概要
日本の一般的な会計年度（4月始まり）を求めるなら、「月が1〜3月なら前年、4〜12月なら当年」というルールでIF関数を使います。日付から月と年を取り出し、条件分岐で年度年（YYYY）を返すのが最短です。年度ラベル（例：2024年度、2024-2025）や年度開始・終了日も合わせて作れます。
基本の考え方
「4月始まりの年度」は、4〜12月が“当年”、1〜3月が“前年扱い”です。月を判定するにはMONTH(日付)、年はYEAR(日付)を使い、IFで分岐します。
- 月が4未満なら YEAR(日付)-1
- それ以外なら YEAR(日付)
基本の使い方
年度年（YYYY）を返す
=IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2))
A2が1〜3月なら前年、4〜12月なら当年の“年度年”を返します。
「YYYY年度」と文字列で表示
=IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2)) & "年度"
「YYYY-YYYY」の年度レンジを表示
=IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2)) & "-" & IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2), YEAR(A2)+1)
例：2024年度なら「2024-2025」。
具体例
年度の“開始日（4/1）”を求める
=DATE(IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2)), 4, 1)
年度の“終了日（翌年3/31）”を求める
=DATE(IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2), YEAR(A2)+1), 3, 31)
年度の“月番号（1〜12）”を求める（4月=1, 3月=12）
=MOD(MONTH(A2)+8,12)+1
応用テンプレート
年度キー（YYYYMMの年度基準）を作る
年度年×年度内月番号で「YYYYMM」キーに整形。
=TEXT(IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2)),"0000") & TEXT(MOD(MONTH(A2)+8,12)+1,"00")
当年度の全月リスト（4月〜翌年3月）を生成（Microsoft 365）
=LET(
fy, IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2)),
start, DATE(fy,4,1),
TEXT(EDATE(start, SEQUENCE(12,1,0,1)), "yyyy/mm")
)
当年度の週次・月次集計の期間条件（SUMIFS用）
週次や月次で集計する際、年度の開始・終了を条件に。
=SUMIFS(売上範囲, 日付範囲, ">="&DATE(IF(MONTH(A2)<4,YEAR(A2)-1,YEAR(A2)),4,1), 日付範囲, "<="&DATE(IF(MONTH(A2)<4,YEAR(A2),YEAR(A2)+1),3,31))
よくあるつまずきと対策
3月末/4月頭の境界
年度切替は「4/1」。3/31は前年度、4/1は新年度。境界日をまたぐ条件では“開始>=4/1”“終了<=翌年3/31”の両条件を必ず設定します。
文字列日付の誤解釈
“YYYY/MM/DD”を文字列で持つと環境依存で不安定。セルを“日付”として入力するか、DATE(年,月,日)で生成しましょう。
年度が4月始まりでない場合
始まり月がmなら「MONTH< m」で前年、それ以外は当年に調整します。例：7月始まりなら IF(MONTH(A2)<7, YEAR(A2)-1, YEAR(A2))。
年度ラベルのゼロ埋め
文字列化はTEXTで行うと安全です。TEXT(年度年,"0000") を使うと整います。
例題
問題1: A2の日付の“年度年（YYYY）”をB2に表示してください。
=IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2))
問題2: A2の日付の“年度ラベル（YYYY年度）”をC2に表示してください。
=IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2)) & "年度"
問題3: A2の日付の“年度レンジ（YYYY-YYYY）”をD2に表示してください。
=IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2)) & "-" & IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2), YEAR(A2)+1)
問題4: A2が属する“年度の開始日（4/1）”をE2、“終了日（翌年3/31）”をF2に表示してください。
開始日:
=DATE(IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2)-1, YEAR(A2)), 4, 1)
終了日:
=DATE(IF(MONTH(A2)<4, YEAR(A2), YEAR(A2)+1), 3, 31)
問題5: A2の日付の“年度内月番号（4月=1 … 3月=12）”をG2に表示してください。
=MOD(MONTH(A2)+8,12)+1
まとめ
年度判定の核は「IF(MONTH<開始月, YEAR-1, YEAR)」。これで年度年が決まれば、DATEで開始・終了日、MODで年度内月番号、TEXTでラベルやキーまで一気通貫。4月始まり以外の年度にも“開始月を変えるだけ”で応用でき、週次・月次の集計条件設計がシンプルに整います。