概要
本番用の Excel シートでは、
#DIV/0! や #N/A などのエラーを絶対に見せたくない
という場面がとても多いです。
- 見た目が悪い
- ユーザーが混乱する
- グラフや集計が壊れる
- 印刷物にエラーが出ると致命的
そこで使うのが IFERROR(式, “”) です。
これは、
- 計算が正常 → 結果をそのまま返す
- 計算がエラー → 空白(””)を返す
という「本番用のエラー非表示」の鉄板パターンです。
IFERROR(“”) の基本
書式
=IFERROR(計算式, "")
意味はとてもシンプルです。
- 計算式がエラー → 空白を返す
- 計算式が正常 → 計算結果を返す
本番シートでは “エラーを見せない” という目的で
最もよく使われる書き方です。
パターン1:割り算のエラーを空白にする
分母が 0 のときに #DIV/0! を出さない
通常の割り算:
=C2/D2
D2 が 0 や空白だとエラーになります。
本番用にするなら:
=IFERROR(C2/D2, "")
これで、エラーが出ても空白表示になり、
見た目が崩れません。
パターン2:VLOOKUP の検索失敗を空白にする
#N/A を本番で見せたくない場合
通常の VLOOKUP:
=VLOOKUP(A2, マスタ!A:D, 2, FALSE)
検索失敗 → #N/A
本番用:
=IFERROR(VLOOKUP(A2, マスタ!A:D, 2, FALSE), "")
検索失敗でも空白になるため、
帳票や一覧表がきれいに保たれます。
パターン3:文字混入などの計算エラーを空白にする
数値列に文字が混ざっても壊れない
=IFERROR(A2*B2, "")
A2 や B2 に文字が入っていても、
エラーではなく空白になります。
パターン4:FILTER の空結果を空白にする
動的配列の #CALC! を隠す
=IFERROR(FILTER(A2:A20, A2:A20="りんご"), "")
該当なし → 空白
該当あり → 抽出結果
本番用の一覧表でよく使います。
パターン5:本番用の“見た目を整える”ための仕上げ
エラーを空白にすることで…
- グラフが壊れない
- 印刷がきれい
- ユーザーが混乱しない
- シートの信頼性が上がる
ただし、開発中はエラーを隠すと原因が分からなくなるため、
開発中 → IFERROR を使わない
本番用 → IFERROR(“”) を使う
という使い分けが重要です。
例題
問題1
C2 ÷ D2 を計算したい。
D2 が 0 や空白でエラーになる場合は、空白を返したい。
IFERROR を使った式を書いてください。
=IFERROR(C2/D2, "")
問題2
A2 の商品コードを VLOOKUP で検索し、
見つからない場合は空白を返したい。
その式を書いてください。
=IFERROR(VLOOKUP(A2, マスタ!A:D, 2, FALSE), "")
問題3
A2×B2 の計算で、
A2 または B2 に文字が混ざっている場合は空白を返したい。
その式を書いてください。
=IFERROR(A2*B2, "")
問題4
A2:A20 の中から「りんご」だけを FILTER で抽出し、
該当がない場合は空白を返したい。
その式を書いてください。
=IFERROR(FILTER(A2:A20, A2:A20="りんご"), "")
問題5
A2 の値を 1.1 倍したいが、
A2 が不正入力で計算できない場合は空白を返したい。
その式を書いてください。
=IFERROR(A2*1.1, "")
まとめ
「本番用エラー非表示 → IFERROR(“”)」のポイントは次の通りです。
- エラーを空白にして“見た目を整える”
- 本番シートでは必須の仕上げ
- 割り算・VLOOKUP・FILTER などと相性抜群
- 開発中は使いすぎると原因が分からなくなるので注意
まずはこの基本形を覚えておくと便利です。
=IFERROR(計算式, "")
本番用の Excel を作るなら、
「最後に IFERROR(“”) をかぶせる」
という習慣をつけると、仕上がりの品質が一気に上がります。
