概要
TRIM関数は「文字列の前後にある余分なスペースを削除し、単語間のスペースを1つに整える」関数です。データ入力時にありがちな「前後に空白が入ってしまう」「複数スペースが混じる」といった問題を解消できます。特に外部データを取り込んだときや、コピー&ペーストで余計な空白が紛れ込んだときに役立ちます。
基本の使い方
書式
=TRIM(文字列)
例
=TRIM(" 東京 江東区 ") // "東京 江東区"
=TRIM(A2) // A2セルの前後スペースを削除
具体例
前後のスペースを削除して検索や一致判定を安定化
=TRIM(B2)
B2に「 山田 」と入力されていても「山田」に整えられるため、検索や一致判定でエラーが減ります。
複数スペースを1つにまとめる
=TRIM("東京都 江東区 東陽町")
結果は「東京都 江東区 東陽町」。単語間のスペースが1つに整います。
他関数と組み合わせてクリーンな文字列を扱う
=LEN(TRIM(C2))
文字数を数える前にTRIMで整えることで、余計なスペースを含まない正しい文字数を取得できます。
応用テンプレート
検索用にデータを整える
=IF(TRIM(D2)="江東区","一致","不一致")
余分なスペースがあっても「江東区」と一致判定できます。
数値やコードの前後スペースを削除
=VALUE(TRIM(E2))
数値に見える文字列の前後スペースを削除して、正しい数値として扱えます。
不可視文字と併用(CLEAN)
外部データに改行や制御文字が混じる場合:
=TRIM(CLEAN(F2))
TRIMでスペースを整え、CLEANで不可視文字を削除します。
よくあるつまずきと対策
全角スペースは削除されない
TRIMは半角スペースのみ対象です。全角スペースを削除したい場合はSUBSTITUTEと組み合わせます。
=TRIM(SUBSTITUTE(A2," ",""))
改行やタブは削除されない
TRIMはスペースのみ対象です。改行はCLEAN、タブはSUBSTITUTEで対応します。
文字列が空白だけの場合
TRIMは空文字を返します。判定に使う場合はIFで補足しましょう。
=IF(TRIM(A2)="","空欄","入力あり")
例題
問題1: A2セルの前後スペースを削除してB2に表示してください。
解答例:
=TRIM(A2)
問題2: C2セルの文字列「東京都 江東区 東陽町」の余分なスペースを削除してD2に表示してください。
解答例:
=TRIM(C2)
問題3: E2セルの文字列の文字数を、余分なスペースを削除した上でF2に表示してください。
解答例:
=LEN(TRIM(E2))
問題4: G2セルの文字列に含まれる全角スペースを削除してH2に表示してください。
解答例:
=TRIM(SUBSTITUTE(G2," ",""))
問題5: I2セルの文字列から改行や不可視文字を削除し、さらに前後スペースを整えてJ2に表示してください。
解答例:
=TRIM(CLEAN(I2))
まとめ
TRIMは「前後の余分なスペースを削除し、単語間のスペースを1つに整える」シンプルながら強力な関数です。半角スペースのみ対象である点に注意し、全角スペースや改行はSUBSTITUTEやCLEANと組み合わせると完璧に整えられます。講師として強調したいのは「TRIMでデータをクリーンにしてから他関数を使う」こと。これを習慣化すれば、検索・一致判定・集計が安定し、実務でのトラブルを大幅に減らせます。
