概要
EVENは「指定した数値を“ゼロから遠ざかる方向”にある最も近い偶数へ丸める」関数です。正の数は切り上げて偶数に、負の数は切り下げて偶数になります。すでに偶数ならそのまま返します。ロット数を偶数単位に揃える、ページ数や席数を偶数で確保する、時間枠を偶数分単位に丸めるなどに使えます。
基本の使い方
書式
=EVEN(数値)
- 数値が正の場合は「次の偶数」へ切り上げ
- 数値が負の場合は「次の偶数」へ切り下げ(ゼロから遠ざかる)
- すでに偶数整数ならそのまま
例
=EVEN(3) // 4
=EVEN(4) // 4
=EVEN(3.2) // 4
=EVEN(0) // 0
=EVEN(-3) // -4
=EVEN(-3.2) // -4
具体例
ロット数を偶数に丸める(正の数)
=EVEN(A2)
A2が奇数や小数でも、偶数の整数に切り上げます。2個単位での発注に合わせられます。
席数を安全側(多め)に確保
=EVEN(B2)
B2が希望人数のとき、偶数席で確保したい場合に有効です(余りが出ません)。
時間枠を偶数分単位に丸める
分数がD2にあり、偶数分単位で区切りたいとき:
=EVEN(D2)
例:31分→32分、57分→58分。
応用テンプレート
偶数単位での梱包数(1箱2個、必要数を偶数化)
=EVEN(必要数)
必要数が奇数でも、次の偶数に丸めて不足が出ないようにできます。
偶数ページに揃える(製本・印刷)
総ページ数がF2のとき、偶数ページに揃える:
=EVEN(F2)
片面印刷や見開きの都合に合わせられます。
マイナス値も“安全側”に(在庫調整の下限)
負の調整量G2を偶数に切り下げて丸め:
=EVEN(G2)
-1.3→-2、-3→-4 のように、ゼロから遠ざかる方向で偶数になります。
奇数・偶数で分岐
=IF(ISEVEN(A2), A2, EVEN(A2))
すでに偶数ならそのまま、奇数なら偶数へ丸めます。
よくあるつまずきと対策
「ゼロから遠ざかる」丸めに注意
EVENは正で切り上げ、負で切り下げます。-3→-4、-3.2→-4 と“絶対値が大きくなる”方向です。負数を「ゼロに近づけたい」なら CEILING.MATH や INT と組み合わせを検討してください。
=CEILING.MATH(-3.2, 2) // -2(ゼロに近づく側の偶数)
小数は必ず整数の偶数に
EVENは「偶数の整数」を返します。小数の偶数(例:2.4)には丸めません。小数の偶数ステップが必要なら MROUND を使います(2刻みなら 2 の倍数に丸め)。
=MROUND(A2, 2)
文字列数値でエラー
“3” のような文字列は計算できません。NUMBERVALUEやVALUEで数値化してから適用します。
=EVEN(NUMBERVALUE(A2))
既に偶数なら変わらない
4、-6、0などはそのまま返ります。丸めの有無を確認したい場合は ISEVEN と組み合わせてフラグを出すのが便利です。
=ISEVEN(A2) // TRUEなら偶数
例題
問題1: A2の数量を偶数に丸めてB2に表示してください。
解答例:
=EVEN(A2)
問題2: C2の人数を偶数席に揃えてD2に表示してください(不足が出ないように多めに丸め)。
解答例:
=EVEN(C2)
問題3: E2の分数を偶数分に丸めてF2に表示してください。
解答例:
=EVEN(E2)
問題4: G2が奇数なら偶数へ丸め、偶数ならそのままをH2に表示してください。
解答例:
=IF(ISEVEN(G2), G2, EVEN(G2))
問題5: 文字列で与えられた数値J2(例: “17”)を偶数に丸めてK2に表示してください。
解答例:
=EVEN(NUMBERVALUE(J2))
まとめ
EVENは「正は切り上げ、負は切り下げ」で“ゼロから遠ざかる”最も近い偶数へ丸める関数です。ロット・席数・ページ数など偶数単位の業務に相性が良く、ISEVEN、MROUND、CEILING.MATHと使い分けると意図どおりの丸めが設計できます。文字列数値の前処理と、負数の挙動への理解を押さえれば、安心してテンプレートに組み込めます。
