Python | 「通常の制御（break/return）」と「本当に異常なケース（例外）」の使い分け

プログラミング初心者が混乱しやすいのが、「break や return で処理を止める」場合と「例外で処理を止める」場合の違いです。
実務では「普通の流れ」と「異常な流れ」を分けて書くことが大事です。

1. 通常の制御（break / return）

• 目的: 「処理の流れを整理する」ために使う。
• 例: 探索が終わった、条件を満たした、もう続ける必要がない。
• 特徴: 想定内の動き。プログラムの正常な一部。

例題: リストから値を探す

nums = [1, 3, 5, 7, 9]
target = 5

for n in nums:
    if n == target:
        print("見つかった:", n)
        break  # ← 正常な終了
else:
    print("見つからなかった")

nums = [1, 3, 5, 7, 9]
target = 5

for n in nums:
    if n == target:
        print("見つかった:", n)
        break  # ← 正常な終了
else:
    print("見つからなかった")

👉 「見つかったら break」「最後までなければ else」 → これは正常な流れ。

2. 本当に異常なケース（例外）

• 目的: 「想定外の事態」を扱う。
• 例: ファイルが存在しない、ネットワークが切れた、ゼロで割った。
• 特徴: 普通の処理ではない。プログラムが続けられない「エラー」。

例題: ファイルを開く

try:
    with open("data.txt") as f:
        content = f.read()
        print("読み込み成功")
except FileNotFoundError:
    print("ファイルが見つかりませんでした")

try:
    with open("data.txt") as f:
        content = f.read()
        print("読み込み成功")
except FileNotFoundError:
    print("ファイルが見つかりませんでした")

👉 「ファイルがない」というのは想定外 → 例外で処理を止めて、エラー対応。

3. 使い分けの考え方

4. 例題で比較

正常な制御（return）

def find_even(nums):
    for n in nums:
        if n % 2 == 0:
            return n  # 最初の偶数を返す
    return None  # なければ None

def find_even(nums):
    for n in nums:
        if n % 2 == 0:
            return n  # 最初の偶数を返す
    return None  # なければ None

👉 偶数があるかどうかは「想定内」なので return で処理。

異常な制御（例外）

def divide(a, b):
    if b == 0:
        raise ZeroDivisionError("ゼロでは割れません")  # 異常
    return a / b

try:
    print(divide(10, 0))
except ZeroDivisionError as e:
    print("エラー:", e)

def divide(a, b):
    if b == 0:
        raise ZeroDivisionError("ゼロでは割れません")  # 異常
    return a / b

try:
    print(divide(10, 0))
except ZeroDivisionError as e:
    print("エラー:", e)

👉 「ゼロで割る」は想定外 → 例外で処理を止める。

5. 初心者向けまとめ

• break / return → 正常な流れの中で「もう終わり」「結果が出た」ときに使う。
• 例外（try/except） → 想定外のエラーや環境依存の問題に使う。
• 実務の鉄則: 「普通の分岐は break/return」「異常は例外」で分けるとコードが読みやすくなる。

💡 つまり「例外は非常口、break/return は通常の出口」。
この違いを意識すると、コードの意図がはっきりして読みやすくなります。