概要
「担当者が田中の売上だけ合計したい」
「東京支店の売上だけ足したい」
「金額が 1 万円以上の行だけ合計したい」
こういう “条件付きで合計” を一発でやってくれるのが SUMIF 関数です。
SUMIF は「1つの条件」に合うデータだけを合計します。
SUMIF の基本（書式と考え方）
書式
=SUMIF(範囲, 条件, [合計範囲])
それぞれの意味はこうです。
- 範囲
条件をチェックするセル範囲。
例：担当者名の列、支店名の列など。 - 条件
どのデータを足し算の対象にするかを決めるルール。
例：”田中”、”>=10000″、”東京” など。 - 合計範囲（省略可）
実際に足し算する数値の範囲。
省略した場合は「範囲」そのものを合計します。
イメージとしては、
「範囲の中から“条件を満たすセル”を探し、
その行に対応する合計範囲の値だけを足していく」
という動きです。
文字条件での SUMIF（担当者・支店など）
例：担当者が「田中」の売上合計
前提：
- A列：担当者
- B列：売上
担当者が「田中」の売上だけ合計したい場合、次のように書きます。
=SUMIF(A2:A100, "田中", B2:B100)
意味：
- A2:A100 → 担当者名をチェックする範囲
- “田中” → 田中さんの行だけが対象
- B2:B100 → その行の売上を合計
A列で条件を判定し、B列を合計している形です。
部分一致（「田中」を含むすべて）
「田中太郎」「田中花子」など、
セルの中に「田中」が含まれていればすべて合計したい場合は、ワイルドカード * を使います。
=SUMIF(A2:A100, "*田中*", B2:B100)
*は「何文字でもよい」という意味"*田中*"で「田中を含むすべての文字列」を指定
数値条件での SUMIF（しきい値を超えた分だけ）
例：売上が 100,000 以上の行だけ合計
前提：
- B列：売上
100,000 以上の売上だけ合計したい場合：
=SUMIF(B2:B100, ">=100000")
合計範囲を省略しているので、B2:B100 の中で条件を満たすセルだけが合計されます。
条件に不等号を使うときは、**必ず文字列として "">=100000""" のように “” で囲みます。
例：売上が 0 より大きい行だけ合計（マイナスや 0 を除外）
=SUMIF(B2:B100, ">0")
「0 より大きい」売上だけを足し算します。
別の列を条件にして合計する（よくある実務パターン）
例：支店が「東京」の売上合計
前提：
- A列：支店名
- C列：売上
東京支店の売上だけ合計したい場合：
=SUMIF(A2:A100, "東京", C2:C100)
- A2:A100 → 条件を判定する列（支店名）
- “東京” → 東京支店の行だけ対象
- C2:C100 → 実際に合計する列（売上）
「条件を見る列」と「合計する列」が違うときの基本形です。
例：担当者「田中」の数量合計
前提：
- A列：担当者
- B列：数量
=SUMIF(A2:A100, "田中", B2:B100)
セル参照を使った SUMIF（基準をセルから変えたい）
例：セルの値を条件として使う
前提：
- A列：担当者
- B列：売上
- E2：集計したい担当者名（ユーザーが入力）
E2 に入力された担当者名の売上だけを合計したいとき：
=SUMIF(A2:A100, E2, B2:B100)
「”田中”」のような文字列を直接書く代わりに、E2 の値を条件に使っています。
数値条件＋セル参照（売上が基準セル以上）
前提：
- B列：売上
- E2：基準値（例：100000）
=SUMIF(B2:B100, ">="&E2)
ポイントは ">="&E2 の部分です。
">="と E2 の値を文字列結合&して条件を作る
例：E2 に 100000 が入っていれば、条件は文字列として">=100000"になる
SUMIF を使うときの注意点・コツ
条件に使う演算子は「文字列」で書く
>=100000 などは、必ず "">=100000""" のように “” で囲みます。
セル参照と組み合わせるときは ">="&セル のようにします。
条件を見る範囲と合計範囲は「行数を揃える」
例えば、
- 条件範囲：A2:A100
- 合計範囲：B2:B90
のように行数がずれていると、意図しない結果になります。
必ず「開始行・終了行」を揃えておきましょう。
1つの条件しか指定できない
「担当者が田中 かつ 支店が東京」のように、
複数条件で合計したい場合は SUMIFS を使います。
SUMIF はあくまで「1条件専用」と覚えてください。
例題
問題1
A2:A100 に担当者名、B2:B100 に売上が入っています。
担当者が「田中」の売上合計を求める SUMIF を書いてください。
=SUMIF(A2:A100, "田中", B2:B100)
問題2
B2:B100 に売上が入っています。
売上が 100,000 以上のものだけを合計する SUMIF を書いてください（合計範囲の省略可）。
=SUMIF(B2:B100, ">=100000")
問題3
A2:A100 に支店名、C2:C100 に売上が入っています。
支店が「東京」の売上合計を求める SUMIF を書いてください。
=SUMIF(A2:A100, "東京", C2:C100)
問題4
A2:A100 に担当者名、B2:B100 に売上が入っています。
E2 に担当者名が入力されているとき、E2 の担当者の売上だけを合計する SUMIF を書いてください。
=SUMIF(A2:A100, E2, B2:B100)
問題5
B2:B100 に売上が入っています。
E2 に「基準金額」が入力されていて、
「売上が E2 の金額以上」の行だけ合計する SUMIF を書いてください。
=SUMIF(B2:B100, ">="&E2)
まとめ
SUMIF は、
- 「1つの条件」に合うデータだけを合計する
- 書式は
=SUMIF(範囲, 条件, [合計範囲]) - 条件は文字列
"田中"や"">=100000"""、セル参照">="&E2などで指定
というシンプルだけど強力な関数です。
まずは次の2つの型を、自分の表で何度か使ってみてください。
=SUMIF(条件を見る範囲, "条件", 合計範囲)
=SUMIF(条件を見る範囲, 条件を書いたセル, 合計範囲)
ここがしっかり身につくと、
「必要なデータだけをサッと合計する」力が一気に上がります。