概要
SQRTPIは「π(パイ)を掛けた数の平方根」を返す関数です。具体的には、引数nに対して √(n × π) を計算します。円周や面積・分布(正規分布・レイリー分布など)に絡む計算で、「πが乗った量の平方根」をワンステップで求めたいときに便利です。入力nは通常0以上の実数を想定し、負の値を渡すと#NUM!エラーになります。
基本の使い方
書式
=SQRTPI(n)
nに実数を与えると、√(n × π) を返します。
例
=SQRTPI(1) // √π ≈ 1.772453851
=SQRTPI(2) // √(2π) ≈ 2.506628275
=SQRTPI(0) // 0
=SQRTPI(A2) // A2に入った値の √(A2×π)
POWERやSQRTとの等価関係
=SQRTPI(n) // √(n×π)
=SQRT(n*PI()) // 同じ結果
=POWER(n*PI(), 0.5) // これも同じ
具体例
円関連のスケール計算(πが乗った量の平方根)
円周や面積処理で出てくる「定数×π」の平方根を素早く求められます。例えば、ガウス分布や円形領域の正規化係数で √(nπ) が現れたときに直接利用できます。
=SQRTPI(係数)
規格化定数の確認(√(2π)などの定番値)
正規分布で頻出する √(2π) をセルで確認するとき:
=SQRTPI(2) // ≈ 2.506628275
ルックアップ用の定数表を作る際にも有用です。
レイリー分布・円弧の近似での係数
レイリー分布の一部や円弧に関わる近似式で √(π) が因子として現れる場合、SQRTPIで直接計算すると式が読みやすく保守しやすくなります。
=SQRTPI(1) // √π
応用テンプレート
入力値の安全化(負値をゼロ扱い)
計算誤差でわずかに負になる可能性があるときは、MAXでゼロ未満を切り捨ててから平方根を取ります。
=SQRTPI(MAX(0, A2))
単位換算付きの計算をまとめる
係数nが別単位で与えられるとき、換算してからSQRTPIに渡します。
=SQRTPI(A2 * 換算係数)
表示精度の調整(レポート用丸め)
レポートでは見やすい桁数に丸めます。
=ROUND(SQRTPI(A2), 6)
πを含む平方根の比較用に同値変換
SQRTPIと通常のSQRTのどちらでも表せることを明示し、モデル間の比較を容易にします。
=SQRTPI(A2)
=SQRT(A2*PI()) // 比較確認用
よくあるつまずきと対策
負の入力で#NUM!になる
SQRTPIは √(n×π) を計算するため、nが負だと実数解がなくエラーになります。事前にIFやMAXで保護してください。
=IF(A2<0, "", SQRTPI(A2))
文字列数値の扱い
“2” のような文字列はそのままだと数値計算に使えません。NUMBERVALUEやVALUEで数値化します。
=SQRTPI(NUMBERVALUE(A2))
微小負値の丸め
計算誤差で -1E-12 のような値が出る場合はゼロに揃えてから適用します。
=SQRTPI(MAX(0, A2))
差分やべき乗との混同
SQRTPIは「πが掛かった値の平方根」。単なる平方根(√x)はSQRT、一般のn乗根はPOWER(値, 1/n)を使い分けます。
例題
問題1: A2の値に対して √(A2×π) をB2に表示してください。
解答例:
=SQRTPI(A2)
問題2: √(2π) をC2に表示し、小数点以下6桁に丸めてください。
解答例:
=ROUND(SQRTPI(2), 6)
問題3: D2が負なら空欄、0以上なら √(D2×π) をE2に表示してください。
解答例:
=IF(D2<0, "", SQRTPI(D2))
問題4: 文字列で与えられた数値F2(例: “3.5”)の √(F2×π) をG2に表示してください。
解答例:
=SQRTPI(NUMBERVALUE(F2))
問題5: H2に微小誤差が混じる可能性がある前提で、負の微小値を0に丸めてから √(H2×π) をI2に表示してください。
解答例:
=SQRTPI(MAX(0, H2))
まとめ
SQRTPIは「πが掛かった数の平方根」を一発で計算できる関数で、円や分布の定数処理を簡潔に書けます。負入力の保護、文字列数値の変換、丸め表示を押さえると実務で安定します。SQRTやPOWERと同値関係を意識しつつ、式の意図が見えやすい形で採用すると保守性が高まります。
