初心者向けにやさしく、実際に手を動かせる例題つきで詳しく説明します。読みやすく段階を追って進めます。
typeof の基礎（ざっくり）
typeof は「この値は**どんな種類（型）**かな？」を調べるための演算子です。
書き方は簡単：
typeof 値
戻り値は 文字列（例: "number", "string"）になります。
typeof が返す主な値と例
| 戻り値 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
"number" | 数値（整数・小数・NaN を含む） | typeof 123 → "number" |
"string" | 文字列 | typeof 'hi' → "string" |
"boolean" | 真偽値 | typeof true → "boolean" |
"undefined" | 値が未定義（undefined） | typeof undefined → "undefined" |
"object" | オブジェクト（配列・null・日付オブジェクトなども含む） | typeof {} → "object" |
"function" | 関数（関数は特別に "function"） | typeof function(){} → "function" |
"symbol" | Symbol 型 | typeof Symbol('x') → "symbol" |
"bigint" | 大きな整数を扱う BigInt 型 | typeof 10n → "bigint" |
重要な注意（トリッキー）
typeof nullは"object"を返します（歴史的な仕様で、直感と違うので注意）。- 配列（
[]）もtypeofでは"object"と出るので、配列かどうかを判定するには別の方法が必要です。
配列や null を正しく判定する方法
- 配列かどうか調べる：
nullかどうか調べる：
value === null
- オブジェクトか（かつ配列ではない）かを判定する安全な方法：
typeof value === 'object' && value !== null && !Array.isArray(value)
変数が未宣言（存在しない）場合の挙動
- アクセス（参照）するとエラー：
console.log(x)としたときxが宣言されていなければReferenceError。 typeofを使うとエラーにならない：typeof xは"undefined"を返してエラーになりません。
→ これを利用して「その変数が存在するか？」を安全に調べられます。
よくある誤解ポイントと補足
typeof NaN→"number"（NaNは数値型の特殊値）- 関数はオブジェクトの一種ですが、
typeofは関数を"function"と特別扱いします。 typeofの結果は文字列なので比較は文字列で行う（=== 'number'など）。
実践コード例（ブラウザのコンソールで試してみよう）
console.log(typeof 42); // "number"
console.log(typeof 'Hello'); // "string"
console.log(typeof true); // "boolean"
console.log(typeof undefined); // "undefined"
console.log(typeof null); // "object" ← 注意
console.log(typeof [1,2,3]); // "object" ← 配列もobject
console.log(Array.isArray([1,2,3])); // true
console.log(typeof function(){}); // "function"
console.log(typeof Symbol('s')); // "symbol"
console.log(typeof 10n); // "bigint"
console.log(typeof NaN); // "number"
初心者向けの例題（手を動かして練習）
問題1
次の値に対して typeof が返す文字列を書け。
a) 100
b) 'abc'
c) null
d) [1,2]
e) function(){}
答え1
a) "number"
b) "string"
c) "object" （注意点）
d) "object"（配列は "object" と出る）
e) "function"
問題2
次のコードは何を表示するか（true / false）？
const a = [];
console.log(typeof a === 'object');
console.log(Array.isArray(a));
答え2true（配列は typeof では "object"）true（Array.isArray で配列と判定できる）
問題3
変数 x が「未宣言」のとき、以下の2行はどうなる？
console.log(x); // A
console.log(typeof x); // B
答え3
A: ReferenceError（変数が宣言されていないため）
B: "undefined"（typeof はエラーを投げず "undefined" を返す）
問題4（実用）
関数の引数 value が「文字列」かどうかをチェックしたい。書け。
答え4
function isString(value) {
return typeof value === 'string';
}
問題5（応用）
value が「配列」なら "array"、nullなら "null"、それ以外は typeof の結果を返す関数を作れ。
答え5（例）
function kindOf(value) {
if (value === null) return 'null';
if (Array.isArray(value)) return 'array';
return typeof value;
}
まとめ（覚えておきたいこと）
typeofは手軽に型チェックできる便利な道具。戻り値は文字列。nullと配列はtypeofだと区別できないので、=== nullやArray.isArray()を使う。typeofは未宣言変数を調べるときに安全（エラーにならない） → 実用的。typeofは完全な型判定ツールではないが、簡単なチェックやデバッグに非常に役立つ。