Python | ファイル操作など：例外の種類

Python
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概要（「例外」は失敗を安全に扱うための仕組み）

例外は、処理が想定外の状態になったときに「止める／切り替える」ための信号です。Python では try/except/else/finally で「失敗時の動き」を明示し、必要なら raise で「意図的に失敗」を発生させます。ファイル操作は外部要因（存在しない、権限なし、使用中）で失敗しやすいため、代表例外の見分け方と「安全な受け止め方」を覚えると、一気に実務品質へ近づきます。

try:
    with open("data.csv", "r", encoding="utf-8", newline="") as f:
        print(f.readline())
except FileNotFoundError:
    print("ファイルが見つかりません")
except PermissionError:
    print("ファイルにアクセスできません（権限）")
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例外処理の基本（ここが重要）

try/except/else/finally と raise の役割

try:
    # 失敗しうる処理（例：ファイルI/O、パース、ネット）
    ...
except SomeError:
    # 失敗時の代替（記録、再試行、メッセージなど）
    ...
else:
    # 例外が起きなかったときだけ実行（後続処理）
    ...
finally:
    # 成否に関係なく必ず実行（後片付け）
    ...
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  • 基本線: 失敗の可能性がある範囲を try に閉じ込め、起きうる例外を絞って except で受ける。
  • 設計の肝: 例外ごとに「ユーザーへ見せるメッセージ」「ログの詳細」「再試行の有無」を決めておく。
  • raise: 自作の検証に失敗した時など、意図的に例外を投げて上位へ判断を委ねる。
def must_positive(n: int) -> None:
    if n <= 0:
        raise ValueError("正の値が必要です")
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ファイル操作でよく出る例外の種類（実務頻度順の要点）

存在・パス・権限に関する例外

  • FileNotFoundError: 指定パスが存在しない（ファイル／親ディレクトリ）。
    対策の要点: 事前に親ディレクトリを作る、例外で「無ければスキップ」を許容。
from pathlib import Path
p = Path("out/report.txt")
p.parent.mkdir(parents=True, exist_ok=True)
with p.open("w", encoding="utf-8") as f:
    f.write("ready\n")
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  • PermissionError: 権限不足（読めない・書けない・ロック中）。
    対策の要点: ユーザーに権限確認を促す、別ディレクトリへの退避、リトライ設計。
  • IsADirectoryError / NotADirectoryError: 期待と逆の種別（ファイルのはずがディレクトリ、またはその逆）。
    対策の要点: os.path.isfile / is_dir のチェック、命名規約の徹底。
import os
path = "data"
if os.path.isdir(path):
    print("これはディレクトリです")
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  • FileExistsError: 新規作成（”x” モードや mkdir）で既存がある。
    対策の要点: 既存なら別名、タイムスタンプ付与、上書き方針を明確化。
try:
    with open("report.txt", "x", encoding="utf-8") as f:
        f.write("new\n")
except FileExistsError:
    print("既に存在します")
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文字コード・内容に関する例外

  • UnicodeDecodeError / UnicodeEncodeError: エンコーディング不一致で文字化け（読めない／書けない）。
    対策の要点: 原則 UTF-8 明示、unknown データは errors=”replace” で応急処置。
with open("unknown.txt", "r", encoding="utf-8", errors="replace") as f:
    text = f.read()  # 変換できない文字は置換
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  • JSONDecodeError（json.load 時）: JSON の構文が壊れている／想定外。
    対策の要点: 例外でファイル名と位置を記録、元データ修正を優先、フェイルセーフに切替。
  • ValueError: パース・変換が失敗（例：int(“abc”)）。
    対策の要点: バリデーション実施、デフォルト値やスキップ設計。

OS・I/O 全般の例外

  • OSError: OS 由来の広い失敗の親クラス（上記多くを包含）。
    対策の要点: 詳細例外でできるだけ受ける（広すぎる except はバグ隠しになりがち）。
  • IOError: 歴史的名称（現行は OSError 系）。古いコードで遭遇することあり。
try:
    with open("dev.txt", "rb") as f:
        f.read(1024)
except OSError as e:
    print("OS系で失敗:", e)
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深掘り（安全設計で守る・例外連鎖・TOCTOU）

事前準備と「後片付け」を with で自動化する

  • 基本線: open は常に with、ディレクトリは事前に mkdir。
  • 効果: 例外でも自動 close／リーク防止。中途半端な書き込みを減らす。
from pathlib import Path
p = Path("logs/app.log")
p.parent.mkdir(parents=True, exist_ok=True)
with p.open("a", encoding="utf-8", newline="\n") as f:
    f.write("started\n")
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TOCTOU（存在確認→削除／移動の間に外部変更）の落とし穴

  • 本質: os.path.exists の直後に他プロセスがファイルを動かすかも。
  • 対策: 最終判断は操作（remove/rename）側の例外で行う。存在確認は“参考程度”。
import os
try:
    os.remove("target.tmp")  # 最終判断はここ
except FileNotFoundError:
    pass  # 既にないなら目的は達成
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例外連鎖（原因を失わないメッセージ設計）

  • ポイント: except で握りつつ、ログには元例外（repr(e)）を残す。
  • 効果: 調査・再現性が上がる。ユーザーには簡潔、ログは詳細で二層化。

実務のハンドリングパターン（準備・記録・復旧）

ユーザー向けメッセージと技術ログの分離

  • ユーザー: 「ファイルが開けません。場所や権限を確認してください」
  • ログ: 例外種類、スタック、パス、時刻、実行環境。
import logging
logging.basicConfig(filename="app.log", level=logging.INFO)

def load_text(path: str) -> str | None:
    try:
        with open(path, "r", encoding="utf-8") as f:
            return f.read()
    except (FileNotFoundError, PermissionError) as e:
        logging.exception("load_text failed: %s", path)
        return None
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フェイルセーフ（安全側へ倒す）

  • 読み取り失敗: スキップして続行、欠損として扱う。
  • 書き込み失敗: テンポラリ保存→再試行、別ディレクトリへフォールバック。
import os
from pathlib import Path

def atomic_write(path: Path, data: str) -> bool:
    tmp = path.with_suffix(path.suffix + ".tmp")
    try:
        tmp.write_text(data, encoding="utf-8")
        os.replace(tmp, path)
        return True
    except OSError:
        return False
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例外を絞る（広すぎる except は避ける）

  • 悪例: except Exception: で全て飲み込む（バグが隠れる）。
  • 良例: 想定済みの具体例外だけを受け、未知は上位へ伝える。

例題で身につける（定番から一歩先まで）

例題1：読み込みの安全化（存在・権限・文字コード）

def read_text_safe(path: str) -> str | None:
    try:
        with open(path, "r", encoding="utf-8") as f:
            return f.read()
    except FileNotFoundError:
        print("ファイルが存在しません:", path)
    except PermissionError:
        print("権限がありません:", path)
    except UnicodeDecodeError:
        print("文字コード不一致:", path)
    return None
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例題2：CSV の頑健な処理（壊れた行は記録して前進）

import csv

def total_qty(path: str) -> int:
    total = 0
    try:
        with open(path, "r", encoding="utf-8", newline="") as f:
            for i, row in enumerate(csv.reader(f), start=1):
                try:
                    total += int(row[1])
                except (IndexError, ValueError) as e:
                    print(f"WARN line={i} {e} row={row}")
    except (FileNotFoundError, PermissionError) as e:
        print("I/O 失敗:", e)
    return total
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例題3：新規のみ生成（誤上書き防止）

def create_once(path: str, content: str) -> bool:
    try:
        with open(path, "x", encoding="utf-8", newline="\n") as f:
            f.write(content)
        return True
    except FileExistsError:
        print("既存のため作成しません:", path)
        return False
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例題4：JSON 読み（壊れた構文を検知してフェイルセーフ）

import json

def load_json_safe(path: str) -> dict | list | None:
    try:
        with open(path, "r", encoding="utf-8") as f:
            return json.load(f)
    except FileNotFoundError:
        print("ファイルが見つかりません:", path)
    except PermissionError:
        print("権限がありません:", path)
    except json.JSONDecodeError as e:
        print("JSON構文エラー:", e)
    return None
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まとめ

例外は「外部の不確実性」を安全に受け止めるための仕組みです。ファイル操作では、存在（FileNotFoundError）、権限（PermissionError）、種別不一致（IsADirectoryError/NotADirectoryError）、衝突（FileExistsError）、文字コード（UnicodeDecodeError）を軸に考え、try/except を「必要十分な範囲」で掛けるのが基本線。with で後片付けを自動化し、TOCTOU を例外ベースで回避、ユーザー向けメッセージと技術ログを分離する。未知の失敗は握り過ぎずに上位へ伝え、フェイルセーフで運用を止めない。これらを習慣化すれば、初心者でも例外に強い、堅牢なファイル処理を書けます。

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