概要
CEILINGは「指定した倍数（刻み）に切り上げる」関数です。時間の15分刻み、数量の50単位刻み、金額の100円刻みなど、任意のステップに合わせて常に上方向へ丸めます。四捨五入や桁での切り上げはROUND/ROUNDUP、切り捨てはFLOOR、負数や細かな挙動の制御はCEILING.MATHを使い分けます。
基本の使い方
- 書式:
- 数値: 丸めたい値（セル参照や計算結果も可）
- 基数: 切り上げたい刻み（例: 0.25、5、10、100）
=CEILING(数値, 基数)
- 5の倍数へ切り上げ:
- 説明: 12 → 15、13 → 15、15 → 15（すでに倍数ならそのまま）。
=CEILING(A2, 5)
- 15分刻みへ切り上げ（時間を小数で表す例）:
- 説明: 1時間=1、15分=0.25。1.18h → 1.25h。
=CEILING(A2, 0.25)
- 100円刻みへ切り上げ:
- 説明: 1,230円 → 1,300円。
=CEILING(B2, 100)
具体例
- 例1: 作業時間の請求単位を15分刻みに
- ポイント: 小数時間: 1.33h → 1.5h。過少請求を防げます。
=CEILING(Time[h], 0.25)
- 例2: 最小ロット（50単位）に合わせた発注数
- ポイント: 121個 → 150個。余剰を見込んだ安全側の調整。
=CEILING(Qty, 50)
- 例3: 送料計算の“500円刻み”に丸め
- ポイント: 2,450 → 2,500。料金テーブルに合わせやすい。
=CEILING(ShippingCost, 500)
- 例4: 税込金額を“10円刻み”に切り上げ
- ポイント: 細かい端数を上方向に整理して表示。
=CEILING(Price*1.1, 10)
よくあるつまずきと対策
- 負の数の挙動が分かりづらい
- 説明: 旧CEILINGは負数の扱いが環境で変わることあり。
- 対策: CEILING.MATH を使うと負数の動作を安定的に制御できます。
=CEILING.MATH(数値, [基数], [モード])
- 基数が0や負の場合のエラー
- 対策: 基数は正の数を指定。ゼロは不可。
- 小数の単位が合わない（分・秒の換算ミス）
- 対策: 時間を「1=1時間」で扱うか、分なら「1=1分」に統一。15分刻みなら0.25（時間）または15（分）を使う。
- “四捨五入”と混同
- 説明: CEILINGは常に上方向。四捨五入したいならMROUND（倍数丸めの四捨五入）を使う。
=MROUND(A2, 5) // 5の倍数へ四捨五入
関連関数の使い分け
- 任意倍数へ切り上げ（CEILING / CEILING.MATH）
=CEILING(数値, 基数)
=CEILING.MATH(数値, [基数], [モード])
- 任意倍数へ切り捨て（FLOOR / FLOOR.MATH）
=FLOOR(数値, 基数)
- 任意倍数へ四捨五入（MROUND）
=MROUND(数値, 基数)
- 桁で切り上げ（ROUNDUP）
=ROUNDUP(数値, 桁数) // -1で十の位、-2で百の位
応用テンプレート
- 複数列の金額を合算後、100円刻みに切り上げ
=CEILING(SUM(B2:B10), 100)
- 税込合計（数量×単価×税）を10円刻みに切り上げ
=CEILING(Qty*Price*1.1, 10)
- 時間ログ（開始〜終了の差）を15分刻みに切り上げ
- 説明: (終了-開始)は日。×24で時間に変換。
=CEILING((終了-開始)*24, 0.25)
- 配送重量を0.5kg刻みに切り上げ
=CEILING(Weight, 0.5)
- 負数の安定動作（CEILING.MATH）で10刻みに切り上げ
=CEILING.MATH(A2, 10)
練習問題
- 問題1: A2の値を5の倍数へ切り上げてA3に表示してください。
- 解答例:
=CEILING(A2, 5)
- 問題2: B2の時間（h）を15分刻みへ切り上げてB3に表示してください。
- 解答例:
=CEILING(B2, 0.25)
- 問題3: C2の金額を100円刻みへ切り上げてC3に表示してください。
- 解答例:
=CEILING(C2, 100)
- 問題4: D2の合計（数量×単価×1.1）を10円刻みへ切り上げてD3に表示してください。
- 解答例:
=CEILING(D2*1.1, 10)
- 問題5: 負数を含む可能性があるA2を10刻みへ切り上げてA3に表示してください（安定挙動）。
- 解答例:
=CEILING.MATH(A2, 10)
まとめ
- 基本:
=CEILING(数値, 基数)で任意刻みに上方向へ - 時間・数量・金額に便利: 15分、50単位、100円などの現場ルールに合わせられる
- 四捨五入と違う: CEILINGは常に上げる。丸め方の違いで使い分ける
- 負数や細かな制御:
CEILING.MATHを使うと安全