概要
SUMIFSは「複数条件をすべて満たす行の値だけを合計」する関数です。地域や月、金額のしきい値などを同時に指定でき、実務の集計で最も出番が多い関数のひとつです。条件は“AND(かつ)”で評価されます。“OR(または)”にしたい場合は式を足し合わせます。
基本の使い方
- 書式:
- 合計範囲: 足し合わせたい数値の列(例: 売上の金額)
- 条件範囲n: 判定に使う列(例: 地域、月、商品)
- 条件n: 判定内容(例: “東京”, “>=100”, “プロモ“)
=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], …)
- 最小例(2条件):
- 説明: 地域=東京 かつ 月=12月 の行の売上合計。
=SUMIFS(B2:B200, A2:A200, "東京", C2:C200, "12月")
- 比較演算子の書き方(セル参照と結合):
- 説明: H1の値以上を合計(演算子は文字列、数値はセルで柔軟に)。
=SUMIFS(C2:C200, D2:D200, ">=" & H1)
具体例
- 例1: 文字一致+数値しきい値
- ポイント:
- AND判定: 両方満たす行だけ合計。
- 列の混同に注意: 合計範囲と条件範囲を取り違えない。
- ポイント:
=SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], "東京", 売上[金額], ">=100")
- 例2: 日付範囲(期間合計) 期間をH1〜H2で指定
- ポイント:
- 日付は数値: セル参照で比較すると安全。
- ポイント:
=SUMIFS(売上[金額], 売上[日付], ">=" & H1, 売上[日付], "<=" & H2)
- 例3: ワイルドカード(部分一致) 商品名に「プロモ」を含む行の合計
- ポイント:
- *““=任意文字列, “?”=任意1文字。
- エスケープ: 文字通りの「」「?」を含む場合は~、~?。
- ポイント:
=SUMIFS(売上[金額], 売上[商品名], "*プロモ*")
- 例4: 空白/非空の判定 備考が空でない行だけ合計
- ポイント:
- “”(空文字)も非空判定の対象: データの作りによって結果が変わる点に注意。
- ポイント:
=SUMIFS(売上[金額], 売上[備考], "<>")
作業効率のコツ
- 絶対参照で範囲固定(コピーしてもズレない)
- 説明: 合計・条件範囲を$で固定し、条件だけセル参照に。
=SUMIFS($B$2:$B$200, $A$2:$A$200, H1, $C$2:$C$200, H2)
- テーブル(構造化参照)で見やすく保守しやすく
- 説明: 行追加に自動追従。列名で意味が読みやすい。
=SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], H1, 売上[月], H2)
- OR条件(複数値のいずれか)を足し合わせる 地域が「東京」または「大阪」
- 説明: SUMIFSはANDのみ。ORは式を加算して作る。
=SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], "東京")
+ SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], "大阪")
よくあるつまずきと対策
- 合計範囲と条件範囲のサイズ不一致
- 原因: 行数や列数が揃っていない。
- 対策: 同じ開始行・終了行で定義。テーブル参照なら安全。
- 数値に見える文字列が混在(判定がおかしい)
- 原因: “123”がテキスト。比較演算子で誤判定。
- 対策: データを数値化(VALUE)、入力規則や書式統一。
- 日付比較が効かない
- 原因: テキスト日付やロケール差。
- 対策: セル参照で「>=」や「<=」と結合し、日付は正しく入力。
=SUMIFS(E2:E200, D2:D200, ">=" & H1, D2:D200, "<=" & H2)
- “OR+複数条件”の複雑化
- 対策: 小分けにSUMIFSを作り、最後にSUMで合算。管理しやすい式に分解。
応用テンプレート
- 複数列を同じ条件で合計(合算パターン) 金額と送料を同時に合計
=SUM(
SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], H1, 売上[月], H2),
SUMIFS(売上[送料], 売上[地域], H1, 売上[月], H2)
)
- しきい値をセルで柔軟指定 閾値がH3
=SUMIFS(売上[金額], 売上[金額], ">=" & H3)
- 複数値のORを簡潔に(入力セルを使う) 地域がH1:H3のいずれか(小規模なら加算)
=SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], H1)
+ SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], H2)
+ SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], H3)
- 期間と文字の組み合わせ
=SUMIFS(売上[金額], 売上[日付], ">=" & H1, 売上[日付], "<=" & H2, 売上[カテゴリ], "食品")
練習問題
- 問題1: A列=地域、B列=月、C列=売上。地域が「東京」かつ月が「12月」の売上合計をC201に表示してください。
- 解答例:
=SUMIFS(C2:C200, A2:A200, "東京", B2:B200, "12月")
- 問題2: D列=金額、E列=日付。H1〜H2の期間内の金額合計をD201に表示してください。
- 解答例:
=SUMIFS(D2:D200, E2:E200, ">=" & H1, E2:E200, "<=" & H2)
- 問題3: テーブル「売上」で、カテゴリが「食品」、備考が空でない行の金額合計をH2に表示してください。
- 解答例:
=SUMIFS(売上[金額], 売上[カテゴリ], "食品", 売上[備考], "<>")
- 問題4: 地域が「東京」または「大阪」の金額合計をH2に表示してください(OR条件)。
- 解答例:
=SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], "東京")
+ SUMIFS(売上[金額], 売上[地域], "大阪")
まとめ
- 複数条件の合計:
=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, …)(AND判定) - OR条件は加算: 複数のSUMIFSを足す
- 演算子は文字列+セル参照で柔軟に:
">=" & H1 - テーブル参照が安全: 行追加に強く、読みやすい
