AI/自然言語系(NLP/LLM)分野で“無料もしくは無料枠あり”のAPI/ライブラリ
| サービス/ライブラリ | 提供主体/形式 | 無料枠・無償性 | 主な機能・用途 | 備考・制約 |
|---|
| OpenAI API(ChatGPT, GPT 系列) | OpenAI(クラウドAPI) | 有料だが試用クレジットの付与あり | テキスト生成、要約、対話、コード生成、補完など | 無料枠は限定的。商用にはコスト管理が重要 |
| Google Cloud Natural Language / Gemini via Vertex AI | Google Cloud | 新規ユーザーにクレジット付与。無料枠あり | 感情分析、構文解析、固有表現抽出、分類、Gemini による生成 | 無料枠を超えると課金。Google Cloudの他サービスとの組み合わせ可 |
| Cohere(LLM API) | Cohere | 無料プランあり(利用上限あり) | テキスト生成、埋め込み(embeddings)、要約 | モデルの選択肢が複数。利用制限を確認 |
| Hugging Face Inference API / Serverless Inference | Hugging Face | 無料プラン(クレジット制・モデルサイズ制限あり) | 多種モデルの呼び出し(生成、分類、埋め込みなど) | 大きなモデル(10 GB以上等)は無料枠で使えない場合あり |
| OpenRouter | OpenRouter(中継型プラットフォーム) | 無料枠あり(リクエスト上限等) | 複数の LLM を統合して利用可能 | 各モデルの制限(レート制限、トークン制限など)あ |
| Mistral (La Plateforme) | Mistral | 無料プランあり | LLM モデル提供(生成系) | 利用制限あり(1リクエスト/秒 など) |
| Cloudmersive NLP API | Cloudmersive | 月 600 回程度の無料利用枠あり | 感情分析、言語検出、品詞解析、固有表現抽出、パラフレーズ | 無料枠を超えると有料。比較的軽めの用途向き |
| Apache OpenNLP(ライブラリ) | Apache ソフトウェア財団(オープンソース) | 完全無料 | トークン化、品詞タグ付け、固有表現抽出、構文解析、共参照解析など | ローカル実行型。モデル学習やメモリ/性能調整が必要 |
| NLTK(Natural Language Toolkit) | NLTK プロジェクト(オープンソース) | 完全無料 | トークン化、品詞タグ付け、構文解析、分類、コーパス操作など | 主に研究・教育・プロトタイピング用途向け |
| spaCy | Explosion(オープンソース) | 完全無料 | 高速なトークン化、品詞付与、依存構造解析、NER、文分割など | モデルサイズに依存。別途学習モデルが必要な場合あり |
| Gensim | Gensim チーム(オープンソース) | 完全無料 | トピックモデル、word2vec/Doc2Vec、類似度検索など | 主に文書集合処理・トピック分析用途向け |
| その他(例:LLAMA を自ホストで API 化) | オープンソースモデル + 自前サーバ構成 | モデル自体は無償、運用コストあり | Chat/生成、補完、質問応答など | GPU |
各サービス・ライブラリの特徴と注意点
以下では、特に “API 提供型” と “ライブラリ/モデル自ホスト型” に分けて、使いどころや注意すべき点を説明します。
API 提供型(クラウド型 LLM/NLP サービス)
これらは外部サーバ(クラウド)でモデルを運用しており、HTTP経由でリクエスト・レスポンスをやり取りします。
メリット
- モデル運用・インフラ管理が不要 → 導入が速い
- 高性能モデル(大規模な LLM)を簡単に利用できる
- スケーラビリティ(使用量に応じて拡張可能)
- SDKやドキュメントが整備されていることが多い
デメリット/注意点
- 無料枠には厳しい制限(呼び出し回数、トークン数、レート制限など)
- コストがかかりやすい(商用用途では注意が必要)
- レイテンシ(遅延)がネットワーク依存
- データのプライバシー・機密性:送信したテキストがサーバ側で保存/学習に使われる可能性がある(契約・仕様を要確認)
- モデルのブラックボックス性:モデルの中身を制御しにくい
代表例のポイント
- OpenAI API:多機能で汎用性高いが、無料枠は限定的。生成・応答用途で多く使われる
- Google Cloud(Natural Language / Gemini / Vertex AI):NLP 分析と生成を組み合わせた高度な機能。Google Cloud の他サービスと統合しやすい
- Hugging Face Inference:多様なオープンモデルにアクセスできる。ただしモデルサイズに制限があるものも多い
- OpenRouter:複数のモデルを中継して切り替え可能。使い分けができるが各モデルの制約に注意
- Mistral:比較的新しいモデルを提供しており、無料枠付き。性能を見極めながら使う価値あり
- Cloudmersive:比較的小規模な NLP タスク(感情分析、固有表現抽出など)に適。軽めの用途向け
ライブラリ/モデル自ホスト型(オンプレ/ローカル実行型)
これらは API という形ではなく、開発者自身がサーバや環境内でモデルや処理パイプラインを稼働させる方式です。
メリット
- 運用コスト(クラウド呼び出し料)が発生しない(ただしインフラコストはある)
- データが外部に出ないため、プライバシーやセキュリティ面で安全性が高い
- モデルを自由にカスタマイズ・拡張できる
- レイテンシが低く、応答速度制御がしやすい
デメリット/注意点
- モデルの学習・最適化・運用・スケール対応が技術的負荷が高い
- 高性能モデルを動かすには GPU やそれに見合う計算資源が必要
- モデル更新やバグ対応は自己責任
- 大規模なユーザー数や高負荷運用には構成・運用ノウハウが必要
代表的なライブラリモデル例
- Apache OpenNLP:Java ベース。トークン化、構文解析、NER など基本タスクをサポート
- NLTK:Python 用の汎用 NLP ツールキット。研究・教育やプロトタイピング用途によく使われる
- spaCy:高速で実用性の高い NLP 処理パイプラインを提供。モデルを別途ダウンロードして使う
- Gensim:トピックモデリングや類似文書検索系機能に強い
- LLAMA 等のオープン LLM をローカル実行 → 自作 API インターフェース:最新のオープンモデルを自分で動かして API 化する方法。自由度高いがインフラ要件が重い
使い分け・選定のヒント
あなたの目的・リソースに応じて、どの方式を採るかを検討するのが肝心です。以下の観点で判断するとよいでしょう。
| 判断軸 | API 提供型が向くケース | 自ホスト/ライブラリ型が向くケース |
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| 導入の速さ/開発コスト | すぐ使いたい、運用負荷を減らしたい | 初期構築に時間・技術力をかけられる |
| 利用量とコスト | 低~中量なら無料枠や従量制で抑えられる可能性 | 大量利用・定常運用なら自ホストの方がコスト抑制できる可能性あり |
| データの機密性・プライバシー | 外部への送信が許容される用途 | 機密データ・社内限定用途なら自ホストが安全性高 |
| カスタマイズ性 | モデルの中身を操作する余地は小さい | 自由にモデルをチューニング・改変できる |
| スケール性/信頼性 | クラウド運用でスケール対応済み | 自前でスケール対応や冗長構成が必要 |