比較演算子と論理演算子は 条件分岐（if文） を作るときの基本中の基本です。ここでは「何を比較しているか」「どんなときに true / false になるか」「よくある落とし穴」「実践例」を分かりやすくまとめます。
1. 比較演算子（何と何を比べる？）
比較演算子は 2つの値を比べて 真（true）か偽（false）かを返します。
===厳密等価（値と型の両方が同じ） — ← 基本はこれを使う!==厳密不等価（値か型が違えば true）==等価（型変換して比較する） — 注意して使う!=不等価（型変換あり）>（より大きい）<（より小さい）>=（以上）<=（以下）
例（そのまま試せます）
console.log(5 === 5); // true
console.log(5 === '5'); // false (型が違う)
console.log(5 == '5'); // true (文字列 '5' を自動で数値に変換して比較)
console.log(10 > 7); // true
console.log(3 <= 3); // true
なぜ === を優先するのか（落とし穴）
== は型を自動変換するので、意図しない true が返ることがあります：
0 == false // true
'' == false // true
null == undefined // true
→ バグの原因になるため、原則 === を使うのが安全です。
2. truthy / falsy（真／偽扱いされる値）
JavaScript の if などで「値そのもの」を条件に使うとき、値は自動で真偽に評価されます。代表的な falsy（偽とみなされる） 値は次の6つ：
false, 0, ''（空文字）, null, undefined, NaN
それ以外は truthy（真扱い） です。例：
if ('hello') { console.log('truthyです'); } // 実行される
if ('') { console.log('実行されない'); } // 実行されない（falsy）
3. 論理演算子（複数条件を組み合わせる）
&&（AND） — 両方が true のときだけ true||（OR） — どちらかが true なら true!（NOT） — 真偽を反転（true → false、false → true）
真理値表（簡単）
true && true→truetrue && false→falsetrue || false→truefalse || false→false!true→false
例
let age = 25;
let hasTicket = true;
if (age >= 18 && hasTicket) {
console.log('入場できます');
}
let isWeekend = true;
let isHoliday = false;
if (isWeekend || isHoliday) {
console.log('休みだよ');
}
4. 短絡評価（ショートサーキット）と戻り値の使い方
&& と || は 真偽だけでなく「値」を返す点に注意（短絡評価）。
a && b：まずaを評価。aが falsy ならaを返す。そうでなければbを返す。a || b：まずaを評価。aが truthy ならaを返す。そうでなければbを返す。
例（実用）
let name = '';
let display = name || 'ゲスト';
console.log(display); // 'ゲスト'（name が空文字なので代わりに 'ゲスト' が使われる）
let obj = null;
let maybe = obj && obj.value;
console.log(maybe); // null （obj が null なので obj.value を評価せず null が返る）
→ && は「安全にプロパティ参照するガード」に使えます（ただし後述の ?. があるともっと安全）。
5. よくある実践パターン（例題）
例A：年齢と会員フラグで条件分岐
let age = 30;
let isMember = false;
if (age >= 18 && isMember) {
console.log('会員の成人です');
} else if (age >= 18 && !isMember) {
console.log('成人だが一般会員です');
} else {
console.log('未成年です');
}
例B：フォーム入力のチェック（name が空かどうか）
let name = ''; // ユーザーが空で送信した
if (!name) {
console.log('名前を入力してください');
} else {
console.log('こんにちは、' + name + 'さん');
}
例C：範囲チェック（ある値が範囲内か）
let temp = 22;
if (temp >= 20 && temp <= 25) {
console.log('快適な温度です');
}
6. 優先度・括弧で明示する
&& は || より優先度が高いです（つまり a || b && c は a || (b && c) と同じ）。読みやすさとバグ回避のため、複雑な条件には必ず括弧 () を使うことをおすすめします。
// 混乱しやすい例
if (isAdmin || isOwner && isActive) {
// 意味は isAdmin || (isOwner && isActive)
}
// 明示的に書く（読みやすい）
if (isAdmin || (isOwner && isActive)) { ... }
7. よくある間違い（チェックリスト）
=（代入）と==,===（比較）を混同しない。if (x = 5)は NG（代入してしまう）。if (x === 5)を使う。==は型変換するので予期しない結果を招く。基本===を使う。nullとundefinedの違いに注意（厳密には違う）。- 空文字
''、0、NaNは条件で falsy と評価される。 - 複雑な条件は関数に切り出す（可読性向上）。
8. 練習問題（手を動かそう） — 解答付き
問1（基本）
変数 n が偶数なら Even、奇数なら Odd を表示してください。
// 解答
let n = 8;
if (n % 2 === 0) console.log('Even');
else console.log('Odd');
問2（複合条件）
score が 60 以上かつ attended が true のときだけ 合格 を出すコードを書いてください。
// 解答
let score = 65;
let attended = true;
if (score >= 60 && attended) console.log('合格');
else console.log('不合格');
問3（短絡評価を使う）
username が空文字なら ゲスト を表示する短い書き方をしてください（if を使わない）。
// 解答
let username = '';
console.log(username || 'ゲスト');
問4（落とし穴）
value = 0 のとき if (!value) を使うとどうなる？適切か説明してください。
解答：0 は falsy なので !value は true になり if (!value) が実行されます。もし「0 は有効な入力」と扱いたいなら value == null または value === null || value === undefined でチェックする方が良いです。
9. 次のステップ（おすすめ）
switch文（値が多く分岐する場合）- 論理演算子の短絡評価を利用した「デフォルト値」「早期 return」パターン
?.（オプショナルチェイン）や??（Nullish coalescing） — 安全な参照・デフォルト値の扱い（興味あれば詳しく説明します）