Python | Web / API：SMTP の基本

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概要（SMTPは「メールをサーバ経由で届ける」ための標準プロトコル）

SMTPは、メールを送信側から受信側へ「サーバを介して転送する」ための仕組みです。Pythonでは標準ライブラリのsmtplibを使い、SMTPサーバへ接続・暗号化・認証・送信の順に進めます。初心者がまず押さえる要点は、送信経路（ホスト・ポート）、暗号化方式（STARTTLS/SMTPS）、認証（SMTP AUTH）、そして正しいメッセージ構成（ヘッダーと本文）です。特にポート587でのSTARTTLS、または465でのSSL接続が実務の定番です。

SMTPの仕組みと接続の基本

サーバとポート（587のSTARTTLS、465のSMTPS）

SMTPサーバへはホスト名とポートで接続します。一般的には、587番で平文接続→STARTTLSコマンドで暗号化開始（サブミッションポート）、または465番で最初からTLS（SMTPS）を使います。どちらもSMTP AUTHによりユーザー名・パスワードで認証してから送信します。

Pythonのsmtplib（最小の流れ）

PythonのsmtplibはSMTPまたはSMTP_SSLで接続し、必要に応じてstarttls()、login()、send_message()の順に実行します。EmailMessageなどで件名・差出人・宛先・本文を組み立てたうえで送るのが基本です。

最短の送信例（テキストメール）

STARTTLS（587）で送る

import smtplib
from email.message import EmailMessage

SMTP_HOST = "smtp.example.com"
SMTP_PORT = 587  # STARTTLS
USERNAME = "user@example.com"
PASSWORD = "your_app_password"

msg = EmailMessage()
msg["Subject"] = "テストメール"
msg["From"] = USERNAME
msg["To"] = "to@example.com"
msg.set_content("これはPythonから送信したテキストメールです。", charset="utf-8")

with smtplib.SMTP(SMTP_HOST, SMTP_PORT, timeout=15) as server:
    server.starttls()
    server.login(USERNAME, PASSWORD)
    server.send_message(msg)
Python

この型は、SMTP接続→STARTTLSで暗号化→認証→送信の順序です。587はSTARTTLS向けの定番ポートで、広く推奨されています。

SMTPS（465）で送る

import smtplib
from email.message import EmailMessage

SMTP_HOST = "smtp.example.com"
SMTP_PORT = 465  # SMTPS

msg = EmailMessage()
msg["Subject"] = "SSLで送信"
msg["From"] = "user@example.com"
msg["To"] = "to@example.com"
msg.set_content("465番ポートでSSL接続から送信します。", charset="utf-8")

with smtplib.SMTP_SSL(SMTP_HOST, SMTP_PORT, timeout=15) as server:
    server.login("user@example.com", "your_app_password")
    server.send_message(msg)
Python

465では最初からTLSで保護された接続を使い、starttls()は不要です。

メッセージの組み立て（ヘッダー・本文・MIME）

EmailMessageで安全に組む

EmailMessageを使えば、Subject/From/Toなどのヘッダー、本文（text/plainやtext/html）、添付（MIMEタイプ推定）を簡潔に扱えます。smtplibは送信層、emailパッケージはメッセージ層と覚えると整理できます。

HTMLメールとテキスト併記（互換性向上）

HTMLのみよりも、text/plainの代替を同梱したmultipartで送ると、HTMLが見られない環境でも崩れません。EmailMessage.add_alternativeでHTML、set_contentでテキストを組み合わせるのが定番です。

よくある設定と運用のポイント

Gmailを使う場合の注意（アプリパスワード）

GmailのSMTPはホストsmtp.gmail.com、ポート587（STARTTLS）が一般的です。2段階認証と併用して「アプリパスワード」を使うのが推奨されます。通常のパスワードでは認証に失敗するケースがあるため、運用側の設定を必ず確認しましょう。

送信ドメインの健全性（迷惑判定対策）

大量配信や外部宛への送信では、SPF/DKIMなど送信ドメイン認証を整えると到達率が上がります。SMTPのコードだけでなく、ドメイン側の設定が品質に直結します。

エラー対策（接続・認証・タイムアウト）

代表的な失敗と対処

  • 認証エラー: ユーザー名・パスワード不一致、アプリパスワード未設定（Gmailなど）。運用設定の再確認が必要です。
  • 接続エラー: ホスト・ポートの誤り、ネットワーク遮断、ファイアウォール。SMTP_HOST/PORTと到達性を確認します。
  • SSL/暗号化エラー: STARTTLS未実行で平文のまま、または465なのにSMTP_SSL未使用。暗号化手順を正しく選びます。

タイムアウト設定で「待ち続け」を防ぐ

SMTP/SMTP_SSL生成時のtimeoutで、サーバ遅延やネットワーク不調に備えます。例外（SMTPException、timeout）を捕捉して再試行やログ化につなげる運用が安全です。

例題で身につける（定番から実務まで）

例題1：STARTTLSで最短送信

import smtplib
from email.message import EmailMessage

def send_text(to):
    msg = EmailMessage()
    msg["Subject"] = "最短テキストメール"
    msg["From"] = "user@example.com"
    msg["To"] = to
    msg.set_content("こんにちは。Pythonからのメールです。", charset="utf-8")

    with smtplib.SMTP("smtp.example.com", 587, timeout=10) as s:
        s.starttls()
        s.login("user@example.com", "your_app_password")
        s.send_message(msg)
Python

STARTTLSは587で実施し、login→send_messageの順に進めます。

例題2：HTML＋テキストのマルチパート

import smtplib
from email.message import EmailMessage

msg = EmailMessage()
msg["Subject"] = "見やすいHTML＋テキスト"
msg["From"] = "user@example.com"
msg["To"] = "to@example.com"
msg.set_content("テキスト版です。", charset="utf-8")
msg.add_alternative("<h1>HTML版です</h1><p>整った見た目で届けます。</p>", subtype="html")

with smtplib.SMTP("smtp.example.com", 587) as s:
    s.starttls(); s.login("user@example.com", "your_app_password")
    s.send_message(msg)
Python

HTMLのみより、テキスト併記の方が互換性が高く、受信側の表示崩れを避けられます。

例題3：SMTP_SSL（465）で送る

import smtplib
from email.message import EmailMessage

msg = EmailMessage()
msg["Subject"] = "SMTPSで送信"
msg["From"] = "user@example.com"
msg["To"] = "to@example.com"
msg.set_content("465番ポートでのSSL接続です。", charset="utf-8")

with smtplib.SMTP_SSL("smtp.example.com", 465, timeout=10) as s:
    s.login("user@example.com", "your_app_password")
    s.send_message(msg)
Python

465ではSMTP_SSLを使い、starttls()は不要です。

例題4：エラー処理のひな形

import smtplib, socket
from email.message import EmailMessage

msg = EmailMessage()
msg["Subject"] = "送信テスト"
msg["From"] = "user@example.com"
msg["To"] = "to@example.com"
msg.set_content("本文", charset="utf-8")

try:
    with smtplib.SMTP("smtp.example.com", 587, timeout=15) as s:
        s.starttls()
        s.login("user@example.com", "your_app_password")
        s.send_message(msg)
except smtplib.SMTPAuthenticationError:
    print("認証エラー：アプリパスワードや資格情報を確認")
except smtplib.SMTPConnectError:
    print("接続エラー：ホスト・ポート・到達性を確認")
except (smtplib.SMTPException, socket.timeout) as e:
    print("送信失敗:", e)
Python

典型的な例外を捕捉して原因切り分けします。timeoutの指定も重要です。

まとめ

SMTPは「送信サーバへ接続→暗号化→認証→送信」という直線的な流れです。ポート587でのSTARTTLS、または465でのSMTP_SSLを正しく選び、EmailMessageでメッセージを安全に組み立てる。Gmailではアプリパスワードの採用が現実的で、到達率を高めるにはドメイン側のSPF/DKIM整備も効いてきます。接続・認証・暗号化・タイムアウト・例外処理の型を最初から入れておけば、初心者でも短いコードで「届く」「崩れない」メール送信を安定運用できます。

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