JavaScript | classの継承（extends）

では「JavaScriptでのオブジェクト指向設計のベストプラクティス」として、継承よりコンポジションを優先する考え方を整理してみましょう。これは実務でもよく言われる「Composition over Inheritance（継承より合成を）」という原則です。

なぜ「継承よりコンポジション」なのか

• 継承の問題点
  • 親子関係が強く結びつきすぎる（親を変えると子も壊れる）
  • 階層が深くなると理解しづらい
  • 「is-a」関係でないのに無理に継承すると不自然な設計になる
• コンポジションの利点
  • 部品を組み合わせるだけなので柔軟
  • 再利用性が高い（同じ部品をいろんなクラスに持たせられる）
  • 依存関係が浅く、変更に強い

例題：ゲームキャラクターに「飛ぶ能力」を追加する

❌ 継承でやると…

class Character {
  constructor(name){ this.name = name; }
}

class FlyingCharacter extends Character {
  fly(){
    console.log(`${this.name} が空を飛んだ！`);
  }
}

let hero = new FlyingCharacter("勇者");
hero.fly(); // → 勇者 が空を飛んだ！

class Character {
  constructor(name){ this.name = name; }
}

class FlyingCharacter extends Character {
  fly(){
    console.log(`${this.name} が空を飛んだ！`);
  }
}

let hero = new FlyingCharacter("勇者");
hero.fly(); // → 勇者 が空を飛んだ！

👉 「飛べるキャラ」と「飛べないキャラ」を分けるためにクラスを増やすと、
「飛べる魔法使い」「飛べるモンスター」などが必要になり、クラス爆発が起きる。

✅ コンポジションでやると…

// 共通のキャラクター
class Character {
  constructor(name){ this.name = name; }
}

// 「飛ぶ能力」を部品として定義
class FlyAbility {
  fly(name){
    console.log(`${name} が空を飛んだ！`);
  }
}

// キャラクターに「飛ぶ能力」を持たせる
let hero = new Character("勇者");
hero.flyAbility = new FlyAbility();

hero.flyAbility.fly(hero.name); 
// → 勇者 が空を飛んだ！

// 共通のキャラクター
class Character {
  constructor(name){ this.name = name; }
}

// 「飛ぶ能力」を部品として定義
class FlyAbility {
  fly(name){
    console.log(`${name} が空を飛んだ！`);
  }
}

// キャラクターに「飛ぶ能力」を持たせる
let hero = new Character("勇者");
hero.flyAbility = new FlyAbility();

hero.flyAbility.fly(hero.name); 
// → 勇者 が空を飛んだ！

👉 「飛ぶ能力」を部品として切り出すことで、
勇者でも魔法使いでもモンスターでも、必要なときだけ組み合わせられる。

✅ まとめ

• 継承は「is-a」関係（犬は動物の一種）で使う
• コンポジションは「has-a」や「can-do」関係（キャラは武器を持つ／飛ぶことができる）で使う
• 実務では「まずコンポジションを検討し、必要なときだけ継承」を選ぶのがベストプラクティス

💡 初心者へのアドバイス：

• 「これは本当にis-a関係か？」と考えてから継承を選ぶ
• 「能力・機能を追加したい」ならコンポジションで組み合わせる方が柔軟