概要
ODDは「指定した数値を“ゼロから遠ざかる方向”にある最も近い奇数へ丸める」関数です。正の数は切り上げて奇数に、負の数は切り下げて奇数になります。すでに奇数整数ならそのまま返します。奇数席の割り当て、奇数ページ構成、奇数単位の在庫・ロット調整などに使えます。
基本の使い方
書式
=ODD(数値)
- 正の数値は「次の奇数」へ切り上げ
- 負の数値は「次の奇数」へ切り下げ(ゼロから遠ざかる)
- すでに奇数整数ならそのまま返す
例
=ODD(3) // 3
=ODD(3.2) // 5
=ODD(4) // 5
=ODD(0) // 1
=ODD(-3) // -3
=ODD(-3.2) // -5
=ODD(-4) // -5
0は「ゼロから遠ざかる」挙動により1になります。
具体例
希望人数を“奇数席”に丸める(多めに確保)
=ODD(A2)
A2が偶数や小数でも、次の奇数へ切り上げて不足が出ないようにできます。
奇数ページに揃える(見開き構成や冊子仕様)
=ODD(B2)
総ページ数を奇数に丸めます。扉や奥付の配置都合に合わせる際に便利です。
在庫調整を奇数単位で行う(負値も対応)
=ODD(C2)
負の調整量もゼロから遠ざかる方向で奇数に丸めます(例:-2.1→-3)。
応用テンプレート
奇数単位のロット確保(1箱が1個単位)
=ODD(必要数)
奇数単位の調達・配布で不足が出ないように“多め側”に丸めます。
奇数・偶数で分岐して必要なときだけ丸め
=IF(ISODD(D2), D2, ODD(D2))
既に奇数ならそのまま、偶数なら奇数へ丸めます。
文字列数値を奇数に丸める(事前に数値化)
=ODD(NUMBERVALUE(E2))
“17” のような文字列から適切に奇数へ丸めます。
時間・分などを“奇数整数”に揃える
=ODD(F2)
例:34分→35分、58分→59分。表示形式を分・時に合わせると見やすくなります。
よくあるつまずきと対策
「ゼロから遠ざかる」丸めに注意
ODDは正で切り上げ、負で切り下げます。-2→-3、-3.2→-5 のように絶対値が大きくなる方向です。負数を「ゼロに近づけたい」なら CEILING.MATH や FLOOR.MATH の奇数相当を工夫します(2刻みの近い側に丸めるなら MROUND で代替)。
=CEILING.MATH(-3.2, 2) // -2(偶数刻みの例)
奇数限定の近づけ丸めは標準関数にないため、条件分岐で調整します。
小数は必ず“整数の奇数”へ
ODDは「奇数の整数」を返します。小数の奇数(例:3.5)という概念はなく、必ず整数に丸められます。小数ステップで奇数倍へ丸めたいなら MROUND を使用し、ステップを2にして奇数倍の条件を別途満たすよう設計します。
0が1になる
0は奇数に丸めると1になります。ゼロを維持したい場合は事前に分岐します。
=IF(G2=0, 0, ODD(G2))
文字列数値や空文字でエラー
“3” のような文字列や空文字はそのままだと計算できません。NUMBERVALUEやVALUEで数値化してから適用します。
=ODD(NUMBERVALUE(H2))
例題
問題1: A2の人数を奇数に丸めてB2に表示してください。
解答例:
=ODD(A2)
問題2: C2のページ数を奇数に揃えてD2に表示してください(足りないときは多めに丸め)。
解答例:
=ODD(C2)
問題3: E2の分数を奇数分に丸めてF2に表示してください。
解答例:
=ODD(E2)
問題4: G2が奇数ならそのまま、偶数なら奇数へ丸めてH2に表示してください。
解答例:
=IF(ISODD(G2), G2, ODD(G2))
問題5: 文字列で与えられた数値J2(例: “24”)を奇数に丸めてK2に表示してください。
解答例:
=ODD(NUMBERVALUE(J2))
まとめ
ODDは「正は切り上げ、負は切り下げ」で“ゼロから遠ざかる”最も近い奇数へ丸める関数です。奇数席・奇数ページ・奇数ロットなど、奇数単位の要件に相性抜群。ISODDとの組み合わせで不要な丸めを避け、文字列数値の前処理やゼロの特例を押さえると運用が安定します。負数の挙動と“小数は必ず整数化”の特性を理解して、意図通りの丸めロジックを設計しましょう。
