概要
Excelで「タブ文字」を挿入したいときに使うのが CHAR(9) です。これは「タブコード(TAB)」を表す特殊文字で、文字列の途中に挿入するとタブが入ります。セル内で見た目が大きく変わるわけではありませんが、テキストファイルに出力したり、他のシステムに渡すときに「区切り文字」として役立ちます。改行のCHAR(10)と同じように、結合演算子「&」と組み合わせて使うのが基本です。
基本の使い方
書式
=文字列1 & CHAR(9) & 文字列2
例
="東京都江東区" & CHAR(9) & "東陽町"
結果は「東京都江東区」と「東陽町」の間にタブが挿入されます。セル内ではスペースのように見えることもありますが、テキストファイルに保存するとタブ区切りとして認識されます。
具体例
名前と住所をタブで区切る
=A2 & CHAR(9) & B2
A2に「山田太郎」、B2に「東京都江東区」と入力されている場合、「山田太郎[TAB]東京都江東区」という文字列になります。
商品名と価格をタブで区切る
=C2 & CHAR(9) & D2
「りんご」と「120」がタブで区切られます。CSVではなくTSV(タブ区切り形式)に出力したいときに便利です。
日付と時刻をタブで区切る
=TEXT(E2,"yyyy/mm/dd") & CHAR(9) & TEXT(E2,"hh:mm")
「2025/12/16[TAB]22:10」のように整形されます。
応用テンプレート
複数項目をタブ区切りで並べる
=A2 & CHAR(9) & B2 & CHAR(9) & C2
3つのセルをタブで区切って1つの文字列にまとめます。
ラベルと値をタブで区切る
="住所:" & CHAR(9) & A2 & CHAR(9) & "電話:" & CHAR(9) & B2
「住所:[TAB]東京都江東区[TAB]電話:[TAB]03-XXXX-XXXX」のように出力されます。
TEXTJOINでタブ区切りを一括生成
=TEXTJOIN(CHAR(9),TRUE,A2:C2)
A2~C2の値をタブ区切りでまとめて表示できます。
よくあるつまずきと対策
セル内では見えにくい
タブはセル内ではスペースのように見えるため、効果が分かりにくいです。テキストファイルに保存すると「区切り文字」として機能します。
改行と混同しない
改行はCHAR(10)、タブはCHAR(9)。用途が違うので混同しないようにしましょう。
不要なタブを削除したい
SUBSTITUTEでCHAR(9)を空文字に置き換えます。
=SUBSTITUTE(A2,CHAR(9),"")
例題
問題1: A2セルの名前とB2セルの住所をタブで区切ってC2に表示してください。
解答例:
=A2 & CHAR(9) & B2
問題2: D2セルの商品名とE2セルの価格をタブで区切ってF2に表示してください。
解答例:
=D2 & CHAR(9) & E2
問題3: G2セルの日付を「yyyy/mm/dd」、時刻を「hh:mm」に整形し、タブで区切ってH2に表示してください。
解答例:
=TEXT(G2,"yyyy/mm/dd") & CHAR(9) & TEXT(G2,"hh:mm")
問題4: I2~K2の3つのセルをタブ区切りでまとめてL2に表示してください。
解答例:
=TEXTJOIN(CHAR(9),TRUE,I2:K2)
問題5: M2セルの文字列からタブを削除してN2に表示してください。
解答例:
=SUBSTITUTE(M2,CHAR(9),"")
まとめ
CHAR(9)は「タブ文字」を挿入するための特殊コードです。セル内では見えにくいですが、テキストファイルや他システムに渡すときに「区切り文字」として非常に重要です。改行のCHAR(10)と使い分け、TEXTJOINやSUBSTITUTEと組み合わせることで、タブ区切りのデータ整形が自在に行えます。講師として強調したいのは「CHAR(9)はExcel内よりも外部出力で真価を発揮する」という点。TSV形式やシステム連携で必ず役立ちます。
