概要
割合は「部分 ÷ 全体」で求めます。Excelでは単純に /(スラッシュ)で割り算し、必要なら%表示に切り替えます。分母が0のときはエラーになるためIFERRORで保護したり、分母が0かを先に判定して空欄や0を返すのが実務的です。
基本の考え方(部分 ÷ 全体)
- 書式:
- 部分: あるカテゴリや値の一部(例: 部門ごとの売上)
- 全体: 合計や母数(例: 全社売上)
=部分 / 全体
- %表示の切り替え:
- 手順: 計算式を入れたセルを選択 → [ホーム] → [数値] → [パーセンテージ](必要なら小数桁数を増減)。
- 分母が0のときの保護:
=IFERROR(部分/全体, 0)
または
=IF(全体=0, 0, 部分/全体)
具体例
- 例1: 構成比(カテゴリの売上が全体に占める割合)
- ポイント: 絶対参照: 全体(合計セル)を$で固定してコピーを楽に。
=B2 / $B$101
- 例2: 進捗率(完了/総タスク)
- ポイント: %表示: 0.75 → 75% に表示変更。
=完了数 / 総タスク
- 例3: 原価率(原価/売上)
- ポイント: 0割回避: 売上が0の場合はIFで0や空欄にする。
=原価 / 売上
- 例4: クリック率(CTR = クリック/表示回数)
- ポイント: 桁の調整: 小数2〜3桁が見やすい。
=クリック数 / 表示回数
- 例5: 出現率(COUNTIFと組み合わせ) 件数A列、総数はA2:A200
- ポイント: 分母にCOUNTA: 非空セル数で母数を定義。
=COUNTIF(A2:A200, "東京") / COUNTA(A2:A200)
表示形式の設定(見た目と値をそろえる)
- %で表示する:
- 説明: 値は 0.25(25%)のように保持。見た目だけを%にする。
- 小数桁の調整:
- 説明: %表示にした後、[ホーム] → [小数点表示/非表示]で桁数を増減。
- 数値の丸めを明示したいとき:
=ROUND(部分/全体, 4) // 小数第4位で丸め
応用テンプレート
- 合計セルを固定して構成比を全行に展開 合計がB101
- 説明: 下方向にコピーしても分母がずれない。
=B2 / $B$101
- 動的合計で構成比(列合計を式で参照)
=B2 / SUM($B$2:$B$100)
- 分母ゼロ対策付きの進捗率
=IF(総タスク=0, "", 完了/総タスク)
- 割合差(前年比の伸び率)
- 説明: 10%増なら0.10。%表示にすると10%。
=(今年 - 昨年) / 昨年
- 寄与率(個別の増分が全体増分に占める割合)
=(今年個別 - 昨年個別) / (今年合計 - 昨年合計)
- 平均に対する比率(値/平均)
=値 / AVERAGE(範囲)
よくあるつまずきと対策
- リテラル%で混乱する
- 対策: 数式中で「10%」と書くのは0.1。セルの%表示を使う方が安全。
- 分母が0で #DIV/0! エラー
- 対策: IF/IFERRORで保護し、表示仕様(空欄/0/—)を決める。
- 合計のセル参照がコピーでズレる
- 対策: 合計セルは絶対参照($)で固定。
- 割合の解釈ミス(構成比 vs 増減率)
- 対策: 構成比は「部分/全体」、増減率は「差/基準」。意味が違うので式を使い分ける。
- 表示形式だけ%にして計算に未丸め
- 対策: 報告値の桁を固定したいならROUNDを併用。
練習問題
- 問題1: B列=売上、B101=合計。各行の構成比をC列に表示してください。
- 解答例:
=B2 / $B$101
- 問題2: 完了数D2、総タスクE2。進捗率をF2に、分母0なら空欄を表示してください。
- 解答例:
=IF(E2=0, "", D2/E2)
- 問題3: 今年売上G2、昨年売上H2。伸び率をI2に表示してください(%表示)。
- 解答例:
=(G2-H2)/H2
- 問題4: A2:A200のうち「東京」の出現率をB201に表示してください。
- 解答例:
=COUNTIF(A2:A200,"東京")/COUNTA(A2:A200)
- 問題5: 列Bの各行の値を列B全体の平均に対する比率でC列に表示してください。
- 解答例:
=B2 / AVERAGE($B$2:$B$200)
まとめ
- 基本: 割合は「部分/全体」、%表示で見やすくする
- 運用: 分母ゼロ対策、絶対参照の固定、必要に応じて丸め
- 使い分け: 構成比、進捗率、伸び率、寄与率など目的で式を変える
