概要
INTは「数値を小数点以下切り捨て(負の数はより小さい整数へ)て“整数”を返す」関数です。正の数は単純に小数点以下を捨て、負の数はゼロから遠ざかる方向に丸めます。加算や割り算の結果を安全側に“下方向”へ整数化したいときに使います。TRUNCとの違い、FLOOR/CEILINGとの使い分けを押さえるとミスが減ります。
基本の使い方
書式
=INT(数値)
数値の小数部分を切り捨て、整数を返します(負の数はより小さい側へ)。
例
=INT(3.9) // 3
=INT(3.0) // 3
=INT(0.99) // 0
=INT(-3.1) // -4 (ゼロから遠ざかる方向)
=INT(A2+B2) // 加算結果を下方向へ整数化
具体例
加算結果を“下方向”で整数化(安全側)
合計を切り捨てて整数にしたいとき:
=INT(A2 + B2)
端数を出さず、常に下方向(負側)へ丸めます。
単価×数量の端数を捨てる(課金の下限側)
=INT(単価 * 数量)
課金や見積で端数を切り捨てるルールに対応します(規約が“切り捨て”のとき)。
ページ/席/ロットの“満数だけ”を使う
=INT(人数 / 2) // 2人1組の“満数組”だけを数える
余りが出ても切り捨てて“完全な単位”のみカウントします。
日付・時刻の小数を日単位に丸める
Excelの日時はシリアル値(整数が日、少数が時間)なので、日だけ抽出:
=INT(開始日時) // 日だけ(0:00時点)へ
応用テンプレート
TRUNCとの使い分け(負の数の挙動)
TRUNCは「ゼロ方向」へ、INTは「下方向」へ。
=TRUNC(-3.9) // -3 (ゼロへ近づく)
=INT(-3.9) // -4 (下へ)
ルールが“ゼロ方向”ならTRUNC、“下方向”ならINT。
FLOOR/CEILINGでステップ丸め(2刻みなど)
2の倍数へ下方向丸め(正・負を問わず一貫して“下”へ):
=FLOOR.MATH(数値, 2)
上方向なら:
=CEILING.MATH(数値, 2)
INTはステップ無しの“1刻み下方向”専門です。
しきい値で安全側に丸める前に調整
極小の負誤差をゼロ扱いしてからINT:
=INT(IF(ABS(X2)<1E-9, 0, X2))
文字列数値の前処理
テキストとして入っている数値を整数化:
=INT(NUMBERVALUE(A2))
よくあるつまずきと対策
負の数が“より小さく”なる理由
INTは常に“下方向”へ。-3.1 は -4 になります。ゼロへ近づけたいなら TRUNC を選んでください。
=TRUNC(-3.1) // -3
端数の扱いルールが“切り上げ/四捨五入”の場面
切り上げなら CEILING.MATH、四捨五入なら ROUND を使います。INTは“切り捨て”専用です。
=CEILING.MATH(A2+B2) // 切り上げ
=ROUND(A2+B2, 0) // 四捨五入
文字列や空文字でエラー
“3.9” や “” はそのままでは計算不可。NUMBERVALUE/VALUEで数値化してからINT。
=INT(NUMBERVALUE(A2))
日時で“日”に丸めたときの表示
INTで日付の整数部分だけを取り出すと 0:00 時になります。表示形式を「日付」にして意味が伝わるようにします。
例題
問題1: A2とB2の合計を下方向に丸めて整数をC2に表示してください。
解答例:
=INT(A2 + B2)
問題2: 単価D2×数量E2の金額の端数を切り捨て、F2に整数で表示してください。
解答例:
=INT(D2 * E2)
問題3: 人数G2を“2人1組”で完全に組める最大組数をH2に表示してください。
解答例:
=INT(G2 / 2)
問題4: 時刻を含む日時I2から“日だけ”を取り出し、J2に表示してください。
解答例:
=INT(I2)
問題5: 文字列で与えられた数値K2(例: “123.7”)を切り捨てて整数をL2に表示してください。
解答例:
=INT(NUMBERVALUE(K2))
まとめ
INTは“常に下方向”へ小数を捨てて整数化するため、加算・除算の結果を安全側に揃えるロジックに向いています。負の数の挙動がTRUNCと異なる点が重要。ステップ丸めはFLOOR/CEILING、四捨五入はROUND、ゼロ方向ならTRUNCと使い分けると意図どおりにできます。文字列前処理と表示形式の調整もセットで運用すると、現場でブレない式になります。

