概要
「条件を満たしたときだけ計算したい」
「条件を満たさないときは“空白”にしたい」
「空欄のときは何も表示したくない」
こういう“条件不成立で空白”の処理は、Excel では IF 関数で “”(空文字)を返す のが定番です。
=IF(条件, 条件成立のときの値, "")
この形を覚えるだけで、
「空欄なら何もしない」「条件を満たさないときは空白にする」
といった実務のほぼすべてに対応できます。
IF(“”, “”) の基本
条件が FALSE のときに “” を返す
最も基本的な形はこれです。
=IF(A2>=100, A2*10, "")
意味:
- A2 が 100 以上 → A2×10 を計算
- A2 が 100 未満 → “”(空白)を返す
空白を返すことで、見た目がスッキリし、
後続の計算や集計の邪魔になりません。
空欄チェック+計算の定番テンプレ
A2 が空欄なら空欄、値があれば計算
=IF(A2="", "", A2*100)
意味:
- A2 が空欄 → 空欄のまま
- A2 に値がある → A2×100 を計算
実務で最もよく使う「空欄なら何もしない」パターンです。
条件不成立で空白にする実務パターン
数値が基準未満なら空白
例:売上が 100,000 未満なら空白、
100,000 以上なら売上×5%を計算。
=IF(B2>=100000, B2*0.05, "")
文字列が一致しないときは空白
例:C2 が「会員」のときだけ割引計算し、
それ以外は空白。
=IF(C2="会員", D2*0.9, "")
計算結果が不要なときは空白にする
例:E2 が 0 のときは空白、
0 以外なら E2×単価を計算。
=IF(E2=0, "", E2*F2)
AND / OR と組み合わせて条件不成立で空白
複数条件を満たしたときだけ計算し、それ以外は空白
例:売上が 200,000 以上 かつ ステータスが「確定」のときだけ計算。
=IF(AND(G2>=200000, H2="確定"), G2*0.05, "")
どれか1つでも一致したら計算、それ以外は空白
例:区分が A または B のときだけ計算。
=IF(OR(I2="A", I2="B"), J2*0.03, "")
エラー回避にも使える「条件不成立で空白」
割り算で分母が 0 のときは空白にする
=IF(K2=0, "", L2/K2)
分母が 0 のときにエラーを出さず、空白で処理できます。
IF(“”, “”) を使うときの注意点
“” は「空文字」であり「本当の空白」ではない
見た目は空白ですが、Excel 的には「文字列」です。
ただし、ほとんどの関数は “” を空白として扱うので問題ありません。
数値計算の結果を空白にしたいときは “” を使う
0 を返すと「0」が表示されてしまうため、
見た目をスッキリさせたいときは “” を使います。
条件が複雑なときは AND / OR と組み合わせる
IF の条件部分は TRUE / FALSE を返す式なら何でも OK です。
例題
問題1
A2 が 100 以上なら A2×10 を計算し、
100 未満なら空白を返す式を書いてください。
=IF(A2>=100, A2*10, "")
問題2
B2 が空欄なら空欄を返し、
空欄でないときは B2×5 を計算する式を書いてください。
=IF(B2="", "", B2*5)
問題3
C2 が「会員」のときだけ D2×0.9 を計算し、
それ以外は空白を返す式を書いてください。
=IF(C2="会員", D2*0.9, "")
問題4
E2 が 200,000 以上 かつ F2 が「確定」のときだけ E2×5% を計算し、
それ以外は空白を返す式を書いてください。
=IF(AND(E2>=200000, F2="確定"), E2*0.05, "")
問題5
G2 が「A」または「B」のときだけ H2×3% を計算し、
それ以外は空白を返す式を書いてください。
=IF(OR(G2="A", G2="B"), H2*0.03, "")
まとめ
「条件不成立で空白 → IF(“”, “”)」の基本形はこれだけです。
=IF(条件, 計算式, "")
この型を覚えておけば、
- 空欄なら何もしない
- 条件を満たさないときは空白
- 複数条件を満たしたときだけ計算
- エラー回避のために空白を返す
といった実務のほぼすべてに対応できます。
Excel の計算式を“きれいに見せる”ための必須テクニックなので、
ぜひ自分のシートでも使いこなしてみてください。
