概要
「このセル、何か入ってる？それとも空欄？」
「入力されている行だけ計算したい」
「コメントが書かれている行だけ抽出したい」
こういうときに超よく使うのが <>""（空白以外）の判定です。
""は「空文字（何もない状態）」<>は「等しくない」という意味
なので、<>"" は 「空白と等しくない → 空白ではない（何か入っている）」 という条件になります。
ここから先は、
「空白以外判定 → <>""」を、初心者向けにかみ砕いて説明していきます。
空白以外判定の基本
A2<>”” の意味（TRUE / FALSE）
まずは、一番シンプルな形からです。
=A2<>""
この式は、
A2 は「空白」ではないか？
を Excel に聞いています。結果は TRUE か FALSE です。
- A2 に文字や数値など「何か入力されている」
→ TRUE（空白以外） - A2 が完全な空欄
→ FALSE（空白）
という動きになります。
ポイントは、"" が「何もない文字列」＝空白の表現だということです。
IF と組み合わせて「入力あり／なし」を判定
入力があれば「入力済み」、なければ「未入力」
A2 に何か入っているかどうかで判定したいときの定番パターンです。
=IF(A2<>"", "入力済み", "未入力")
- A2<>”” が TRUE（空白以外） → 「入力済み」
- A2<>”” が FALSE（空白） → 「未入力」
入力チェック用のフラグとして、とてもよく使う形です。
コメントがあれば「有」、なければ空白
B列：コメント欄、といったケースで、
「コメントがある行だけ“有”と表示したい」場合はこう書けます。
=IF(B2<>"", "有", "")
B2 に何か書いてあれば「有」、
空欄なら何も表示しません。
空白以外のときだけ計算する
A2 に値が入っているときだけ A2×10 を計算する
入力されていないセルで計算しても意味がないので、
「空白以外のときだけ計算する」パターンはよく使います。
=IF(A2<>"", A2*10, "")
- A2 に値がある → A2*10 を表示
- A2 が空白 → 空白のまま（何も表示しない）
これで、「未入力なのに 0 などが出てしまう」のを防げます。
空白のときは 0、空白以外はそのまま
場合によっては、空欄を 0 として扱いたいこともあります。
=IF(A2<>"", A2, 0)
- A2 が空白以外 → A2 の値をそのまま返す
- A2 が空白 → 0 を返す
この列を SUM すれば、「空白を 0 とみなした合計」が計算できます。
空白以外判定で「処理対象の行」を絞る
顧客名が入っている行だけ「対象」とする
A列：顧客名
B列：金額
顧客名が入力されている行だけを対象としたい場合、
例えば C列に次のような式を入れられます。
=IF(A2<>"", "対象", "")
こうしておくと、フィルターで「対象」だけを絞り込めるので、
空行が混ざった表でも処理しやすくなります。
日付が入っている行だけ締め処理をする
A列：日付
日付が入っている行だけを「締め対象」としたい場合。
=IF(A2<>"", "締め対象", "")
入力されている／されていないで行を区別する、
非常に素朴だけれど実務で頻出の使い方です。
COUNTIF などと組み合わせて「空白以外の数」を数える（考え方だけ）
本題から少しだけ発展ですが、
「空白以外の件数を数える」というときにも、<>"" という考え方はそのまま使われます。
=COUNTIF(A2:A100, "<>""")
といった形（実際には "<>"&"" など）で
「空白以外」を条件にすることもできます。
ただ、初心者のうちはまず
- A2<>”” で TRUE / FALSE を判定
- IF と組み合わせて文字や数値を返す
この2段階に慣れる方が理解しやすいです。
例題
問題1
A2 に何かしらの値が入っていれば TRUE、
完全な空白なら FALSE を返す式を書いてください。
=A2<>""
問題2
A2 に値が入っていれば「入力済み」、
空白なら「未入力」と表示する式を書いてください。
=IF(A2<>"", "入力済み", "未入力")
問題3
B2 にコメントが入っていれば「有」、
空白なら空欄のままにする式を書いてください。
=IF(B2<>"", "有", "")
問題4
A2 に数値が入っている場合だけ A2×10 を計算し、
空白の場合は空欄のままにする式を書いてください。
=IF(A2<>"", A2*10, "")
問題5
A列に顧客名が入っています。
A2 が空白以外なら「対象」、空白なら空欄を表示する式を書いてください。
=IF(A2<>"", "対象", "")
まとめ
「空白以外判定 → <>""」は、Excel の条件式で 最重要レベル の基本です。
型はこれだけです。
=セル参照<>""
これを IF と組み合わせれば、
=IF(セル<>"", 「何か入っているときの処理」, 「空白のときの処理」)
という形で、
- 入力済み／未入力の判定
- 空白のときは計算しない・表示しない
- 入力されている行だけ「対象」として扱う
といったロジックを、直感的に書けるようになります。
自分の表の「入力チェック」にまず 1 箇所、この <>"" を試してみてください。
「あ、Excelの条件ってこういう感覚なんだ」と、身体で分かるようになっていきます。