概要
「時刻から“分(0〜59)だけ”を取りたい」ときは MINUTE 関数が最短です。Excelの時刻は「1日=1(24時間)」の連続値なので、MINUTEはその中から“分”の部分だけを抽出します。単純な抽出はもちろん、「10:35 を 35 分」「10:35 を総分(635分)」などの実務の換算にも応用できます。
基本の使い方
書式
=MINUTE(時刻)
セルに時刻(または日付+時刻)が入っていれば、その“分”の部分(0〜59)を返します。例えば「2025/12/17 19:45」なら 45。
例
=MINUTE(A2) // A2が 19:30 なら 30
=MINUTE(NOW()) // 現在時刻の“分”だけ
=MINUTE(TIME(8,15,0)) // 8:15 の“分”= 15
具体例
日付+時刻から“分”だけ抽出(到着時刻の分数)
=MINUTE(A2)
A2が「2025/12/17 08:45」なら 45 を返します。日付が付いていても問題ありません。
文字列の時刻を“分”に変換(文字列をちゃんと時刻化)
=MINUTE(TIMEVALUE(B2))
B2が “10:07” の文字列なら TIMEVALUE で時刻化し、MINUTEで 7 を取得。
“総分”に変換(10:35 → 635分)
=HOUR(C2)*60 + MINUTE(C2) + SECOND(C2)/60
C2が 10:35:00 の場合、10×60 + 35 = 635 を返します。分析や閾値判定に便利です。
応用テンプレート
経過時間を“分”で取得(翌日跨ぎ対応)
=MOD(終了 - 開始, 1) * 24 * 60
差のシリアル値を分換算。翌日跨ぎでも常に正の経過分になります。
分を“15分刻み”に丸め(四捨五入)
=TIME(HOUR(D2), MROUND(MINUTE(D2),15), 0)
時はそのまま、分だけを15分単位に調整。切り上げは CEILING、切り捨ては FLOOR。
“分だけ”のヘルパー列で時間帯集計(00–59)
=MINUTE(E2)
分単位の分布やヒートマップのキーに使えます。
分のしきい値でアラート(例:出発時刻の分が30以上なら注意)
=IF(MINUTE(F2)>=30,"要確認","OK")
よくあるつまずきと対策
24時間を超える“総時間”から分を取りたい
MINUTEは“分部分(0〜59)”だけなので、合計時間が 27:45 でも 45 を返します。“総分”が欲しいなら「=合計セル2460」、差分なら「=MOD(終了-開始,1)2460」を使いましょう。表示は「[h]:mm」にすると24超も崩れません。
文字列の時刻は変換してから
“10:07” の文字列は環境次第で計算できないことがあります。TIMEVALUE(“10:07”) や TIME(10,7,0) で“時刻型”にしてから MINUTE を使ってください。
秒まで必要ならSECONDと組み合わせる
「総分」や「分の小数」が必要なら SECOND/60 を足して扱います(前述の式)。
タイムゾーンは扱わない
Excelの標準関数は時差を自動調整しません。外部データで時差がある場合は、基準時刻へ ±TIME(時,分,0) で補正してから MINUTE を使います。
例題
問題1: A2の時刻から“分”だけをB2に表示してください。
=MINUTE(A2)
問題2: C2が文字列 “10:07” のとき、時刻化して“分”だけをD2に表示してください。
=MINUTE(TIMEVALUE(C2))
問題3: E2の時刻(例:10:35)を“総分”に変換してF2に表示してください。
=HOUR(E2)*60 + MINUTE(E2) + SECOND(E2)/60
問題4: 開始G2=22:00、終了H2=翌1:30 の“経過分”をI2に表示してください(翌日跨ぎ対応)。
=MOD(H2 - G2, 1) * 24 * 60
問題5: J2の時刻を“15分刻み”に四捨五入して、K2に時刻として表示してください。
=TIME(HOUR(J2), MROUND(MINUTE(J2),15), 0)
まとめ
MINUTEは「時刻から“分”を抜き出す」ための最短手。日付付きでもそのまま使え、文字列はTIMEVALUEで正しく時刻化。“総分”が欲しいときは HOUR×60+MINUTE+SECOND/60、差分の分は MOD×24×60——この使い分けを押さえれば、集計キー作成、丸め処理、遅延分析までスムーズに設計できます。
