概要
Excelで「半角カタカナ」を「全角カタカナ」に変換したいときに使うのが JIS関数 です。ASC関数が「全角→半角」なのに対して、JIS関数はその逆で「半角→全角」に変換します。データ入力時に半角カナが混ざってしまうと検索や帳票で不揃いになるため、JISで統一するのが定石です。
基本の使い方
書式
=JIS(文字列)
例
=JIS("カタカナ") // "カタカナ"
=JIS("デンワ") // "デンワ"
=JIS(A2) // A2セルの半角カナを全角に変換
具体例
半角カタカナを全角に変換
=JIS("ハンカクカナ")
結果は「ハンカクカナ」。帳票や印刷物で見やすく整えられます。
半角カナ+数字を全角に変換
=JIS("デンワ1234")
結果は「デンワ1234」。数字も全角に変換されます。
セル参照で使う
=JIS(B2)
B2に「ミカン」と入力されていれば「ミカン」に変換されます。
応用テンプレート
TRIMと組み合わせて余分なスペースを削除
=JIS(TRIM(C2))
半角スペースを全角に変換し、さらに余分なスペースを削除してクリーンな文字列に。
SUBSTITUTEと組み合わせて記号を整形
=SUBSTITUTE(JIS(D2),"ー","ー")
半角長音「ー」を全角長音「ー」に統一。
VALUEと組み合わせて数値を扱う場合
=VALUE(ASC(JIS(E2)))
JISで全角化した後にASCで半角化し、数値に変換する応用例。文字列処理の流れを理解するための練習になります。
よくあるつまずきと対策
ひらがな・漢字は変換されない
JISは半角英数字・半角カタカナ・半角スペースが対象です。ひらがなや漢字はそのまま残ります。
半角と全角の違いが見えにくい
見た目では分かりづらいですが、検索や一致判定では別文字として扱われます。JISで統一してから処理すると安定します。
ASCとの違いを理解する
- ASC:全角 → 半角
- JIS:半角 → 全角
このペアを覚えておくと文字列処理がスムーズになります。
例題
問題1: A2セルの文字列「カタカナ」を全角に変換してB2に表示してください。
解答例:
=JIS(A2)
問題2: C2セルの文字列「デンワ1234」を全角に変換してD2に表示してください。
解答例:
=JIS(C2)
問題3: E2セルの文字列「ミカン」を全角に変換してF2に表示してください。
解答例:
=JIS(E2)
問題4: G2セルの文字列を全角に変換し、さらに余分なスペースを削除してH2に表示してください。
解答例:
=JIS(TRIM(G2))
問題5: I2セルの文字列を全角に変換した後、半角長音「ー」を全角長音「ー」に統一してJ2に表示してください。
解答例:
=SUBSTITUTE(JIS(I2),"ー","ー")
まとめ
JIS関数は「半角文字を全角に変換する」関数で、帳票や正式文書の整形に欠かせません。全角カタカナや全角数字、全角スペースに統一することで、見た目が整い、検索や一致判定も安定します。講師として強調したいのは「ASCとJISは対になる関数」。この2つを使い分ければ、Excelでの文字列処理が一気に快適になります。
