概要
QUOTIENTは「割り算の“商(整数部分)”だけ」を返す関数です。端数(余り)は切り捨てられ、結果は常に整数になります。負の数を含む場合は“0方向へ”切り捨て(TRUNCと同じ挙動)になります。余りが必要ならMODとセットで使うのが定番です。
基本の使い方
- 書式:
- 分子: 割られる値(セル参照や計算結果でもOK)
- 分母: 割る値(0は不可)
=QUOTIENT(分子, 分母)
- 単純な商(整数部分だけ取得):
=QUOTIENT(10, 3) // 3
- セル参照の商:
=QUOTIENT(A2, B2)
- 負数を含む商(0方向へ切り捨て):
=QUOTIENT(-10, 3) // -3
=QUOTIENT(10, -3) // -3
具体例
- 例1: 箱詰めできる“満杯の箱数”
- ポイント: 余りの個数は
=MOD(個数, 箱容量)で出せます。
- ポイント: 余りの個数は
=QUOTIENT(個数, 箱容量)
- 例2: 時間から“丸1日分”のカウント(h表記)
- ポイント: 小数の残り時間は
=MOD(総時間, 24)。
- ポイント: 小数の残り時間は
=QUOTIENT(総時間, 24)
- 例3: 予算を単価で割って“買える最大個数”
- ポイント: 端数は切り捨てなので、過大計算を避けられます。
=QUOTIENT(予算, 単価)
- 例4: 連番から“グループID”(10ごと)を作る
- ポイント: 0〜9→0、10〜19→1…と階級化に便利。
=QUOTIENT(番号, 10)
よくあるつまずきと対策
- 「四捨五入」ではない:
- 対策: QUOTIENTは小数部分を捨てるだけ。四捨五入の整数が欲しいならROUNDを使う。
=ROUND(A2/B2, 0)
- INTとの違い(負数の扱い):
- 説明: QUOTIENTはTRUNCと同じ“0方向”の切り捨て。INTは“負方向”へ切り下げ。
QUOTIENT(-10,3)→ -3INT(-10/3)→ -4
- 説明: QUOTIENTはTRUNCと同じ“0方向”の切り捨て。INTは“負方向”へ切り下げ。
- 分母が0でエラー:
- 対策: 0で割らない。不明時はIFERRORで保護。
=IFERROR(QUOTIENT(A2,B2), "")
- 端数(余り)が必要:
- 対策: MODとセットで使う。
=MOD(A2, B2)
関連関数の使い分け
- 小数まで含めた割り算結果が欲しい(通常の割り算)
=A2 / B2
- 0方向に小数を捨てたい(TRUNC)
=TRUNC(A2 / B2)
- 負方向に整数へ丸めたい(INT)
=INT(A2 / B2)
- 商と余りを同時に扱いたい(定番ペア)
=QUOTIENT(A2, B2) // 商
=MOD(A2, B2) // 余り
応用テンプレート
- 商・余りを1行で表示(テキスト整形)
- 説明: 例「3 余り 1」のように見やすく表示。
=QUOTIENT(A2,B2) & " 余り " & MOD(A2,B2)
- 購入可能数と不足額を同時に算出
=QUOTIENT(予算, 単価) // 買える個数
=MOD(予算, 単価) // 余り(不足に使うなら 単価 - MOD(予算,単価))
- グループ番号とグループ内の位置(10刻み)
=QUOTIENT(番号, 10) // グループID
=MOD(番号, 10) // グループ内のインデックス
- 時間を日・時間に分解(h表記)
=QUOTIENT(総時間, 24) // 日
=MOD(総時間, 24) // 余りの時間
練習問題
- 問題1: A2をB2で割った“商(整数部分)”をC2に表示してください。
- 解答例:
=QUOTIENT(A2, B2)
- 問題2: 個数A2、箱容量B2。満杯の箱数をC2、余り個数をD2に表示してください。
- 解答例:
=QUOTIENT(A2, B2)
=MOD(A2, B2)
- 問題3: 総時間A2(h)を日と時間に分け、B2に“日”、C2に“時間”を表示してください。
- 解答例:
=QUOTIENT(A2, 24)
=MOD(A2, 24)
- 問題4: 予算A2、単価B2。買える個数をC2、足りない金額(1個買うのに不足)をD2に表示してください。
- 解答例:
=QUOTIENT(A2, B2)
=B2 - MOD(A2, B2)
- 問題5: 負数を含む可能性のあるA2/B2の整数部分を“0方向”で捨ててC2に表示してください(INTとの違いを確認)。
- 解答例:
=TRUNC(A2/B2)
まとめ
- 基本:
=QUOTIENT(分子, 分母)は割り算の“商(整数)”だけ取得 - 負数も“0方向”へ: INTとは違い、TRUNCと同じ挙動
- 余りはMOD: 商と余りの組み合わせが実務で強力
- 安全運用: 分母0対策にIFERROR、用途に応じてROUND/INT/TRUNCと使い分け
