
「このユーザー名、狙われすぎでは?」
と感じたら、それはもう立派な“気づき”です。
そこから、
ユーザー名の見直し
パスワード強化
2段階認証
IP制限やログインURL変更
といった次の一手を、あなた自身の判断で選べるようになっていきます。


