概要
UPPER関数は「文字列をすべて大文字に変換する」関数です。英字を入力したときに小文字が混じっていても、UPPERを使えば一括で大文字に揃えられます。データの表記ゆれを防ぐ、コードやIDを統一する、検索や比較を安定させるなどに役立ちます。日本語や数字は変換されずそのまま残ります。
基本の使い方
書式
=UPPER(文字列)
例
=UPPER("excel") // "EXCEL"
=UPPER("Excel2025") // "EXCEL2025"
=UPPER(A2) // A2セルの文字列を大文字化
具体例
英字の表記ゆれを統一する
=UPPER(B2)
「abc」「Abc」「ABC」など混在していても「ABC」に統一できます。
コードやIDを大文字で管理する
=UPPER(C2)
商品コード「prd-001」を「PRD-001」に変換し、システムでの検索や一致判定を安定させます。
メールアドレスのドメイン部分を大文字化
=UPPER(D2)
「user@domain.com」→「USER@DOMAIN.COM」。比較や検証用に大文字化して扱えます。
応用テンプレート
検索用に大文字化して比較
=IF(UPPER(E2)="ABC","一致","不一致")
入力が「abc」でも「ABC」と一致判定できます。
LEFTやRIGHTと組み合わせて部分を大文字化
=UPPER(LEFT(F2,3)) & RIGHT(F2,LEN(F2)-3)
先頭3文字だけ大文字にして残りはそのまま。
TRIMと併用して余分なスペースを削除後に大文字化
=UPPER(TRIM(G2))
スペースを整えてから大文字化することで、クリーンなデータを作成できます。
SUBSTITUTEと組み合わせて特定部分を大文字化
=SUBSTITUTE(H2,"abc",UPPER("abc"))
文字列中の「abc」を「ABC」に置き換えます。
よくあるつまずきと対策
日本語や数字は変換されない
UPPERは英字のみ対象です。日本語や数字はそのまま残ります。
小文字と大文字の区別が必要な場面
検索や比較で大文字小文字を区別したい場合は、UPPERで統一してから比較すると安定します。
部分的に大文字化したい
UPPERは文字列全体を変換します。部分的に変換したい場合はLEFTやMIDなどと組み合わせます。
LOWERやPROPERとの違い
- UPPER：すべて大文字
- LOWER：すべて小文字
- PROPER：単語の先頭文字だけ大文字
例題
問題1: A2セルの文字列をすべて大文字に変換してB2に表示してください。
解答例:
=UPPER(A2)
問題2: C2セルのコード「prd-001」を大文字に変換してD2に表示してください。
解答例:
=UPPER(C2)
問題3: E2セルの文字列の先頭3文字を大文字に変換し、残りはそのままF2に表示してください。
解答例:
=UPPER(LEFT(E2,3)) & RIGHT(E2,LEN(E2)-3)
問題4: G2セルの文字列から余分なスペースを削除し、大文字に変換してH2に表示してください。
解答例:
=UPPER(TRIM(G2))
問題5: I2セルの文字列中の「abc」を「ABC」に置き換えてJ2に表示してください。
解答例:
=SUBSTITUTE(I2,"abc",UPPER("abc"))
まとめ
UPPERは「英字をすべて大文字に変換する」シンプルな関数です。表記ゆれを防ぎ、検索や一致判定を安定させるために非常に有効です。部分的に大文字化したい場合はLEFTやMIDと組み合わせ、余分なスペースや不要文字はTRIMやSUBSTITUTEと併用するとさらに実務で使いやすくなります。講師として強調したいのは「UPPERでデータを統一してから処理する」こと。これを習慣化すれば、文字列処理の精度が格段に向上します。