概要
INTは「数値を整数に切り下げ(負の方向へ)る」関数です。四捨五入ではありません。正の数は小数を捨てて小さい整数に、負の数は“より小さい(絶対値が大きい)”整数へ切り下がります。四捨五入して整数にしたい場合はROUND(桁数=0)、0方向へ小数を捨てたい場合はTRUNCを使います。
基本の使い方
- 書式:
- 数値: 整数化したい値(セル参照や計算結果も可)
=INT(数値)
- 正の数の例(小数切り捨て):
=INT(12.99) // 12
- 負の数の例(負方向へ切り下げ):
=INT(-12.01) // -13
- セル参照の例:
=INT(A2)
具体例
- 例1: 単価×数量の“整数部”だけ使う
- ポイント: 端数を必ず下げたい見積などに有効(負の値が混じるとより小さい方へ下がる点に注意)。
=INT(B2*C2)
- 例2: 時間(h)から“丸めなしの時間数”を取り出す
- ポイント: 1.75h → 1h。分単位は別途
=MOD(D2,1)*60等で計算。
- ポイント: 1.75h → 1h。分単位は別途
=INT(D2)
- 例3: 税額を常に控えめに計算したい(表示用)
- ポイント: 端数を切り下げて見積に使う。精算ではルール確認を。
=INT(E2*0.1)
- 例4: 連番の“グループ分け”(10ずつの階級)
- ポイント: 0〜9→0、10〜19→1…とグループIDを作れる。
=INT(A2/10)
よくあるつまずきと対策
- 四捨五入だと誤解しがち
- 対策: 四捨五入の整数はROUNDを使う。
=ROUND(A2, 0)
- TRUNCとの違いが分かりづらい
- 説明: TRUNCは0方向へ小数を切り捨て、INTは負方向へ切り下げ。
- TRUNC(-12.01) → -12
- INT(-12.01) → -13
- 説明: TRUNCは0方向へ小数を切り捨て、INTは負方向へ切り下げ。
- 負数の挙動に驚く
- 説明: INTは“常に負方向”へ。会計などで負数の扱いがある場合はTRUNCやROUNDとの使い分けを。
- 表示形式と値の丸めを混同
- 説明: セルの表示形式で見た目が整数になっても、値は丸まらない。計算に使うならINT/ROUND/TRUNCを式に適用。
関連関数の使い分け
- 四捨五入で整数にしたい(標準丸め)
=ROUND(数値, 0)
- 0方向へ小数を捨てたい(符号に依存せず)
=TRUNC(数値)
- 常に上方向へ整数化したい
=ROUNDUP(数値, 0)
- 常に下方向へ整数化したい(INTと同様、ただし桁数指定ならROUNDDOWN)
=ROUNDDOWN(数値, 0)
応用テンプレート
- 金額の概算(常に控えめ)
=INT(SUM(B2:B10))
=INT(SUM(B2:B10))
- 10刻みの階級に割り当て(ID作成)
=INT(A2/10)
=INT(A2/10)
- 時間の時・分を分割(h表記)
時:
=INT(D2)
分:
=ROUND((D2-INT(D2))*60, 0)
- 負数を“0方向”に切り捨てたい(INTだと下がり過ぎる場合)
=TRUNC(A2)
=TRUNC(A2)
練習問題
- 問題1: A2の値をINTで整数化し、A3に表示してください。
- 解答例:
=INT(A2)
- 問題2: B2が負の可能性あり。0方向に小数を捨ててB3に表示してください(INTとの差を確認)。
- 解答例:
=TRUNC(B2)
- 問題3: C2の値を“四捨五入で”整数にしてC3に表示してください。
- 解答例:
=ROUND(C2, 0)
- 問題4: D2の時間(h)から時だけ取り出してE2に、分をF2に表示してください。
- 解答例:
=INT(D2)
=ROUND((D2-INT(D2))*60, 0)
まとめ
- INTは切り下げ(負方向): 正は小数切り捨て、負はより小さい整数へ
- 目的で選ぶ: 四捨五入=ROUND、0方向=TRUNC、常に上=ROUNDUP、常に下=ROUNDDOWN/INT
- 表示と値は別: 計算に使うなら関数で整数化する
