概要
SQRTは「平方根(√)」を求める関数です。数値xに対して、xの平方根を返します。0以上の数値なら実数の平方根を返し、負の数値に対してはエラー(#NUM!)になります。距離計算、誤差評価、面積から一辺の長さを求めるなど、初歩から実務まで幅広く使えます。
基本の使い方
書式
=SQRT(数値)
数値が0以上ならその平方根を返します。
例
=SQRT(9) // 3
=SQRT(2) // ≈1.414213562
=SQRT(0) // 0
=SQRT(A2) // A2の平方根
負の数の扱い
=SQRT(-4) // #NUM!(負の数は実数平方根なし)
負の可能性があるデータはABSで保護します(数学的意味が合う場合のみ)。
=SQRT(ABS(A2))
具体例
面積から一辺の長さを求める(正方形)
=SQRT(面積)
面積=225なら一辺=15。入力が負の可能性があるならABSで保護します。
ユークリッド距離(2次元)
=SQRT((X2-X1)^2 + (Y2-Y1)^2)
座標間の直線距離を求めます。演算子「^」はべき乗です。
標準誤差の一部に使う例(分散の平方根)
分散がセルD2にある場合の標準偏差:
=SQRT(D2)
分散から平方根を取ると標準偏差になります(理論条件は別途確認)。
応用テンプレート
平方根を指数表現(POWER)で書く
=POWER(数値, 0.5)
SQRTと同等です。関数統一をしたいときに便利。
時間差や日数から派生量を作る
DurationがセルB2の正値なら、その“平方根スケール”を使うモデル:
=SQRT(B2)
スケーリングの仮説検証で使えます。
誤差の平方根(RMSEの最後の一手)
残差二乗和がS、件数がnならRMSE:
=SQRT(S / n)
ゼロ近傍の安定化(微小負値をゼロ扱い)
計算誤差で-1E-12のような値が出るケース:
=SQRT(MAX(0, A2))
負の微小値を0に丸めてから平方根を取ります。
よくあるつまずきと対策
#NUM! エラー(負の入力)
負の数値はSQRTで実数解がないためエラーになります。入力の意味に応じてABS、MAX、IFで保護してください。
=IF(A2<0, "", SQRT(A2))
数値に見える文字列
「”9″」のような文字列はSQRTでエラー。NUMBERVALUEやVALUEで数値化します。
=SQRT(NUMBERVALUE(A2))
精度と表示
平方根は無限小数になることが多いので、見やすい桁に丸めます。
=ROUND(SQRT(A2), 4)
べき乗との混同
平方根は「2乗の逆」。根の一般形(n乗根)はPOWERで書きます。
=POWER(数値, 1/n)
例題
問題1: A2に面積が入っています。正方形の一辺の長さをB2に表示してください。
解答例:
=SQRT(A2)
問題2: 点P1=(A2,B2)、P2=(C2,D2)の距離をE2に表示してください。
解答例:
=SQRT((C2-A2)^2 + (D2-B2)^2)
問題3: 分散がF2に入っています。標準偏差をG2に表示してください。
解答例:
=SQRT(F2)
問題4: 入力H2が負なら空欄、0以上なら平方根をI2に表示してください。
解答例:
=IF(H2<0, "", SQRT(H2))
問題5: 文字列で与えられた数値J2(例: “16”)の平方根をK2に表示してください。
解答例:
=SQRT(NUMBERVALUE(J2))
まとめ
SQRTは「0以上の数値の平方根」を素直に返す基本関数です。負の入力への保護、文字列数値の変換、丸め表示を押さえると実務で安定します。距離計算、分散から標準偏差、スケーリング仮説など、平方根は多くのモデルの“最後の一手”として使えます。
