概要
「IF を 3 段、4 段と重ねていたら、式が長くなって読めない…」
「条件が増えるたびにカッコが増えて、どこがどこだか分からない…」
「もっとスッキリ書ける方法はないの?」
そんなときに ネスト(入れ子)IF を一気に整理してくれる のが
IFS 関数 です。
IFS は、
- 条件1 → 結果1
- 条件2 → 結果2
- 条件3 → 結果3
というように、条件と結果をペアで並べるだけで書けるため、
複雑な IF の入れ子を大幅に簡潔にできます。
IFS の基本
IFS の書式
=IFS(条件1, 結果1, 条件2, 結果2, 条件3, 結果3, …)
動きはとてもシンプルです。
- 上から順に条件をチェック
- 最初に TRUE になった条件の結果を返す
- どれも TRUE にならないとエラー(#N/A)
つまり、「条件の優先順位を上から書く」 だけで OK です。
ネストIFとの比較
ネストIF(従来の書き方)
点数に応じて「優・良・可・不可」を返す例:
=IF(A2>=80,"優",IF(A2>=60,"良",IF(A2>=40,"可","不可")))
カッコが多く、読みづらいですよね。
IFS(簡潔な書き方)
=IFS(
A2>=80,"優",
A2>=60,"良",
A2>=40,"可",
TRUE,"不可"
)
- 条件と結果が横並び
- カッコが少ない
- 読みやすい
- 修正しやすい
IFS の最大のメリットは「見た瞬間にロジックが分かる」ことです。
典型的な使い方:数値の範囲判定
点数で評価を分ける
A2 に点数が入っているとします。
=IFS(
A2>=80,"A",
A2>=60,"B",
A2>=40,"C",
TRUE,"D"
)
- 80 以上 → A
- 60 以上 → B
- 40 以上 → C
- それ以外 → D
ネストIFより圧倒的に読みやすいです。
文字列で分岐する
ステータスに応じて表示を切り替える
A2 にステータスが入っているとします。
=IFS(
A2="未着手","Start",
A2="進行中","Doing",
A2="完了","Done",
TRUE,"不明"
)
複数の文字列条件も IFS ならスッキリ書けます。
数値+文字列の複合条件
売上とステータスで判定する
B2:売上
C2:ステータス
=IFS(
AND(B2>=1000000, C2="完了"), "優秀",
AND(B2>=500000, C2="進行中"), "良好",
C2="未着手", "要対応",
TRUE, "その他"
)
ネストIFで書くとカッコだらけになりますが、
IFS なら「条件 → 結果」の並びで読みやすくなります。
IFS を使うときの注意点
どれも TRUE にならないとエラーになる
IFS は「最初に TRUE になった条件の結果を返す」関数ですが、
どの条件も TRUE にならないと #N/A エラー になります。
そのため、最後に
TRUE,"その他"
のような“受け皿”を置くのが安全です。
条件の順番が重要
IFS は上から順に評価するため、
広い条件は下に、厳しい条件は上に書きます。
例:A2>=60 を上に書いてしまうと、A2>=80 の判定が無視されてしまいます。
例題
問題1
A2 の点数に応じて、
80以上→「優」、60以上→「良」、40以上→「可」、それ以外→「不可」
と表示する IFS の式を書いてください。
=IFS(
A2>=80,"優",
A2>=60,"良",
A2>=40,"可",
TRUE,"不可"
)
問題2
A2 のステータスに応じて、
「未着手→Start」「進行中→Doing」「完了→Done」「その他→不明」
と表示する式を書いてください。
=IFS(
A2="未着手","Start",
A2="進行中","Doing",
A2="完了","Done",
TRUE,"不明"
)
問題3
B2 の売上に応じて、
100万以上→S、50万以上→A、10万以上→B、それ以外→C
と表示する式を書いてください。
=IFS(
B2>=1000000,"S",
B2>=500000,"A",
B2>=100000,"B",
TRUE,"C"
)
問題4
A2 の値が
0未満→「負」、0→「ゼロ」、0より大きい→「正」
となる IFS の式を書いてください。
=IFS(
A2<0,"負",
A2=0,"ゼロ",
TRUE,"正"
)
問題5
B2 に点数が入っています。
90以上→「特A」、70〜89→「A」、50〜69→「B」、50未満→「C」
と表示する IFS の式を書いてください。
=IFS(
B2>=90,"特A",
B2>=70,"A",
B2>=50,"B",
TRUE,"C"
)
まとめ
IFS は、ネストIFの悩みを一気に解決してくれる関数です。
- 条件と結果をペアで並べるだけ
- カッコが少なく読みやすい
- 修正しやすい
- 条件が多いほど効果が大きい
型はこれだけ覚えれば十分です。
=IFS(条件1,結果1, 条件2,結果2, …, TRUE,デフォルト結果)
IF の入れ子で苦しんだ経験があるなら、
IFS を使うだけで Excel の式が驚くほどスッキリします。
