概要
「この項目は横に並んだ表の何列目にあるの？」
そんな“列番号を知りたい”ときに使えるのが MATCH 関数です。
MATCH は「検索値が、指定した範囲の中で何番目にあるか」を返します。
縦方向なら「行番号」、横方向なら「列番号」として使えるイメージです。
ここでは、特に「列番号を取得する」使い方に絞って、初心者向けにわかりやすく解説します。
基本の考え方
MATCH の書式は共通で、縦でも横でも同じです。
=MATCH(検索値, 検索範囲, 検索方法)
検索範囲を「横一列」にして使えば、その範囲の中で何列目かが分かります。
例えば、
=MATCH("売上", B1:Z1, 0)
という式は、「B1:Z1 の横一列の中で “売上” が左から何番目か」を返します。
返ってくる数値は「範囲内での位置」なので、B1:Z1 の中で 3 と返ってきたら、それは「B→1, C→2, D→3 なので D列」という意味になります。
検索方法は、基本的に 0（完全一致）だけ覚えておけば大丈夫です。
基本の使い方（ヘッダー行から列番号を取る）
列番号取得で一番よくあるのは、「見出し行（ヘッダー）から列番号を探す」ケースです。
例えば、1行目に項目名のヘッダーが並んでいる表を想像してください。
A1：日付
B1：担当者
C1：商品
D1：数量
E1：売上
このとき、「“売上” の列番号を知りたい」ときは、次のように書きます。
=MATCH("売上", $A$1:$Z$1, 0)
これで、「A1:Z1 の中で“売上” が左から何番目か」が数値で返ってきます。
もし A1:E1 の範囲だけなら、
=MATCH("売上", $A$1:$E$1, 0)
となり、結果は 5（範囲内で5番目＝E列）になります。
この“列番号”を、INDEX や OFFSET など他の関数と組み合わせると、「見出し名がどこにあっても追従してくれる式」が作れるようになります。
応用テンプレート（INDEXと組み合わせた柔軟な参照）
列番号を取るだけでなく、「その列の値を取りたい」ことがほとんどだと思います。
そのときは INDEX 関数とセットで使います。
例えば、ヘッダー行A1:Z1 に項目名、2行目以降にデータが並ぶ表で、「項目名を指定して、その列の 2行目（あるいは任意の行）の値を取りたい」場合は、次のように書けます。
=INDEX($A$2:$Z$2, MATCH("売上", $A$1:$Z$1, 0))
意味をかみ砕くと、
- MATCH で「“売上” がヘッダー行の何列目か」を求める
- INDEX が「2行目のその列」を返す
という流れです。
行番号を変えれば、3行目・4行目など、任意の行の値を取れます。
=INDEX($A$2:$Z$100, 行番号, MATCH("売上", $A$1:$Z$1, 0))
例えば行番号を 5 にすれば、「5行目の売上列」の値が取れる、というイメージです。
よくあるつまずきと対策
列番号取得でよくあるポイントを押さえておきます。
MATCH が返すのは「範囲内での位置」であって、シート全体の列番号（A=1, B=2…）ではない、という点が重要です。
たとえば、範囲を B1:E1 にして、
=MATCH("売上", B1:E1, 0)
とした場合、E列の“売上”は「4」と返ります（B→1, C→2, D→3, E→4）。
「列番号そのもの（E=5）が欲しいわけではない」ことに注意してください。
どうしてもシート上の列番号に変換したい場合は、
= MATCH("売上", B1:Z1, 0) + COLUMN(B1) - 1
のように、開始列の COLUMN 値を足してあげれば、A=1, B=2…という“シート上の列番号”が求められます。
また、
検索方法（第3引数）は 0（完全一致）を必ず指定する
ヘッダー名の余計な空白・全角半角の違いに注意する
見出し名が変更されたら MATCH の検索値も合わせて見直す
といった点も、実務ではよく効いてくるポイントです。
例題
問題1: 1行目 A1:E1 に「日付, 担当者, 商品, 数量, 売上」が並んでいます。「売上」が A1:E1 の中で何番目かを F1 に表示してください。
=MATCH("売上", A1:E1, 0)
問題2: 1行目 A1:Z1 にヘッダーが並んでおり、セル G1 に検索したい項目名が入っています。G1 の項目名が A1:Z1 の中で何番目かを H1 に表示してください。
=MATCH(G1, A1:Z1, 0)
問題3: A1:Z1 にヘッダー、A2:Z2 にデータがあります。「売上」という項目の 2行目の値を、列番号を MATCH で求めてから INDEX で取得し、B5 に表示してください。
=INDEX(A2:Z2, MATCH("売上", A1:Z1, 0))
問題4: B1:Z1 にヘッダーがあり、「売上」はどこかにあります。「売上」の“シート上の列番号”（A=1, B=2…）を B3 に表示してください。
=MATCH("売上", B1:Z1, 0) + COLUMN(B1) - 1
問題5: A1:Z1 にヘッダー、A2:Z100 にデータがあります。セル G1 に項目名、G2 に行番号が入っているとき、「G1 で指定した項目の、G2 で指定した行の値」を H2 に表示してください（列番号取得に MATCH を使う）。
=INDEX(A2:Z100, G2, MATCH(G1, A1:Z1, 0))
まとめ
MATCH は、本来「位置（何番目か）」を返す関数ですが、横一列に対して使えば「列番号取得」にぴったりの道具になります。
ポイントは、
検索範囲を“横一列”にして使う
返ってくるのはあくまで“範囲内での位置”
INDEX と組み合わせると「項目名ベースでどの列でも参照できる柔軟な式」が作れる
この3つです。
列番号を手書きで数えるのではなく、MATCH に任せるようになると、「列の追加・削除に強い」「ヘッダー名が変わっても直しやすい」シートに育っていきます。