概要
「この条件か、あの条件のどちらかを満たしていれば OK にしたい」
「複数の条件のうち 1つでも一致すれば TRUE にしたい」
そんなときに使うのが OR(オア)関数です。
OR はとてもシンプルで、
条件のどれか1つでも TRUE なら TRUE
すべて FALSE のときだけ FALSE
という判定を返します。
IF や IFS と組み合わせると、実務で強力な“条件分岐の部品”になります。
OR の基本
書式
=OR(条件1, 条件2, 条件3, …)
動きはこうです。
- 条件1 が TRUE → 全体が TRUE
- 条件1 が FALSE でも、条件2 が TRUE → 全体が TRUE
- すべて FALSE → 全体が FALSE
つまり、「どれか1つでも当てはまれば OK」 という判定です。
OR の基本パターン(初心者向け)
例1:文字列のどれかに一致したら TRUE
C2 にステータスが入っているとして、
- 「完了」
- 「済」
のどちらかなら TRUE にしたい場合:
=OR(C2="完了", C2="済")
例2:数値が複数の範囲に該当するか判定
A2 が 0 未満 または 100 超ならエラー扱いにしたい場合:
=OR(A2<0, A2>100)
例3:空欄チェックを複数列で行う
A2 または B2 のどちらかが空欄なら TRUE:
=OR(A2="", B2="")
IF と OR を組み合わせる(実務で最も使う形)
例1:条件のどれか一致で「OK / NG」を返す
=IF(OR(C2="完了", C2="済"), "OK", "NG")
意味:
- C2 が「完了」または「済」 → OK
- それ以外 → NG
例2:売上が基準値を下回るか、在庫が少ない場合に警告
売上(D2)が 100,000 未満 または 在庫(E2)が 10 未満なら「注意」:
=IF(OR(D2<100000, E2<10), "注意", "正常")
例3:複数の禁止ワードを含むかどうか判定
F2 の文字列が「禁止」「NG」「危険」のどれかを含む場合:
=IF(OR(ISNUMBER(SEARCH("禁止",F2)),
ISNUMBER(SEARCH("NG",F2)),
ISNUMBER(SEARCH("危険",F2))),
"警告",
"OK")
OR を IFS と組み合わせる
例:ステータスによって優先度を決める
G2 にステータスがあり、
次のルールで優先度を決めたいとします。
- 「緊急」または「至急」 → 優先度:高
- 「通常」 → 優先度:中
- それ以外 → 優先度:低
IFS で書くとこうなります。
=IFS(
OR(G2="緊急", G2="至急"), "高",
G2="通常", "中",
TRUE, "低"
)
OR を使うときの注意点
AND と混同しない
- AND → 全部満たすとき TRUE
- OR → どれか1つでも満たせば TRUE
初心者が最も混乱しやすいポイントです。
OR 単体では TRUE / FALSE しか返さない
文字列を返したいときは必ず IF や IFS と組み合わせます。
条件はカンマ区切りでいくつでも書ける
=OR(A2="A", A2="B", A2="C", A2="D")
のように、条件が増えてもそのまま追加できます。
例題
問題1
C2 にステータスが入っています。
C2 が「完了」または「済」のとき TRUE、それ以外は FALSE を返す OR の式を書いてください。
=OR(C2="完了", C2="済")
問題2
A2 が 0 未満または 100 超のとき TRUE、それ以外は FALSE を返す式を書いてください。
=OR(A2<0, A2>100)
問題3
B2 が「A」または「B」または「C」のとき「対象」、それ以外は「対象外」と表示する IF+OR の式を書いてください。
=IF(OR(B2="A", B2="B", B2="C"), "対象", "対象外")
問題4
D2 の売上が 100000 未満、または E2 の在庫が 10 未満のとき「注意」、それ以外は「正常」と表示する式を書いてください。
=IF(OR(D2<100000, E2<10), "注意", "正常")
問題5
F2 のステータスが「緊急」「至急」「重要」のいずれかに一致する場合 TRUE、それ以外 FALSE を返す OR の式を書いてください。
=OR(F2="緊急", F2="至急", F2="重要")
まとめ
OR は、
「条件のどれか1つでも一致すれば TRUE」
という判定を返す関数です。
基本形はこれだけ。
=OR(条件1, 条件2, 条件3, …)
そして実務ではほぼ必ず、
=IF(OR(条件1, 条件2, …), 条件一致のとき, それ以外)
の形で使います。
「複数条件のうち1つでも当てはまれば OK」
という場面は非常に多いので、
OR を使いこなせると、Excel の条件式が一気にスッキリ整理されます。
