Day 1 Pythonの全体像と「Hello, World」
Pythonとは何か・何ができるのか
Pythonは、AI・機械学習、Web開発、データ分析、自動化スクリプトなど、かなり広い分野で使われている人気のプログラミング言語です。
文法がシンプルで読みやすく、「初心者が最初に学ぶ言語」としてよく選ばれます。
開発環境の準備イメージ
すでに環境がある前提で進めますが、典型的な選択肢は次のようなものです。
- VS Code + Python 拡張機能
- PyCharm
- Jupyter Notebook(データ分析寄り)
どれを選んでも「Pythonコードを書いて実行できる」状態ならOKです。
はじめてのプログラム「Hello, World」
Pythonの超定番・最初の1行です。
print("Hello, World!")
Pythonここで理解してほしいこと
- print は「画面に出力する命令」
"Hello, World!"は文字列(文字の並び)のデータprint(…)の丸かっこ内に、出したいものを書く
"Hello, World!" を "こんにちは、Python" に変えて実行してみてください。
print("こんにちは、Python")
Python自分が書いた文字がそのまま返ってくる感覚に慣れましょう。
例題:自己紹介を表示するプログラム
次のようなプログラムを書いてみてください。
print("私の名前は山田です")
print("Pythonの勉強を始めました")
print("目標は簡単なアプリを作れるようになることです")
Python1行ずつ意味を追えることが大事です。「コンピュータに命令を順番に並べている」という感覚を掴んでください。
Day 1 のミニ課題
- 自分の
- 名前
- 趣味
- 好きな食べ物
をそれぞれprintで3行表示するプログラムを書いてみる。
Day 2 変数と基本のデータ型
変数とは何か(超重要)
変数は「データに名前をつけて覚えさせる仕組み」です。
イメージとしては「ラベル付きの箱」です。
age = 25
name = "Taro"
height = 170.5
Pythonageという箱に25(年齢)nameという箱に"Taro"(名前)heightという箱に170.5(身長)
を入れているイメージです。
なぜ変数が重要か(深掘り)
- データを再利用できる
- 値が変わっても「1か所の代入」を変えればよい
- 大きなプログラムほど「意味のある名前」が必須になる
たとえば:
price = 1200
tax_rate = 0.1
total = price * (1 + tax_rate)
print(total)
Pythonここで 1200 を 2000 に変えても、コードの他の場所は触る必要がありません。
基本のデータ型
Pythonの代表的な基本型は次の通りです。
- 整数:
int(例:10,-5) - 小数:
float(例:3.14,0.5) - 文字列:
str(例:"Hello","Python") - 真偽値:
bool(True,False)
age = 30 # int
temperature = 36.5 # float
name = "Hanako" # str
is_member = True # bool
Python例題:合計と平均を計算する
次のコードを打って、値を変えながら実行してみてください。
score_1 = 80
score_2 = 95
score_3 = 70
total = score_1 + score_2 + score_3
average = total / 3
print("合計:", total)
print("平均:", average)
Pythonここでは
- 合計と平均を別の変数に入れている
+と/を使って計算している
というところを意識して読み解いてください。
Day 2 のミニ課題
- 自分の
- 年齢
- 身長
- 好きな数字
を変数に入れ、printで読みやすく表示するプログラムを書く
例:
age = 28
height = 165.2
favorite_number = 7
print("年齢:", age)
print("身長:", height)
print("好きな数字:", favorite_number)
PythonDay 3 演算と文字列操作の基礎
数値の演算(+ – * / など)
Pythonの基本的な数値演算は次の通りです。
a = 10
b = 3
print(a + b) # 足し算 → 13
print(a - b) # 引き算 → 7
print(a * b) # 掛け算 → 30
print(a / b) # 割り算(小数)→ 3.333...
print(a // b) # 割り算(商だけ)→ 3
print(a % b) # 割り算(余り)→ 1
print(a ** b) # べき乗 → 1000
Python// と % は特に後でよく使うので、名前と意味を覚えてください。
文字列の連結と繰り返し
文字列には「くっつける」「繰り返す」ができます。
first = "Python"
second = "入門"
message = first + second
print(message) # → Python入門
line = "=-"
print(line * 10) # → =-=-=-=-=-=-=
Python重要ポイント(深掘り)
- 数値同士は計算できる
- 文字列同士は「くっつける」ことができる
- 数値と文字列はそのままでは足せない
age = 20
# print("年齢:" + age) # これはエラーになる
print("年齢:" + str(age)) # str(age) で文字列に変換
Python「型が違うものはそのままでは混ぜられない」という感覚が大事です。
例題:簡単なプロフィールカード
name = "Taro"
age = 20
hobby = "ゲーム"
profile = "名前: " + name + "\n年齢: " + str(age) + "\n趣味: " + hobby
print(profile)
Python\n は「改行」を意味する特殊な文字です。
Day 3 のミニ課題
- 商品の
- 名前
- 価格
- 個数
から、合計金額を表示するプログラムを作る
イメージ:
item_name = "ノートPC"
price = 120000
quantity = 2
total = price * quantity
print("商品名:", item_name)
print("単価:", price)
print("個数:", quantity)
print("合計金額:", total)
PythonDay 4 条件分岐 if 文の基礎
条件分岐とは
「もし〜なら、〜する」という分岐を作るのが if 文です。
構造はこうなります。
if 条件:
条件が True のときに実行する処理
PythonPythonでは「インデント(字下げ)」がとても重要です。if の下にある「4スペース(またはタブ)」の部分が「条件が成り立ったときだけ実行される範囲」です。
比較演算子
条件の中でよく使う記号は次の通りです。
==: 等しい!=: 等しくない>: より大きい<: より小さい>=: 以上<=: 以下
age = 18
if age >= 18:
print("大人です")
Pythonif / else / elif
score = 75
if score >= 80:
print("合格(A)")
elif score >= 60:
print("合格(B)")
else:
print("不合格")
Pythonここでの重要ポイント(深掘り)
- 条件は上から順番に評価される
- 最初に True になったところだけが実行され、それ以降は無視される
elifは「それ以外で、もし〜なら」elseは「どの条件にも当てはまらなかった場合の最後の受け皿」
例題:年齢による料金判定
age = 12
if age <= 3:
print("無料")
elif age <= 12:
print("子供料金")
elif age <= 64:
print("大人料金")
else:
print("シニア料金")
Pythonいろいろな age を試して、どのメッセージが出るか確認してみてください。
Day 4 のミニ課題
- テストの点数
scoreに応じて- 80以上 →
"とてもよくできました" - 60以上80未満 →
"よくできました" - 40以上60未満 →
"もう少しです" - 40未満 →
"がんばりましょう"
と表示するプログラムを書く
- 80以上 →
Day 5 繰り返し for 文と range
繰り返しの基本 for 文
同じ処理を何度も行うときに使うのが for 文です。
for i in range(5):
print(i)
Pythonこの例では
range(5)は0, 1, 2, 3, 4の5つを生み出すiに順番にその値が入り、ブロック内が5回実行される
range のパターン
range(終了) # 0 〜 終了-1
range(開始, 終了) # 開始 〜 終了-1
range(開始, 終了, 間隔) # 開始 〜 終了-1 を 間隔 ごと
Python例:
for i in range(1, 6):
print(i) # 1〜5
for i in range(0, 10, 2):
print(i) # 0, 2, 4, 6, 8
Python例題1:1〜10の合計を求める
total = 0
for i in range(1, 11):
total = total + i # あるいは total += i
print("合計:", total)
Pythonここでのポイントは「変数 total に足し込んでいく」というパターンです。
この「累積していく変数」の感覚はとてもよく使います。
例題2:九九の一の段を表示
for i in range(1, 10):
print("1 ×", i, "=", 1 * i)
Python数字を変えて、2の段・3の段も試してみてください。
Day 5 のミニ課題
- 1〜100のうち、偶数だけを表示するプログラムを書く
ヒント:i % 2 == 0を使う
Day 6 リストと for 文の組み合わせ
リストとは(配列のようなもの)
リストは「複数のデータを1つにまとめて扱う箱」です。
scores = [80, 90, 75, 60]
names = ["Taro", "Hanako", "Ken"]
Pythonインデックス(番号)は0から始まります。
print(scores[0]) # 80
print(scores[1]) # 90
Pythonリストと for の組み合わせ
scores = [80, 90, 75, 60]
for score in scores:
print("点数:", score)
Pythonfor score in scores: は
「scores の中から1つずつ取り出して score という変数に入れながら繰り返す」という意味です。
例題:リストの平均を求める
scores = [80, 90, 75, 60]
total = 0
for score in scores:
total += score
average = total / len(scores) # len は要素数を返す関数
print("平均点:", average)
Python深掘り:len と for の組み合わせの「型」
このパターンは非常によく出ます。
- 合計を入れる変数を 0 で用意
- for で1つずつ取り出して足し込む
- 最後に
len(リスト)で割る
この3ステップを「パターン」として覚えておくと、応用が効きます。
例題:名前リストからメッセージを作る
names = ["Taro", "Hanako", "Ken"]
for name in names:
print(name + "さん、こんにちは")
PythonDay 6 のミニ課題
- 好きな食べ物を3〜5個、リストに入れる
- for 文で1つずつ取り出して
"私は〇〇が好きです"
の形で表示するプログラムを書く
Day 7 関数で「まとまり」を作る・簡単なアプリ風
関数とは何か
関数は「処理のまとまりに名前をつけたもの」です。 Note
def say_hello():
print("こんにちは")
print("Pythonの勉強中です")
say_hello() # 関数の呼び出し
Pythondef 関数名(): で定義し、インデントされた部分が「中身」です。
最後に 関数名() と書けば、その処理が実行されます。
引数付きの関数
「呼び出すたびに少しだけ違う処理をしたい」場合、引数を使います。
def greet(name):
print(name + "さん、こんにちは")
greet("Taro")
greet("Hanako")
Python戻り値がある関数
計算して、その結果を返す関数です。
def calc_total_and_average(scores):
total = 0
for score in scores:
total += score
average = total / len(scores)
return total, average
scores = [80, 90, 75, 60]
total, average = calc_total_and_average(scores)
print("合計:", total)
print("平均:", average)
Python深掘り:関数を使う理由
- 同じ処理を何度も書かなくてよくなる
- 名前で「何をしているか」が説明できる
- 大きなプログラムを「小さな部品」に分割できる
「コードを短くする」以上に、「読みやすく・考えやすくする」ために使います。
まとめミニアプリ:簡易成績チェッカー
ここまでの要素を少しまとめてみます。
def judge(score):
if score >= 80:
return "とてもよくできました"
elif score >= 60:
return "よくできました"
elif score >= 40:
return "もう少しです"
else:
return "がんばりましょう"
scores = [95, 72, 58, 30]
for score in scores:
message = judge(score)
print("点数:", score, "→", message)
Pythonここでは
- リスト
- for 文
- if 文
- 関数と戻り値
を組み合わせています。
Day 7 のミニ課題
- 好きな数字を1つ引数で受け取り、
- 偶数なら
"偶数です" - 奇数なら
"奇数です"
を返すcheck_even_or_odd(number)関数を書く
- 偶数なら
- いくつかの数字をリストにし、for で回して結果を表示する
次のステップの提案
この7日で「Pythonの基礎文法の一周」はできるレベルです。
- 変数・型
- 演算
- if
- for + range
- リスト
- 関数
ここから先は、次のような方向に進むといいです。
- 標準入力(
input())を使ってユーザーから値を受け取る - 辞書型(
dict)を学んで、設定やデータを表現する - 簡単な「家計簿」「ToDoリスト」などの小さなアプリを自分で設計して作る


