概要
移動平均は、「直近 n 個の平均を、1 行ずつずらしながら計算していく」テクニックです。
日次売上・アクセス数・温度など、バラつきの大きいデータを「なめらかな流れ」として眺めたいときに使います。
Excel では特別な関数は不要で、AVERAGE を「範囲を少しずつずらしながら」使うだけで実現できます。
AVERAGE 関数の基本
AVERAGE の書式
=AVERAGE(数値1, [数値2], …)
または
=AVERAGE(範囲)
指定した数値や範囲の「算術平均(合計 ÷ 個数)」を返します。
移動平均では、この AVERAGE の「範囲」を、1 行ずつ下にずらしながら使います。
単純な平均と移動平均の違い
単純な平均は「全体の平均」を 1 つだけ求めます。
移動平均は「直近 n 個の平均」を、行ごとに計算していくので、平均値がずらっと並ぶ列ができます。
この列をグラフにすると、元データよりもギザギザが減った「なめらかな線」になります。
3 日移動平均の作り方(基本パターン)
データの前提
例として、A 列に日次売上が入っているとします。
- A2:1 日目
- A3:2 日目
- A4:3 日目
- …という並び
ここで「3 日移動平均」を B 列に作ってみます。
最初の移動平均の式
3 日移動平均の最初の計算は、「1〜3 日目の平均」です。
つまり、B4 に次の式を書きます。
=AVERAGE(A2:A4)
これで「1〜3 日目の平均」が B4 に表示されます。
下方向へのコピーで「移動」させる
B4 の式を、B5・B6…と下にコピーすると、参照範囲が自動でずれていきます。
- B4:
=AVERAGE(A2:A4)→ 1〜3 日目 - B5:
=AVERAGE(A3:A5)→ 2〜4 日目 - B6:
=AVERAGE(A4:A6)→ 3〜5 日目
このように、「直近 3 日分の平均」が、1 行ずつ“移動”しながら計算されていきます。
これが「3 日移動平均」の基本形です。
期間を変えた移動平均(7 日・30 日など)
7 日移動平均の例
同じ考え方で、「7 日移動平均」も簡単に作れます。
A 列に日次データがあるとして、最初の 7 日分の平均を B8 に出したいなら、こう書きます。
=AVERAGE(A2:A8)
あとは B8 を下にコピーすれば、
- B8:2〜8 行目(1〜7 日目)
- B9:3〜9 行目(2〜8 日目)
- …
というように、「直近 7 日」の平均がずっと並んでいきます。
期間を変えるときの考え方
基本は「最初のセルで、何行分を平均するかを決める」だけです。
- 3 日移動平均 →
AVERAGE(A2:A4)(3 行分) - 7 日移動平均 →
AVERAGE(A2:A8)(7 行分) - 30 日移動平均 →
AVERAGE(A2:A31)(30 行分)
あとは、そのセルを下にコピーすれば、勝手に「移動」してくれます。
移動平均をグラフで使う
元データと移動平均を並べて描く
A 列に元データ、B 列に移動平均を作ったら、
両方を選択して折れ線グラフを作ると、「ギザギザの元データ」と「なめらかな移動平均」が一緒に見られます。
移動平均の線は、短期のノイズをならして「全体のトレンド」をつかむのに向いています。
売上・アクセス数・センサー値など、日々の変動が激しいデータほど、移動平均の効果がよく見えます。
コードテンプレート集
3 日移動平均(A 列のデータ)
最初の移動平均セル(B4):
=AVERAGE(A2:A4)
あとは B4 を下にコピー。
7 日移動平均(A 列のデータ)
最初の移動平均セル(B8):
=AVERAGE(A2:A8)
あとは B8 を下にコピー。
期間をセルで指定する応用
期間を C1 に入れておき、「直近 C1 日の移動平均」を出したい場合、
OFFSET や INDEX を使う方法もありますが、まずは固定期間で慣れるのがおすすめです。
例題
問題1
A2:A10 に日次売上が入っています。
「3 日移動平均」を B 列に作りたいとき、最初の移動平均を計算するセルを B4 とすると、B4 にはどのような式を書けばよいでしょうか。
また、その式を B5 にコピーしたとき、AVERAGE の参照範囲はどのように変化しますか。
問題2
A2:A31 に 1 ヶ月分の日次データが入っています。
「7 日移動平均」を B 列に作りたいとき、最初の移動平均を計算するセルを B8 とすると、B8 にはどのような式を書けばよいでしょうか。
その式を下にコピーすると、B9・B10 ではそれぞれどの範囲が平均されるか、言葉で説明してください。
問題3
A 列に元データ、B 列に 3 日移動平均を作成し、両方を折れ線グラフにしたとします。
グラフ上で、元データの線と移動平均の線にはどのような違いが現れるか、「ギザギザ」「なめらか」といった言葉を使って説明してください。
問題4
3 日移動平均を計算するとき、最初の 2 日分(まだ 3 日分そろっていない行)には移動平均を表示しない設計にしました。
この設計のメリットと、「無理に 1 日目・2 日目にも平均を出そうとした場合に起こりそうな違和感」について、自分の言葉で説明してください。
問題5
「移動平均」と「全期間の単純平均」は、どちらも AVERAGE を使いますが、意味合いが大きく違います。
それぞれがどのような場面に向いているか、「トレンドを見たい」「全体の水準を知りたい」といった観点から整理して説明してください。
