概要
Excel で集計や計算をしていると、#DIV/0!、#N/A、#VALUE! などのエラーが混ざってしまい、
合計が計算できない・表が見づらい・後続の式が全部エラーになる
といった問題がよく起こります。
そんなときに便利なのが IFERROR(…,0) です。
=IFERROR(計算式, 0)
この形にするだけで、
「エラーのときは 0 として扱う」 という非常に実務的な動きを実現できます。
IFERROR の基本
IFERROR の書式
=IFERROR(値, エラーのときに返す値)
これを「エラーなら 0」に特化すると、こうなります。
=IFERROR(計算式, 0)
動きは次の通りです。
- 計算式が正常に計算できる → そのまま結果を返す
- 計算式がエラーになる → 0 を返す
つまり、「計算不能＝0」 として扱えるため、
集計やグラフ作成がとても安定します。
割り算のエラーを 0 にする
分母が 0 のときの #DIV/0! を 0 に置き換える
例：C2 ÷ B2 を計算したいが、B2 が 0 や空白のときにエラーを出したくない。
=IFERROR(C2/B2, 0)
動き：
- B2 が 0 でなければ → C2/B2 を返す
- B2 が 0 や空白でエラー → 0 を返す
「エラー率」「単価」「割合」など、分母が 0 になりうる計算で大活躍します。
VLOOKUP の検索失敗を 0 にする
見つからないときの #N/A を 0 にする
=IFERROR(VLOOKUP(A2, $D$2:$E$10, 2, FALSE), 0)
動き：
- 見つかった → VLOOKUP の結果
- 見つからない（#N/A） → 0
「在庫がないときは 0」「ポイントが未登録なら 0」など、
数値として扱いたい場面に最適です。
INDEX＋MATCH のエラーを 0 にする
MATCH が見つからないときの #N/A を 0 に
=IFERROR(INDEX($E$2:$E$10, MATCH(A2, $D$2:$D$10, 0)), 0)
INDEX＋MATCH は検索失敗で #N/A になりやすいので、
IFERROR で 0 にしておくと後続の計算が安定します。
複雑な式を丸ごと「エラーなら 0」にする
長い式の最後に IFERROR をかぶせる
=IFERROR((B2*C2)/D2 + E2 - F2, 0)
どこか一つでもエラーが出ると式全体がエラーになりますが、
IFERROR をかぶせることで 「計算不能＝0」 として扱えます。
IFERROR(…,0) を使うメリット
集計が安定する
SUM や AVERAGE がエラーで止まらなくなるのを防げます。
グラフが崩れない
エラーがあるとグラフが途切れたり表示されなかったりしますが、
0 にしておけば問題ありません。
表が見やすくなる
#DIV/0! や #N/A が並ぶより、0 のほうが圧倒的に読みやすいです。
注意点
本当に気づくべきエラーまで 0 にしてしまう可能性がある
IFERROR は すべてのエラー を 0 にします。
- 範囲指定ミス
- 関数の引数ミス
- 打ち間違い
こうした「本来は気づくべきエラー」も隠れてしまうことがあります。
「このエラーは想定内」 と分かっている場所にだけ使うのが安全です。
例題
問題1
C2 を B2 で割りたいが、B2 が 0 や空白で計算できないときは 0 を返したい。
IFERROR を使って式を書いてください。
=IFERROR(C2/B2, 0)
問題2
A2 の値を D2:E10 から VLOOKUP し、見つからないときは 0 を返したい。
IFERROR を使った式を書いてください。
=IFERROR(VLOOKUP(A2, $D$2:$E$10, 2, FALSE), 0)
問題3
次の式があります。=(B2*C2)/D2
D2 が 0 や空白でエラーになるときは 0 を返すように書き直してください。
=IFERROR((B2*C2)/D2, 0)
問題4
INDEX＋MATCH の組み合わせで検索しています。=INDEX($E$2:$E$10, MATCH(A2, $D$2:$D$10, 0))
検索失敗時に 0 を返すように書き直してください。
=IFERROR(INDEX($E$2:$E$10, MATCH(A2, $D$2:$D$10, 0)), 0)
問題5
次の複雑な式があります。=(B2*C2)/D2 + E2 - F2
何らかの理由でエラーになった場合、0 を返すように書き直してください。
=IFERROR((B2*C2)/D2 + E2 - F2, 0)
まとめ
「エラーを 0 として扱う → IFERROR(…,0)」は、
実務で最もよく使われるエラー処理のひとつです。
型はこれだけ。
=IFERROR(元の式, 0)
エラーが混ざると集計が止まるような表では、
この 1 行をかぶせるだけで安定性が一気に上がります。
あなたのシートの中で「エラーだけど 0 として扱いたい」場所があれば、
ぜひこのパターンを使ってみてください。