概要
「指数関数っぽい増え方・減り方を扱いたい」「e を底にした対数(自然対数)を使いたい」
そんなときに登場するのが LN 関数(自然対数) です。
LN 関数は、
「定数 e(約 2.71828)を底とする対数=自然対数」を返す関数です。
ざっくり言うと、「e を何回掛けたらその数になるか?」を教えてくれる関数です。
LN 関数の基本
書式と意味
=LN(数値)
数値:自然対数を求めたい正の実数(セル参照や計算式でもOK)
例としては、次のような動きになります。
=LN(86) ' 86 の自然対数 → 約 4.4543
=LN(2.7182818) ' e の自然対数 → 1
=LN(EXP(3)) ' e の 3乗の自然対数 → 3
自然対数とは、「底が e の対数」のことです。
e は約 2.71828… という特別な定数で、指数・対数・微分積分など、数学や統計・物理で頻繁に登場します。
LN を使うときの注意点
正の数しか受け付けない
LN 関数の引数(数値)は、必ず正の実数 である必要があります。
- 0 以下の数値を渡すと
#NUM!エラー - 数値以外(文字列など)を渡すと
#VALUE!エラー
という動きになります。
=LN(0) ' → #NUM!
=LN(-5) ' → #NUM!
=LN("A") ' → #VALUE!
「自然対数は正の数にしか定義されない」という数学のルールが、そのまま Excel にも反映されています。
EXP 関数との関係(逆関数)
LN は EXP 関数の逆関数 です。
EXP は「e のべき乗」を計算する関数で、
LN は「その結果から元の指数を取り出す」イメージです。
=EXP(1) ' e ≒ 2.71828...
=LN(EXP(3)) ' e^3 の自然対数 → 3
=EXP(LN(42)) ' 42 の自然対数をとってから e のべき乗に戻す → 42
このように、
「EXP → LN」で行ったり来たりできる関係になっています。
実務でのイメージと使いどころ
指数的な成長・減衰の分析
自然対数は、指数関数的な増え方・減り方を扱うときにとても相性が良いです。
例えば、
「ある値が時間とともに e を底にした指数関数で変化している」といったモデルでは、
LN を取ることで「直線的な関係」に変換でき、分析しやすくなります。
- 経済・金融:利率や成長率の分析
- 物理:減衰現象(放射線、電気回路など)のモデル化
- 統計・データ分析:対数変換による分布の整形
といった場面で、LN はよく使われます。
対数変換(データのスケール調整)
「値のばらつきが大きすぎる」「指数的に増えるデータを扱いたい」とき、
データに LN をかけて「対数スケール」に変換することがあります。
=LN(A2)
A2 に元データが入っているとして、
LN を取ることで「増え方の感覚」が変わり、グラフや回帰分析が扱いやすくなることがあります。
コード例・テンプレート
単純に自然対数を求める
=LN(A2)
A2 に入っている正の数値の自然対数を求めます。
e の自然対数(結果は 1)
=LN(EXP(1))
EXP(1) は e、その自然対数は 1 です。
EXP と LN で元の値に戻す
=EXP(LN(A2))
A2 が正の数なら、結果は A2 に戻ります。
LN と EXP が逆関数であることを確認する典型的な書き方です。
例題
問題1
A2 に「86」が入っています。
この値の自然対数を求める式を書いてください。
=LN(A2)
(ヒント:=LN(86) の結果は約 4.4543 です。
問題2
定数 e(ネイピア数)の自然対数を求めたいとします。
EXP 関数を使って e を表現し、その自然対数を求める式を書いてください。
=LN(EXP(1))
(結果は 1 になります。
問題3
A2 に正の数値が入っています。
この値に LN をかけてから、EXP で元に戻す式を書いてください。
=EXP(LN(A2))
(LN と EXP が逆関数であることを確認するイメージです。
問題4
A2 に「0」または負の数が入っている場合、=LN(A2) を計算するとどうなるか、エラーの種類を答えてください。
0 以下の数値を LN に渡すと、自然対数が定義されないため #NUM! エラーになります。
問題5
A2 に「正の数値」が入っています。
この値の自然対数を求め、その結果を別のセルで指数関数として使いたいとします。
LN と EXP を組み合わせて「元の値に戻す」式を書いてください。
=EXP(LN(A2))
(LN で対数を取り、EXP で元のスケールに戻す流れです。
