概要
「24時間を超える経過時間」を見やすく表示したいときは、セルの表示形式を“ユーザー定義”で [h]:mm にします。これにより、合計が 26:45 のように 24時間を超えても“時間がループせず”そのまま表示されます。計算は通常どおりに時刻の引き算や MOD を使い、表示だけ [h]:mm に任せるのがコツです。
基本の考え方
Excelでは“1日=1”として時刻や経過時間を扱います。差分を求めると小数(例:0.5=12時間)になりますが、標準の時刻表示では 24時間で繰り返してしまいます。ユーザー定義の [h]:mm は「時間部分を累積して表示する」特殊書式で、24時間超の累計に最適です。
基本の使い方
同日内の経過時間
=終了 - 開始
セルの表示形式を「[h]:mm」に設定します。
翌日またぎの経過時間(負値を正に直す)
=MOD(終了 - 開始, 1)
セルの表示形式を「[h]:mm」に設定すると、例:22:00→翌1:30 は「03:30」。
合計時間(複数行の合算)
=SUM(時間セル範囲)
合計セルの表示形式を「[h]:mm」に設定すると、24時間超でも崩れません。
具体例
1行の実働時間(休憩差し引き)
=MOD(終了 - 開始, 1) - 休憩/1440
休憩が分単位なら分/1440(1440は“1日の分数”)。表示は「[h]:mm」。
実働時間の合計
=SUM(各行の実働時間セル)
合計セルの表示形式を「[h]:mm」に。
数値として“総時間(小数の時間)”が欲しい
=合計時間セル * 24
例:26.75(=26時間45分)など。表示は数値、フォーマットは標準。
応用テンプレート
勤務一覧の自動計算(開始・終了・休憩付き)
1行の実働:
=TEXT(MOD(B2 - A2,1) - (C2/1440), "[h]:mm")
数値で持ちたい場合は TEXT を使わずセルの表示形式だけ「[h]:mm」にします。
遅延・超過の差(予定と実績の差分を表示)
=MOD(実終了 - 実開始,1) - MOD(予定終了 - 予定開始,1)
結果セルの表示形式を「[h]:mm」に。
5分刻みで丸めてから表示
=CEILING(MOD(終了 - 開始,1)*1440, 5)/1440
丸めた結果を「[h]:mm」で表示。切り捨ては FLOOR、四捨五入は MROUND。
よくあるつまずきと対策
表示形式の設定手順
対象セルを選択 → 書式設定 → ユーザー定義 → [h]:mm と入力。合計や差分の“結果セル”に設定してください。
文字列時刻が混じると計算できない
“22:00” の文字列は TIMEVALUE(“22:00”) で時刻化してから使います。入力は正しい“時刻型”に。
日付+時刻でも問題ない
「2025/12/17 22:00」→「2025/12/18 01:30」のような日付付きでも、MOD(終了−開始,1) は正しく動きます。
合計は必ず“時間のセル”を足す
TEXTで整形した文字列は合計できません。合計は数値の時間セルを SUM、表示だけ [h]:mm に。
例題
問題1: 開始A2=9:15、終了B2=17:45 の経過時間をC2に「[h]:mm」で表示してください。
=B2 - A2
C2の表示形式を「[h]:mm」に設定。
問題2: 開始A2=22:00、終了B2=翌1:30 の経過時間をC2に「[h]:mm」で表示してください(翌日またぎ)。
=MOD(B2 - A2, 1)
C2の表示形式を「[h]:mm」に設定。
問題3: 開始A2=21:50、終了B2=翌6:10、休憩D2=45分 の実働時間をE2に「[h]:mm」で表示してください。
=MOD(B2 - A2,1) - (D2/1440)
E2の表示形式を「[h]:mm」に設定。
問題4: 実働時間一覧E2:E100の合計をF2に表示し、24時間超でも崩れないようにしてください。
合計:
=SUM(E2:E100)
F2の表示形式を「[h]:mm」に設定。
問題5: 開始G2=18:00、終了H2=23:07 の経過時間を“5分刻みで丸めて”I2に「[h]:mm」で表示してください。
=CEILING(MOD(H2 - G2,1)*1440, 5)/1440
I2の表示形式を「[h]:mm」に設定。
まとめ
経過時間は「差分を数値で計算」し、「表示を [h]:mm にする」だけで24時間超も正しく見せられます。翌日またぎは MOD(終了−開始,1)、休憩は分/1440 で差し引き、合計は SUM、丸めは CEILING/MROUND。計算は数値、見せ方は表示形式——この分離が、勤怠やログ集計を安定させる鍵です。
