概要
「時刻から“時間数(0〜23)だけ”を取りたい」ときは HOUR 関数が最短です。Excelの時刻は「1日=1(24時間)」の連続値なので、HOURはその中から“時”の部分だけを切り出します。単純な抽出はもちろん、「10:30 を 10.5 時間に」「合計時間を小数の時間に」といった“実務の時間換算”にも応用できます。
基本の使い方
書式
=HOUR(時刻)
セルに時刻(または日付+時刻)が入っていれば、その“時”の部分(0〜23)を返します。例えば「2025/12/17 19:45」なら 19。
例
=HOUR(A2) // A2が 19:30 なら 19
=HOUR(NOW()) // 現在時刻の“時”だけ
=HOUR(TIME(8,15,0)) // 8:15 の“時”= 8
具体例
日付+時刻から“時”だけ抽出(勤務開始時刻の時数)
=HOUR(A2)
A2が「2025/12/17 08:15」なら 8 を返します。日付が付いていても問題ありません。
文字列の時刻を“時”に変換(文字列をちゃんと時刻化)
=HOUR(TIMEVALUE(B2))
B2が “19:30” の文字列なら TIMEVALUE で時刻化し、HOURで 19 を取得。
時・分・秒の小数時間へ変換(10:30 → 10.5 時間)
=HOUR(C2) + MINUTE(C2)/60 + SECOND(C2)/3600
C2が 10:30:00 の場合、10.5 を返します。分析やグラフ化に便利です。
応用テンプレート
経過時間を“十進の時間数”にする(翌日跨ぎも対応)
=MOD(終了 - 開始, 1) * 24
差のシリアル値を24倍して「小数の時間」に。HOURは“時部分の抽出”なので、正味の経過時間は MOD×24 が定番です。
時間帯でラベル化(例:早朝・日中・深夜)
=IF(HOUR(A2)<6,"早朝", IF(HOUR(A2)<18,"日中","夜間"))
時刻A2の“時数”で区分し、ラベル表示に使えます。
並べ替え・集計用に“時だけ”のヘルパー列を作る
=HOUR(D2)
時単位のヒートマップや時間帯別集計のキーになります。
時・分を四捨五入して“最寄りの15分刻みの時間”
=TIME(HOUR(E2), MROUND(MINUTE(E2),15), 0)
時はHOUR、分はMROUNDで15分刻みに整形。
よくあるつまずきと対策
24時間を超える“総時間”はHOURだと0〜23でループ
HOURは“時部分”だけなので、合計時間が 27:30 でも 3 を返します。総時間の小数が欲しいときは「=合計セル24」、または差分なら「=MOD(終了-開始,1)24」を使いましょう。表示は「[h]:mm」にすると24超も崩れません。
文字列の時刻は変換してから
“19:30” の文字列は環境次第で計算できないことがあります。TIMEVALUE(“19:30”) や TIME(19,30,0) で“時刻型”にしてから HOUR を使ってください。
秒や分も必要ならMINUTE/SECONDと組み合わせる
「10.75 時間」のような十進表示は HOUR+MINUTE/SECOND の合成が定石です(例は前述)。
タイムゾーンは扱わない
Excelの標準関数はタイムゾーン変換をしません。外部データで時差がある場合は、基準時刻へ ±TIME(時,分,0) で補正してからHOURを使います。
例題
問題1: A2の時刻から“時”だけをB2に表示してください。
=HOUR(A2)
問題2: C2が文字列 “19:30” のとき、時刻化して“時”だけをD2に表示してください。
=HOUR(TIMEVALUE(C2))
問題3: E2の時刻(例:10:30)を“小数の時間”に変換してF2に表示してください。
=HOUR(E2) + MINUTE(E2)/60 + SECOND(E2)/3600
問題4: 開始G2=22:00、終了H2=翌1:30 の“経過時間(小数)”をI2に表示してください(翌日跨ぎ対応)。
=MOD(H2 - G2, 1) * 24
問題5: J2の時刻を“15分刻み”に丸め、K2に時刻として表示してください。
=TIME(HOUR(J2), MROUND(MINUTE(J2),15), 0)
まとめ
HOURは「時刻から“時”を抜き出す」ための最短手。日付付きでもそのまま使え、文字列はTIMEVALUEで正しく時刻化。小数の時間が欲しいときは HOUR+MINUTE/60+SECOND/3600、差分の小数は MOD×24——この使い分けを押さえれば、集計キー作成、時間帯分析、勤怠の丸めまでスムーズに設計できます。
