概要
「担当者が田中 かつ 支店が東京の売上だけ合計したい」
「日付が 2024 年 かつ 商品が A の数量だけ合計したい」
「金額が 1 万円以上 かつ ステータスが有効の行だけ合計したい」
こうした “複数条件で合計” を一発で実現するのが SUMIFS 関数です。
SUMIF(1条件)と違い、SUMIFS は 2つ以上の条件を自由に組み合わせて合計できます。
実務では SUMIF より SUMIFS のほうが圧倒的に使われます。
SUMIFS の基本(書式と考え方)
書式
=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2, ...)
ポイントは次の3つです。
- 最初に「合計範囲」 を書く(SUMIF と順番が逆)
- 条件は 範囲 → 条件 → 範囲 → 条件 の順で追加できる
- 条件は何個でも増やせる
イメージとしては、
「すべての条件を満たす行だけを拾って合計する」
という動きです。
文字条件での複数条件合計
例:担当者が「田中」 かつ 支店が「東京」の売上合計
前提:
- A列:担当者
- B列:支店
- C列:売上
=SUMIFS(C2:C100, A2:A100, "田中", B2:B100, "東京")
意味:
- C列 → 合計する売上
- A列 → 担当者が「田中」
- B列 → 支店が「東京」
両方の条件を満たす行だけ合計されます。
部分一致(「田中」を含む担当者 かつ 東京支店)
=SUMIFS(C2:C100, A2:A100, "*田中*", B2:B100, "東京")
*田中* は「田中を含むすべての文字列」を意味します。
数値条件での複数条件合計
例:売上が 100,000 以上 かつ 数量が 10 以上の売上合計
前提:
- B列:売上
- C列:数量
=SUMIFS(B2:B100, B2:B100, ">=100000", C2:C100, ">=10")
条件に不等号を使うときは、必ず "">=100000""" のように文字列で書きます。
例:日付が 2024 年の売上合計(期間指定)
前提:
- A列:日付
- B列:売上
=SUMIFS(B2:B100, A2:A100, ">=2024/1/1", A2:A100, "<=2024/12/31")
同じ範囲(A列)に対して複数条件を指定できます。
文字+数値の複合条件
例:商品が「A」 かつ 売上が 50,000 以上
前提:
- A列:商品
- B列:売上
=SUMIFS(B2:B100, A2:A100, "A", B2:B100, ">=50000")
セル参照を使った SUMIFS(柔軟に条件を変えたい)
例:担当者名をセルから指定
前提:
- A列:担当者
- C列:売上
- E2:担当者名(ユーザーが入力)
=SUMIFS(C2:C100, A2:A100, E2)
数値条件+セル参照(基準値を自由に変更)
前提:
- B列:売上
- E2:基準金額
=SUMIFS(B2:B100, B2:B100, ">="&E2)
">="&E2 によって、E2 の値を条件に組み込めます。
SUMIFS を使うときの注意点
合計範囲と条件範囲は「行数を揃える」
悪い例:
- 合計範囲:C2:C100
- 条件範囲:A1:A99
行数がずれていると正しく動きません。
条件はすべて「AND 条件」
SUMIFS は「すべての条件を満たす行だけ」を合計します。
OR 条件(例:「A または B」)を使いたい場合は、SUMIFS を2つ足すなどの工夫が必要です。
条件に不等号を使うときは文字列で書く
">=100000"
"<10"
"<>東京"
セル参照と組み合わせるときは ">="&セル。
例題
問題1
A列に担当者、B列に支店、C列に売上があります。
担当者が「田中」 かつ 支店が「東京」の売上合計を求める式を書いてください。
=SUMIFS(C2:C100, A2:A100, "田中", B2:B100, "東京")
問題2
B列に売上、C列に数量があります。
売上が 100,000 以上 かつ 数量が 10 以上の売上合計を求める式を書いてください。
=SUMIFS(B2:B100, B2:B100, ">=100000", C2:C100, ">=10")
問題3
A列に日付、B列に売上があります。
2024 年の売上合計を求める SUMIFS を書いてください。
=SUMIFS(B2:B100, A2:A100, ">=2024/1/1", A2:A100, "<=2024/12/31")
問題4
A列に担当者、C列に売上があります。
E2 に入力された担当者の売上だけを合計する SUMIFS を書いてください。
=SUMIFS(C2:C100, A2:A100, E2)
問題5
B列に売上があり、E2 に基準金額が入力されています。
「売上が E2 の値以上」の行だけ合計する SUMIFS を書いてください。
=SUMIFS(B2:B100, B2:B100, ">="&E2)
まとめ
SUMIFS は、複数条件を組み合わせて合計するための強力な関数です。
基本形はこれだけ。
=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2, ...)
覚えておくべきポイントは次の3つ。
- 条件はすべて AND(すべて満たす行だけ合計)
- 条件に不等号を使うときは文字列で書く
- 合計範囲と条件範囲の行数は必ず揃える
SUMIFS を使いこなせると、
「必要なデータだけを正確に合計する」スキルが一気にレベルアップします。
