概要
ROUNDDOWNは「数値を任意の桁で切り捨て」する関数です。ROUNDが四捨五入、ROUNDUPが切り上げなのに対し、ROUNDDOWNは常に小さい方向(絶対値を減らす方向)へ丸めます。小数点以下を切り捨てたいときや、見積を控えめに出したいとき、余裕を持った計算をしたいときに便利です。
基本の使い方
- 書式:
- 数値: 切り捨てたい値(セル参照や計算結果も可)
- 桁数: どの桁で切り捨てるか(0=整数、正=小数点以下、負=小数点より左)
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
- 整数に切り捨て(小数点以下0桁):
=- 説明: 12.99 → 12、-12.99 → -12。
=ROUNDDOWN(A2, 0)
- 小数第2位で切り捨て:
- 説明: 12.349 → 12.34。
=ROUNDDOWN(A2, 2)
- 十の位で切り捨て(桁数に負を使う):
- 説明: 127 → 120、-127 → -120。
=ROUNDDOWN(A2, -1)
具体例
- 例1: 税込金額を控えめに計算(2桁)
- ポイント: 請求金額を過大にしないように端数を切り捨て。
=ROUNDDOWN(B2*1.1, 2)
- 例2: 売上を十の位で切り捨て(概算)
- ポイント: 63 → 60、127 → 120。
=ROUNDDOWN(C2, -1)
- 例3: 平均値を整数に切り捨て
- ポイント: 他関数の結果にもそのまま適用可能。
=ROUNDDOWN(AVERAGE(D2:D21), 0)
- 例4: 時間計測の切り捨て(小数3桁)
- ポイント: 12.3456秒 → 12.345秒。
=ROUNDDOWN(E2, 3)
よくあるつまずきと対策
- 桁数の意味を混同しがち
- 正: 小数点以下。
- 0: 整数。
- 負: 十の位・百の位など左側。
- 表示形式と値の切り捨てを混同
- 原因: セルの表示形式(小数2桁)は見た目だけ。
- 対策: 計算に使う値を切り捨てたいならROUNDDOWNを式に適用。
- 負の数の動きに注意
- 説明: ROUNDDOWNは“絶対値を減らす方向”へ切り捨て(-1.9→-1)。
- 対策: 挙動を理解して使う。
- 倍数単位で切り捨てたい
- 対策: FLOOR関数を使用すると「基数の倍数」へ切り捨て可能。
関連関数の使い分け
- 四捨五入(ROUND)
=ROUND(数値, 桁数)
- 切り上げ(ROUNDUP)
=ROUNDUP(数値, 桁数)
- 指定倍数へ切り捨て(FLOOR / FLOOR.MATH)
- 例: 15分単位へ切り捨て →
=FLOOR(A2, 0.25)
- 例: 15分単位へ切り捨て →
=FLOOR(数値, 基数)
=FLOOR.MATH(数値, [基数], [モード])
応用テンプレート
- 税込合計を2桁で切り捨て(数量×単価×税)
=ROUNDDOWN(Qty*Price*1.1, 2)
- 桁数をセルで可変化 桁数をH1に指定(例: -2)
=ROUNDDOWN(A2, H1)
- 時間を15分単位へ切り捨て
=FLOOR(A2, 0.25)
- 最小ロット(50単位)へ切り捨て
=FLOOR(B2, 50)
練習問題
- 問題1: A2の値を整数に切り捨ててA3に表示してください。
- 解答例:
=ROUNDDOWN(A2, 0)
- 問題2: B2の金額を小数第2位で切り捨ててB3に表示してください。
- 解答例:
=ROUNDDOWN(B2, 2)
- 問題3: C2の値を十の位で切り捨ててC3に表示してください。
- 解答例:
=ROUNDDOWN(C2, -1)
- 問題4: D2の合計(数量×単価×1.1)を小数第2位で切り捨ててD3に表示してください。
- 解答例:
=ROUNDDOWN(D2*1.1, 2)
- 問題5: 作業時間A2(時間表記)を15分単位へ切り捨ててA3に表示してください。
- 解答例:
=FLOOR(A2, 0.25)
まとめ
- 基本:
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)(正=小数、0=整数、負=左側の桁) - 常に下方向: 負数も“絶対値を減らす”方向へ
- 倍数単位: 切り捨てはFLOOR、切り上げはCEILING
- 運用性: 桁数や基数はセル参照にすると管理が楽
