概要
ROUNDは「数値を任意の桁で四捨五入」する関数です。小数点以下だけでなく、整数の十の位・百の位など“左側の桁”にも丸められます。引数で丸める桁を指定し、会計処理や表示整形、歩留り計算などで使います。切り上げはROUNDUP、切り捨てはROUNDDOWN、銀行型の丸めはMROUND/ROUNDで使い分けます。
基本の使い方
- 書式:
- 数値: 丸めたい値(セル参照可)
- 桁数: どの桁で丸めるか(0=整数、正=小数点以下、負=小数点より左)
=ROUND(数値, 桁数)
- 整数に四捨五入(小数点以下0桁):
- 説明: A2を整数に四捨五入。
=ROUND(A2, 0)
- 小数第2位まで(2桁):
- 説明: A2を小数第2位に丸め(例: 12.345 → 12.35)。
=ROUND(A2, 2)
- 十の位で丸め(-1桁):
- 説明: A2を十の位に丸め(例: 127 → 130)。
=ROUND(A2, -1)
具体例
- 例1: 税込金額の端数調整(小数2桁)
- ポイント: 消費税: 単価×1.1を小数2桁で丸めて表示。
=ROUND(B2 * 1.1, 2)
- 例2: 売上の“百の位”に丸め(見積の概算)
- ポイント: -2: 百の位で四捨五入(例: 12,449 → 12,400/12,450 → 12,500)。
=ROUND(C2, -2)
- 例3: 平均値の報告用フォーマット(1桁)
- ポイント: 連携: 他関数の結果にもそのまま使える。
=ROUND(AVERAGE(D2:D21), 1)
- 例4: 時間計測の丸め(小数3桁)
- ポイント: 秒: 12.3456秒 → 12.346秒。
=ROUND(E2, 3)
よくあるつまずきと対策
- 桁数の正負の意味を混同する:
- 対策: 正の桁数: 小数点以下。0: 整数。負の桁数: 十の位・百の位など左側。
- 見た目の書式と値の丸めを混同:
- 原因: セルの表示形式(小数2桁)だけでは値は丸まらない。
- 対策: 計算に使うならROUNDを適用。 表示だけならセルの表示形式で十分。
- 負の数の丸めの挙動に驚く:
- 説明: ROUNDは数学的な四捨五入(-1.5 → -2、-1.4 → -1)。
- 対策: 切り上げ/切り捨てを明示したい場合はROUNDUP/ROUNDDOWNを使う。
- 銀行型の丸め(偶数丸め)が必要:
- 対策: ExcelのROUNDは通常の四捨五入。偶数丸めが必要なら関数やロジックで対応(例: POWER/INT組み合わせ、またはMROUNDで指定の倍数へ丸め)。
関連関数の使い分け
- 四捨五入(ROUND)
=ROUND(数値, 桁数)
=ROUND(数値, 桁数)
- 切り上げ(ROUNDUP)
=ROUNDUP(数値, 桁数)- 例: 小数第2位で切り上げ →
=ROUNDUP(A2, 2)
- 例: 小数第2位で切り上げ →
=ROUNDUP(数値, 桁数)
- 切り捨て(ROUNDDOWN)
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)- 例: 十の位で切り捨て →
=ROUNDDOWN(A2, -1)
- 例: 十の位で切り捨て →
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
- 指定の倍数へ丸め(MROUND)
=MROUND(数値, 基数)- 例: 5の倍数へ丸め →
=MROUND(A2, 5)
- 例: 5の倍数へ丸め →
=MROUND(数値, 基数)
- 整数への上方向/下方向(CEILING/FLOOR)
- 例: 0.5刻みで上げ/下げ。
=CEILING(数値, 基数)
=FLOOR(数値, 基数)
応用テンプレート
- 小数第2位に丸めて税込合計(数量×単価)
=ROUND(Qty*Price*1.1, 2)
- 百の位で概算+桁数可変(セル参照) 桁数をH1に指定(例: -2)
=ROUND(A2, H1)
- 倍数丸め(送料やロット) 50単位に丸め
=MROUND(B2, 50)
- 負数の処理を明確化(切り上げ/切り捨て)
=ROUNDUP(A2, 0) // 常に上へ
=ROUNDDOWN(A2, 0) // 常に下へ
練習問題
- 問題1: A2の値を整数に四捨五入してA3に表示してください。
- 解答例:
=ROUND(A2, 0)
- 問題2: B2の金額を小数第2位に四捨五入してB3に表示してください。
- 解答例:
=ROUND(B2, 2)
- 問題3: C2の値を十の位で四捨五入してC3に表示してください。
- 解答例:
=ROUND(C2, -1)
- 問題4: D2の合計(数量×単価×1.1)を小数第2位で丸めてD3に表示してください。
- 解答例:
=ROUND(D2*1.1, 2)
まとめ
- 丸めの基本:
=ROUND(数値, 桁数)(正=小数、0=整数、負=左側の桁) - 表示と値は別: 計算に使うならROUNDで値を丸める
- 目的で選ぶ: 四捨五入=ROUND、切り上げ=ROUNDUP、切り捨て=ROUNDDOWN、倍数=MROUND
- 柔軟性: 桁数や基数はセル参照にするとメンテが楽
