概要
Excel の IF 関数は、
「もし条件が〇〇なら A、そうでなければ B」
という 条件分岐(処理の切り替え) を行うための基本中の基本です。
プログラミング初心者でも理解しやすいように、
“IF は分岐のスイッチ” と考えると分かりやすいです。
- 条件が TRUE(正しい) → A を返す
- 条件が FALSE(正しくない) → B を返す
この仕組みを使えば、
「空欄なら何もしない」「基準値以上なら合格」「条件に応じて参照先を変える」
など、実務でよくある処理を柔軟に作れます。
IF の基本構造
書式
=IF(条件, 条件がTRUEのとき, 条件がFALSEのとき)
3つのパーツに分かれています。
- 条件
例:A2>100、B2=”完了”、C2<>”” など - TRUE のときの処理
条件が正しいときに返す値 - FALSE のときの処理
条件が正しくないときに返す値
IF の基本パターン(初心者向けテンプレ)
空欄なら何もしない(最もよく使う型)
=IF(A2="","",A2*10)
意味:
- A2 が空欄 → 空欄を返す
- A2 に値がある → A2×10 を返す
実務で最も使う「空欄チェック」の型です。
数値の判定(合格・不合格など)
=IF(B2>=60,"合格","不合格")
意味:
- B2 が 60 以上 → 合格
- 60 未満 → 不合格
文字列の判定(ステータス分岐)
=IF(C2="完了","OK","作業中")
意味:
- C2 が「完了」 → OK
- それ以外 → 作業中
計算式を条件にする
=IF(D2*E2>10000,"高額","通常")
意味:
- D2×E2 が 10,000 超 → 高額
- それ以外 → 通常
IF の応用パターン(実務でよく使う)
IF と AND(複数条件すべて満たす)
=IF(AND(A2>=10, B2="有効"), "対象", "対象外")
意味:
- A2 が 10 以上 かつ B2 が「有効」 → 対象
- どちらかでも違えば → 対象外
IF と OR(どれか1つでも満たせばOK)
=IF(OR(C2="A", C2="B"), "優先", "通常")
意味:
- C2 が A または B → 優先
- それ以外 → 通常
IF と XLOOKUP(条件に応じて検索する)
=IF(F2="単価",
XLOOKUP(E2, A2:A100, C2:C100),
XLOOKUP(E2, A2:A100, D2:D100))
意味:
- F2 が「単価」 → 単価列を検索
- それ以外 → 在庫列を検索
参照先を切り替えるときの定番パターンです。
IF と ISERROR(エラー時の処理)
=IF(ISERROR(A2/B2),"エラー","OK")
意味:
- A2/B2 がエラー(0除算など) → エラー
- 正常 → OK
IF の入れ子(ネスト)で多段階判定
例:点数でランク分け
=IF(C2>=80,"A",
IF(C2>=60,"B",
IF(C2>=40,"C","D")))
意味:
- 80 以上 → A
- 60 以上 → B
- 40 以上 → C
- それ以外 → D
IF を入れ子にすると多段階判定ができます。
IF を使うときの注意点
条件は「TRUE / FALSE」で考える
- A2>100
- B2=”完了”
- C2<>””
これらはすべて TRUE か FALSE のどちらかになります。
IF は「条件が TRUE かどうか」を見ているだけです。
空欄判定は “” を使う
空欄かどうかは必ず
A2=""
で判定します。
入れ子が多すぎると読みにくくなる
IF が 4 段以上になると、式が読みにくくなります。
その場合は IFS 関数や CHOOSE、VLOOKUP など別の方法も検討しましょう。
例題
問題1
A2 に数値が入っています。
A2 が 100 以上なら「大」、それ以外なら「小」と表示する式を書いてください。
=IF(A2>=100,"大","小")
問題2
B2 が空欄なら空欄を返し、空欄でない場合は B2×5 を返す式を書いてください。
=IF(B2="","",B2*5)
問題3
C2 が「完了」または「済」のとき「OK」、それ以外は「NG」と表示する式を書いてください(OR を使う)。
=IF(OR(C2="完了",C2="済"),"OK","NG")
問題4
D2 の点数に応じて、
80 以上なら A、60 以上なら B、それ以外は C と表示する式を書いてください(IF の入れ子)。
=IF(D2>=80,"A",IF(D2>=60,"B","C"))
問題5
E2 に商品コードがあり、F2 に「単価」または「在庫」が入っています。
F2 の内容に応じて、XLOOKUP の戻り列を切り替える式を書いてください。
=IF(F2="単価",
XLOOKUP(E2,A2:A100,C2:C100),
XLOOKUP(E2,A2:A100,D2:D100))
まとめ
IF は Excel の条件分岐の基本であり、
次の型を覚えるだけでほとんどの処理が書けます。
基本形
=IF(条件, TRUEのとき, FALSEのとき)
空欄チェック
=IF(セル="", "", 処理)
多段階判定(入れ子)
=IF(条件1, A,
IF(条件2, B,
IF(条件3, C, D)))
条件で参照先を切り替える
=IF(条件, XLOOKUP(...列1...), XLOOKUP(...列2...))
IF を自在に使えるようになると、
Excel の処理は一気に“自動化・効率化”されます。
あなたの業務に合わせて、どんどん応用してみてください。

