一般設定の「メールアドレス」は何者か
WordPress の「設定 → 一般」にあるメールアドレスは、単なる連絡先ではなく「サイト管理者のための公式窓口」です。
ここに設定したアドレス宛てに、WordPress から重要な通知が飛んできます。
具体的には、WordPress やプラグインの更新通知、エラー発生時のお知らせ、新規ユーザー登録、パスワード再設定リンクなど、サイト運営に直結する情報がここに集まります。
プログラミングでたとえると、「本番サーバーの致命的エラーが飛んでくる通知先 Webhook URL」みたいなものです。
ここを適当にしておくと、サーバーが燃えているのに誰も気づかない、という状態になりかねません。
なぜ「管理者専用」「共有しない」アドレスにすべきなのか
セキュリティと責任の所在をはっきりさせるため
このメールアドレスには、パスワードリセットや管理者権限に関わる情報が届きます。
もし複数人で共有しているアドレス(info@、contact@ など)を設定していると、次のようなリスクが生まれます。
誰がそのメールを開いたのか分からない
パスワードリセットリンクを、権限を持つべきでない人も踏めてしまう
退職者や外注先が、まだそのメールボックスにアクセスできる可能性がある
これは、root 権限のパスワードを社内の共有メモに書いているようなものです。
「管理者だけが責任を持って受け取る」専用アドレスにすることで、権限の境界線がはっきりします。
重要な通知が「埋もれない」ようにするため
よくある失敗パターンが、普段使いの個人メールアドレスをそのまま設定してしまうケースです。
日常のメルマガ、ショッピングサイトの通知、SNS のお知らせなどと同じ受信箱に、
WordPress からの「本当に重要な通知」が混ざってしまい、結果として見逃されます。
例えば、
「セキュリティアップデートがあります」
「ログイン試行が異常に多くなっています」
といったメールを見落とすと、攻撃に気づくのが遅れたり、脆弱なバージョンを放置したりすることになります。
管理者専用アドレスを用意しておけば、
「この受信箱に来るメールは、全部“サイト運営の話”」
と頭を切り替えられるので、重要度の判断がしやすくなります。
問い合わせ用アドレスと役割を分離するため
サイトの「お問い合わせフォーム」の送信先と、管理者メールアドレスを同じにしてしまうと、
ユーザーからの問い合わせと、システムからの重要通知がごちゃ混ぜになります。
結果として、
ユーザー対応に追われているうちに、システムのエラー通知を見逃す
誰かに問い合わせ対応を任せたら、管理者通知までその人が見ることになってしまう
といった状態になりがちです。
プログラミングで言えば、
「ログ出力」と「ユーザー向けメッセージ」を同じコンソールに全部流しているようなものです。
運用しやすさを考えるなら、役割ごとにチャンネルを分けるのが自然です。
どんなメールアドレスを設定するのが理想か
条件を言語化してみる
管理者用メールアドレスに求められる条件を、プログラマー目線で整理すると、だいたいこうなります。
本人だけがアクセスできる(共有しない)
いつでも確認できる(普段からチェックする)
長期的に使い続けられる(退職や組織変更の影響を受けにくい)
スパムの山に埋もれない(用途を絞って使う)
Gmail などのフリーメールでも構いませんが、
ビジネス用途なら admin@yourdomain.com のような独自ドメインメールを用意して、
それを「管理者専用」として運用するのが理想的です。
悪い例と良い例
悪い例:
普段のプライベート用アドレス(ショッピングやSNS登録にも使っている)
会社の代表アドレス(info@、contact@ など、複数人で見ている)
良い例:wp-admin@yourdomain.com のような、WordPress 管理専用アドレス
個人で運営しているなら、Gmail でも「WordPress 管理専用」と決めたアドレス
大事なのは「このアドレスに届くものは、サイト運営に関するものだけ」という状態を作ることです。
実際の設定手順のイメージ
一般設定からの変更フロー
WordPress にログインし、「設定 → 一般」を開くと、「メールアドレス」という項目があります。
ここに、管理者専用として使いたいメールアドレスを入力し、「変更を保存」を押します。
多くの環境では、その後「確認メール」が新しいアドレス宛てに送られ、
そのメール内のリンクをクリックして初めて、変更が確定します。
この確認ステップがあるのは、誤入力やなりすましを防ぐためです。
もし確認メールが届かない場合は、迷惑メールフォルダや、SMTP 設定などを見直す必要があります。
変更前に考えておくべきこと
メールアドレスを変える前に、次の点だけは頭に置いておくと安心です。
今後も長く使えるアドレスか
自分以外が勝手に見られないか
問い合わせフォームやメルマガ用と混在していないか
ここを曖昧にしたまま変更すると、
「また別のアドレスに変えたくなる」→「確認メールが届かない」→「管理画面で詰む」
という、地味に面倒なループにハマりがちです。
プログラミングの感覚でたとえるとどうなるか
「管理者メール=本番監視の通知先」
このメールアドレスは、アプリケーションで言えば「本番監視の通知先」です。
サーバーダウン、エラー多発、セキュリティアップデートなど、
“運用に関わるすべてのシグナル”がここに集まります。
もしあなたが本番環境の監視通知を、
・個人の雑多なメールボックス
・チーム全員が見られる共有アドレス
に流していたら、きっとレビューで怒られますよね。
WordPress の管理者メールも、それと同じレベルで扱うべきものです。
「共有しない」は、信頼境界を守るということ
権限設計の基本は、「必要な人にだけ、必要な権限を与える」です。
管理者メールアドレスを共有してしまうのは、
管理者権限の一部を、意図せず他人に配っているのと同じです。
プログラミングで言えば、
本来 private にすべきメソッドを public にして、
どこからでも呼べるようにしてしまっている状態です。
「管理者用の共有しないアドレスを設定する」というのは、
クラス設計で言うところの「カプセル化」を、運用レベルでちゃんとやる、という話でもあります。
具体的なイメージ練習(ミニ課題)
想定シナリオ
あなたが、個人でプログラミング学習ブログを運営しているとします。
ドメインは my-dev-log.com。
今、次のようなメールアドレスを持っているとしましょう。
プライベート用:myname@gmail.com
問い合わせ用:contact@my-dev-log.com
ここに、管理者専用としてwp-admin@my-dev-log.com
というアドレスを新しく作る、というのが理想的な構成です。
一般設定の「メールアドレス」には wp-admin@my-dev-log.com を設定し、
お問い合わせフォームの送信先には contact@my-dev-log.com を設定する。
こうすると、
ユーザーからの問い合わせは contact@ に集まり、
システムからの重要通知は wp-admin@ にだけ届く、というきれいな分離ができます。
まとめ:最初にここをちゃんと決める価値
一般設定のメールアドレスを「管理者用の共有しないアドレス」にしておくことは、
コードで言えば「本番環境のログと通知の設計」を最初にきちんとやるのと同じです。
後からでも変えられますが、
変えた瞬間から確認メールが届かない問題にハマったり、
誰がどの通知を見ているのか分からなくなったりと、地味に痛いトラブルが起こりがちです。
だからこそ、
「このアドレスは、WordPress 管理専用」
「自分(もしくは明確に決めた管理者)だけが見る」
という前提で、最初にひとつアドレスを決めてしまう。
それだけで、あなたのサイト運営はかなり“プロっぽい設計”になります。


