概要
「時刻から“秒(0〜59)だけ”を取りたい」ときは SECOND 関数が最短です。Excelの時刻は「1日=1(24時間)」の連続値で、SECONDはその中から“秒”部分だけを抽出します。単純な抽出はもちろん、「10:35:42 を 42 秒」「10:35:42 を総秒(38142秒)」などの実務換算にも使えます。
基本の使い方
書式
=SECOND(時刻)
セルに時刻(または日付+時刻)が入っていれば、その“秒”(0〜59)を返します。例えば「2025/12/17 19:45:27」なら 27。
例
=SECOND(A2) // A2が 19:30:15 なら 15
=SECOND(NOW()) // 現在時刻の“秒”だけ
=SECOND(TIME(8,15,45)) // 8:15:45 の“秒”= 45
具体例
日付+時刻から“秒”だけ抽出(到着時刻の秒)
=SECOND(A2)
A2が「2025/12/17 08:45:06」なら 6 を返します。日付が付いていても問題ありません。
文字列の時刻を“秒”に変換(まず時刻化)
=SECOND(TIMEVALUE(B2))
B2が “10:07:30” の文字列なら TIMEVALUE で時刻化し、SECONDで 30 を取得。
“総秒”に変換(10:35:42 → 38142秒)
=HOUR(C2)*3600 + MINUTE(C2)*60 + SECOND(C2)
C2が 10:35:42 の場合、10×3600 + 35×60 + 42 = 38142 を返します。
応用テンプレート
経過時間を“秒”で取得(翌日跨ぎ対応)
=MOD(終了 - 開始, 1) * 24 * 3600
差のシリアル値を秒換算。0:00跨ぎでも常に正の“経過秒”になります。
秒を“5秒刻み”に丸め(四捨五入)
=TIME(HOUR(D2), MINUTE(D2), MROUND(SECOND(D2),5))
秒だけ5秒単位に調整。切り上げは CEILING、切り捨ては FLOOR。
秒しきい値でアラート(例:秒が30以上なら注意)
=IF(SECOND(E2)>=30,"要確認","OK")
ログの“タイムスタンプ差”を秒で比較
=ABS(MOD(終了 - 開始,1) * 24 * 3600)
ズレ量を“秒”で評価できます。
よくあるつまずきと対策
合計や差の“総秒”が欲しいとき
SECONDは“秒部分(0〜59)”だけ。総秒が欲しいなら「=合計セル243600」、差分なら「=MOD(終了-開始,1)243600」を使います。表示は「[h]:mm:ss」にすると24超でも崩れません。
文字列時刻は変換してから
“10:07:30” の文字列は環境によっては計算不可。TIMEVALUE(“10:07:30”) や TIME(10,7,30) で“時刻型”にしてから SECOND を使いましょう。
ミリ秒は扱えない
標準の時刻は“秒”まで。ミリ秒を扱うには、文字列解析や外部ツール前提の設計が必要です。
タイムゾーンは非対応
Excel標準関数は時差調整をしません。時差があるデータは、基準時へ ±TIME(時,分,秒) で補正してから扱います。
例題
問題1: A2の時刻から“秒”だけをB2に表示してください。
=SECOND(A2)
問題2: C2が文字列 “10:07:30” のとき、時刻化して“秒”だけをD2に表示してください。
=SECOND(TIMEVALUE(C2))
問題3: E2の時刻(例:10:35:42)を“総秒”に変換してF2に表示してください。
=HOUR(E2)*3600 + MINUTE(E2)*60 + SECOND(E2)
問題4: 開始G2=22:00:15、終了H2=翌1:30:45 の“経過秒”をI2に表示してください(翌日跨ぎ対応)。
=MOD(H2 - G2, 1) * 24 * 3600
問題5: J2の時刻の“秒”を5秒刻みに四捨五入し、K2に時刻として表示してください。
=TIME(HOUR(J2), MINUTE(J2), MROUND(SECOND(J2),5))
まとめ
SECONDは「時刻から“秒”だけ抜き出す」ための最短手。日付付きでもそのまま使え、文字列はTIMEVALUEで時刻化。“総秒”は HOUR×3600+MINUTE×60+SECOND、差分の秒は MOD×24×3600——これを押さえれば、丸め処理、ログ比較、アラート判定まで、秒精度の設計がシンプルに回ります。
