className とは何か
className は、要素の class 属性（CSS クラス名の一覧）を「文字列として」読み書きするためのプロパティです。p, div などの要素に対して、クラスをまとめて設定したり、現在のクラス名を取得できます。ここが重要です：className は“文字列まるごと”を扱うため、上書きが基本。部分的な追加・削除には向いていません。
基本の使い方（読み取り・書き込み）
現在のクラスを読む
<div id="box" class="card highlight"></div>
<script>
const box = document.getElementById("box");
console.log(box.className); // "card highlight"
</script>
className は今付いているクラス名をスペース区切りの文字列で返します。分割して扱いたいなら文字列を split します。
クラスを丸ごと設定する
<div id="box"></div>
<script>
const box = document.getElementById("box");
box.className = "card highlight"; // まとめて付ける
</script>
ここが重要です：className に代入すると“既存のクラスを全て置き換え”ます。追加だけのつもりでも、他のクラスを消してしまう事故が起きがちです。
複数クラスの扱い（文字列としての注意点）
追加・削除・判定を文字列でやると壊れやすい
<div id="box" class="card"></div>
<script>
const box = document.getElementById("box");
// 文字列連結で追加（スペース忘れの事故が起きやすい）
box.className += " highlight"; // OK
box.className += "hidden"; // NG: "highlighthidden" になってしまう
// 判定も文字列検索だと不正確になりがち
const hasHighlight = box.className.includes("highlight"); // "super-highlight" でも true になる
</script>
ここが重要です：className は“生の文字列”。スペースや部分一致の罠が多く、追加・削除・判定には不向きです。細かい操作が必要なら classList を使うのが定石です。
classList との使い分け（上書きか、部分操作か）
className（まとめて上書きしたいとき）
- 一度に「このクラス群にしたい」という意図が明確。
- サーバーやテンプレートから受け取った固定の文字列をそのまま適用。
el.className = "card is-active theme-dark";
classList（部分的な追加・削除・切り替え）
- add/remove/toggle/contains で安全に操作できる。
- スペースや部分一致の罠がない。
el.classList.add("is-active");
el.classList.remove("hidden");
el.classList.toggle("selected", condition);
ここが重要です：普段の UI 制御は classList が基本。className は「全置換したいときだけ」に限定すると事故が減ります。
実践パターン（className を安全に使うコツ）
既存クラスを保ったまま“テーマだけ”置き換える
<div id="box" class="card theme-light"></div>
<script>
const box = document.getElementById("box");
const classes = box.className.split(/\s+/).filter(Boolean);
// 既存から theme-* を除去
const next = classes.filter(c => !/^theme-/.test(c));
// 新テーマを追加
next.push("theme-dark");
box.className = next.join(" ");
</script>
ここが重要です：className を使いつつ部分的に変更したいなら、“配列化→加工→再結合”のパターンで意図を明確に。正規表現で対象グループを絞ると安全です。
状態セットを一括で適用する（“全置換”が正しい場面）
<button id="btn" class="btn"></button>
<script>
const btn = document.getElementById("btn");
function setState(state) {
// 状態に応じて完全なクラスセットを決める
if (state === "loading") btn.className = "btn is-loading";
else if (state === "success") btn.className = "btn is-success";
else btn.className = "btn";
}
setState("loading");
</script>
ここが重要です：状態マシンのように「クラスの正解集合」を常に再設定するなら className が向いています。差分を考えず“いつも正解にする”設計は読みやすく、ズレません。
命名と設計の深掘り（クラスは“意味”を持たせる）
見た目と役割を分ける
- 見た目（色・余白）は CSS のユーティリティやテーマクラス。
- 役割（状態・意味）は is-active, is-error, is-loading のようなプレフィックスで明確に。
<button class="btn is-active theme-dark">保存</button>
ここが重要です：クラスは“意味のラベル”。JS は状態クラスだけを触り、テーマやレイアウト系は触らない。責務分離で保守性が上がります。
競合と衝突を避ける命名
- コンポーネント名の接頭辞（card-, menu-, modal-*）で範囲を示す。
- 正規表現でグループ削除するときに判定しやすい命名にする。
ここが重要です：命名が整理されていれば、className の一括置換でも安全に扱えます。
例：ドロワーの開閉（classList と className の併用）
<button id="toggle" class="btn">開く</button>
<aside id="drawer" class="drawer is-hidden theme-light">内容</aside>
<script>
const toggle = document.getElementById("toggle");
const drawer = document.getElementById("drawer");
toggle.addEventListener("click", () => {
// 開閉は部分操作（classList）
const hidden = drawer.classList.toggle("is-hidden");
toggle.textContent = hidden ? "開く" : "閉じる";
// テーマ切り替えは全置換（className）
const base = "drawer";
drawer.className = `${base} ${hidden ? "theme-light" : "theme-dark"} ${hidden ? "is-hidden" : ""}`.trim();
});
</script>
ここが重要です：動的状態は classList で差分更新、テーマセットは className で“正解集合”を常に再適用。どちらが適切かを役割で分けると、コードが明確になります。
まとめ
className は「クラス一覧を文字列で丸ごと扱う」ためのプロパティで、全置換・一括適用に向いています。追加・削除・判定の細かい操作は classList が安全で確実。className を使うときは、配列化してから加工する、正規表現で対象グループを絞る、状態の正解集合を毎回再設定する——この設計を意識すると事故が減ります。クラスは“意味のラベル”。JS は状態だけを触り、見た目は CSS に任せる。役割を分けて使いこなせば、初心者でも読みやすく壊れにくい UI を作れます。
