概要
「この値はマイナスではなく、0以上かどうかだけ知りたい」
「在庫が 0 未満になったら問題、0 以上ならOK」
「得点が 0 点以上のものだけ集計したい」
こういうときの基本になるのが >=0（0以上か？）の判定です。
関数というより「不等号」ですが、IF などと組み合わせることで、
エラーチェック・入力チェック・集計条件の“土台”になります。
ここでは、初心者向けに >=0 を使った判定の考え方と、よくある使い方を整理していきます。
>=0 の基本（TRUE / FALSE の判定）
A2>=0 の意味
まずは一番シンプルな式から。
=A2>=0
この式は、「A2 は 0 以上か？」という質問です。
結果は数値ではなく、TRUE か FALSE のどちらかになります。
A2 が 0 以上（0, 1, 5, 0.1 など）の場合は TRUE
A2 が 0 未満（-1, -0.5, -10 など）の場合は FALSE
この「条件式 → TRUE/FALSE」というイメージが、
IF と組み合わせるときの基本になります。
IF と組み合わせて「0以上」「0未満」を判定する
0以上なら「0以上」、0未満なら「マイナス」
値を文字で分類したい場合、IF を使います。
=IF(A2>=0, "0以上", "マイナス")
A2>=0 の判定が TRUE のときは「0以上」
FALSE のときは「マイナス」と表示されます。
「マイナスが混ざっていないかざっくりチェックしたい」場面でよく使えます。
正・ゼロ・負をちゃんと分ける場合
より丁寧に「正」「ゼロ」「負」を分けたい場合は、IF を入れ子にします。
=IF(A2>0, "正",
IF(A2=0, "ゼロ", "負"))
ここでは >=0 ではなく、>0 と =0 を組み合わせていますが、
「0以上／0未満」という考え方の延長線上です。
0以上のときだけ計算／表示する
0以上なら A2×10、0未満なら空白にする
マイナスの値は計算したくない、
もしくは画面に出したくないというときのパターンです。
=IF(A2>=0, A2*10, "")
A2 が 0以上 → A2*10 の結果を表示
A2 が 0未満 → 空白（表示しない）
たとえば在庫や残高などで、
「マイナスのときは別途対処するから、ここでは一旦何も出さない」といった場面に使えます。
0以上ならそのまま、0未満なら 0 にする
マイナス値を合計に含めたくないとき、
負の値は 0 に丸めてしまう方法です。
=IF(A2>=0, A2, 0)
A2 が 0以上 → 元の値を返す
A2 が 0未満 → 0 を返す
この列を SUM すれば、「0以上だけを合計した値」を簡単に出せます。
利益・在庫などのチェックに使う
利益が 0以上なら「黒字またはトントン」、0未満なら「赤字」
B列に利益が入っているケースを考えます。
=IF(B2>=0, "黒字またはトントン", "赤字")
利益がマイナスでなければ「黒字またはトントン」
マイナスなら「赤字」と、シンプルに判定できます。
正／ゼロ／負を分けたいときは、前述の 3 分類を使います。
在庫が 0以上なら「在庫あり」、0未満なら「在庫エラー」
C列に在庫数が入っているケースです。
=IF(C2>=0, "在庫あり", "在庫エラー")
在庫がマイナスになるのは基本的に異常なので、>=0 で「正常かどうか」を簡単にチェックできます。
条件付き書式との組み合わせ（0未満だけ目立たせる）
0未満のセルだけ赤くする数式
B2:B100 の中で、0未満のセルだけ色を変えたい場合、
条件付き書式で「0以上判定の逆＝<0」を使います。
- B2:B100 を選択
- 条件付き書式 → 新しいルール → 「数式を使用して…」
- 数式欄に
=B2<0
- 書式（文字色や塗りつぶし）を設定
「0以上は問題なし、0未満なら要注意」という形で、
視覚的にチェックしやすくなります。>=0 の考え方と表裏一体です。
例題
問題1
A2 の値が 0以上なら TRUE、0未満なら FALSE を返す式を書いてください。
=A2>=0
問題2
A2 の値が 0以上なら「0以上」、0未満なら「マイナス」と表示する式を書いてください。
=IF(A2>=0, "0以上", "マイナス")
問題3
B2 に利益が入っています。
利益が 0以上なら「黒字またはトントン」、0未満なら「赤字」と表示する式を書いてください。
=IF(B2>=0, "黒字またはトントン", "赤字")
問題4
C2 に在庫数が入っています。
在庫が 0以上なら C2 の値をそのまま表示し、0未満なら 0 を返す式を書いてください。
=IF(C2>=0, C2, 0)
問題5
D2 に数値が入っています。
D2 が 0以上なら D2×10 を計算し、0未満なら空白を返す式を書いてください。
=IF(D2>=0, D2*10, "")
まとめ
「0以上判定 → >=0」は、とても単純ですが、
利益・在庫・数量などのチェックで頻出する“軸”になる条件です。
基本形はこの一行です。
=セル参照>=0
これを IF や条件付き書式と組み合わせることで、
0以上／0未満のラベル付け
マイナス値をはじいた計算
異常値（0未満）の強調表示
といったことが自然に書けるようになります。
まずは、A2 にいろいろな値を入れて=A2>=0 と =IF(A2>=0,"0以上","マイナス") の動きを、
自分の目で確かめてみてください。
「ただの不等号」が、データチェックの強力なスイッチに変わっていく感覚がつかめるはずです。