では「ハノイの塔の手数の一般式」を導きましょう。ここでは 再帰的な考え方と数学的帰納法を組み合わせて証明していきます。
再帰的な手数の式
- ( T(n) ) = n枚の円盤を移動するのに必要な最小手数
- 再帰的な手順は:
- ( n-1 ) 枚を補助棒に移す → ( T(n-1) ) 手
- 最大の円盤を移す → 1手
- ( n-1 ) 枚をゴール棒に移す → ( T(n-1) ) 手
したがって: [ T(n) = 2T(n-1) + 1 ]
基本ケース
- ( T(1) = 1 ) (1枚なら1手で移せる)
帰納的な展開
- ( T(2) = 2T(1) + 1 = 2 \cdot 1 + 1 = 3 )
- ( T(3) = 2T(2) + 1 = 2 \cdot 3 + 1 = 7 )
- ( T(4) = 2T(3) + 1 = 2 \cdot 7 + 1 = 15 )
パターンが見えてきますね:
[ T(n) = 2^n – 1 ]
数学的帰納法による証明
- 基底部
- ( n=1 ) のとき、( T(1) = 1 )
- 一方、( 2^1 – 1 = 1 )
- よって成り立つ。
- 帰納法の仮定
- ( T(k) = 2^k – 1 ) が成り立つと仮定する。
- 帰納法のステップ
- ( T(k+1) = 2T(k) + 1 )
- 仮定を代入すると:
[ T(k+1) = 2(2^k – 1) + 1 = 2^{k+1} – 2 + 1 = 2^{k+1} – 1 ]
- 結論
- よってすべての自然数 ( n ) に対して
[ T(n) = 2^n – 1 ]
が成り立つ。
- よってすべての自然数 ( n ) に対して
✅ ポイント
- ハノイの塔は「再帰的な定義」から「指数関数的な成長」が自然に導かれる。
- 枚数が増えると手数は爆発的に増える(例: 64枚なら (2^{64}-1) 手 ≈ 1.8×10^19 手)。
- これが「再帰的思考」と「数学的帰納法」の美しい融合例。
👉 ここまでで「ハノイの塔の一般式」を証明できました。


