概要
ROUNDUPは「数値を任意の桁で切り上げ」する関数です。小数点以下だけでなく、十の位・百の位など“左側の桁”にも切り上げできます。常に大きい方向へ丸めるので、見積の安全側計算、最小注文単位、時間や容量の上限見積などに向いています。切り捨てはROUNDDOWN、四捨五入はROUNDを使い分けます。
基本の使い方
- 書式:
- 数値: 切り上げたい値(セル参照可)
- 桁数: どの桁で切り上げるか(0=整数、正=小数点以下、負=小数点より左)
=ROUNDUP(数値, 桁数)
- 整数に切り上げ(小数点以下0桁):
- 説明: 12.01 → 13、-12.01 → -13(負数も“絶対値を増やす”方向に切り上げ)。
=ROUNDUP(A2, 0)
- 小数第2位で切り上げ:
- 説明: 12.341 → 12.35(常に上げる)。
=ROUNDUP(A2, 2)
- 十の位で切り上げ(-1):
- 説明: 127 → 130、-127 → -130。
=ROUNDUP(A2, -1)
具体例
- 例1: 税込の端数を常に上方向(2桁)
- ポイント: 安全側: 金額を報告・請求で過少計上しない。
=ROUNDUP(B2*1.1, 2)
- 例2: 最小注文単位に合わせた個数(十の位)
- ポイント: ロット: 63個→70個へ切り上げ。
=ROUNDUP(C2, -1)
- 例3: 作業時間の見積(15分単位は後述MROUND/CEILING)
- ポイント: 小数: 1.21h → 1.3h(6分単位で上げたい場合の例)。
=ROUNDUP(D2, 1)
- 例4: 平均値を安全側表示
- ポイント: 他関数と併用: 集計後に切り上げ。
=ROUNDUP(AVERAGE(E2:E21), 0)
よくあるつまずきと対策
- 桁数の“正・0・負”を混同しがち:
- 対策: 正: 小数点以下。0: 整数。負: 十の位・百の位など左側。
- 表示形式だけでは値は切り上がらない:
- 原因: セルの表示設定(小数2桁)は見た目のみ。
- 対策: 計算に使うならROUNDUPで値を加工。
- 負の数の動きに注意:
- 説明: ROUNDUPは“絶対値を増やす方向”へ切り上げ(-1.1→-2)。
- 対策: 挙動を前提にした上で使う。負数で「0方向へ」上げたいならCEILING.MATHの設定を検討。
- 特定の倍数で切り上げたい:
- 対策: CEILING/MROUND を使用(下の関連関数)。
関連関数の使い分け
- 四捨五入(ROUND)
- 用途: 標準的な丸め。
=ROUND(数値, 桁数)
- 切り捨て(ROUNDDOWN)
- 用途: 常に小さい方向へ。
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
- 指定倍数へ切り上げ(CEILING / CEILING.MATH)
- 例: 15分単位へ切り上げ →
=CEILING(Time, 0.25)
- 例: 15分単位へ切り上げ →
=CEILING(数値, 基数)
=CEILING.MATH(数値, [基数], [モード])
- 指定倍数へ丸め(MROUND)
- 例: 5の倍数へ(四捨五入型)→
=MROUND(A2, 5)
切り上げに限定したいならCEILINGを使用。
- 例: 5の倍数へ(四捨五入型)→
=MROUND(数値, 基数)
応用テンプレート
- 税込合計を2桁で切り上げ(数量×単価×税)
=ROUNDUP(Qty*Price*1.1, 2)
- 桁数をセルで可変化(運用しやすく) 桁数をH1に指定(例: -2)
=ROUNDUP(A2, H1)
- 15分単位へ切り上げ(時間の端数処理) 1時間=1、小数で時間を表すとき
=CEILING(A2, 0.25)
- 最小ロット(50単位)へ切り上げ
=CEILING(B2, 50)
- マイナス値の扱いを一定に(整数へ切り上げ/切り捨て)
=ROUNDUP(A2, 0)
=ROUNDDOWN(A2, 0)
練習問題
- 問題1: A2の値を整数に切り上げてA3に表示してください。
- 解答例:
=ROUNDUP(A2, 0)
- 問題2: B2の金額を小数第2位で切り上げてB3に表示してください。
- 解答例:
=ROUNDUP(B2, 2)
- 問題3: C2の値を十の位で切り上げてC3に表示してください。
- 解答例:
=ROUNDUP(C2, -1)
- 問題4: D2の合計(数量×単価×1.1)を小数第2位で切り上げてD3に表示してください。
- 解答例:
=ROUNDUP(D2*1.1, 2)
- 問題5: 作業時間A2(時間表記)を15分単位へ切り上げてA3に表示してください。
- 解答例:
=CEILING(A2, 0.25)
まとめ
- 基本:
=ROUNDUP(数値, 桁数)(正=小数、0=整数、負=左側の桁) - 常に上方向: 負数も“絶対値を増やす”方向へ
- 倍数単位: 切り上げはCEILING、丸めはMROUND
- 運用性: 桁数や基数はセル参照にすると管理が楽
