それでは「再帰とループをどう使い分けるか」という実務的な判断基準を整理してみましょう。ここまでの比較を踏まえて、状況ごとに選び方をまとめます。
✅ 再帰を選ぶべき場面
- 木構造や入れ子構造の処理
例: JSON、DOMツリー、ファイルシステムの探索
→ 「子があれば潜る」というルールが自然に書ける - 分割統治アルゴリズム
例: クイックソート、マージソート、二分探索
→ 問題を小さく分けて再帰的に解くのが直感的 - コードの可読性を優先したいとき
→ 数学的定義をそのままコードに落とせる(階乗、フィボナッチなど)
✅ ループを選ぶべき場面
- 大量データを処理するとき
→ 再帰だとスタックオーバーフローの危険がある - 単純な繰り返し処理
例: 配列の合計、最大値探索、文字列操作
→ ループの方が高速で安全 - パフォーマンスが重要なとき
→ 関数呼び出しのオーバーヘッドがないので効率的
判断フローチャート(イメージ)
処理対象は入れ子構造か?
└─ はい → 再帰が自然
└─ いいえ
↓
データ量は大きいか?
└─ はい → ループが安全
└─ いいえ → どちらでもOK(可読性重視なら再帰)
まとめ
- 再帰は「構造をそのまま表現」できる強み
- ループは「効率と安全性」に優れる
- 実務では「まずループで安全に」「構造的にきれいに書きたいときは再帰」という使い分けが多い
👉 ここまでで「再帰とループの選び方」まで整理できました。
次のステップとしては、実際の開発でよくある 「ファイルシステム探索」 を再帰とループで書き比べると、さらに実感が湧きます。


