概要
Excel では「NULL(ヌル)」という言葉は直接使いませんが、
実務では “値がない状態” をどう扱うかがとても重要です。
Excel での NULL 相当は主に次の 2 つです。
- 空白セル(本当に何も入っていない)
- 空文字
""(数式の結果としての空白)
これらを正しく判定し、
「未入力ならスキップ」「NULL なら別の値を返す」
といった処理を行うのに最もよく使うのが IF 関数です。
ここでは、NULL(空白)対策を
初心者でも迷わないように丁寧に解説します。
NULL(空白)対策の基本
IF × ISBLANK の基本形
NULL(空白セル)を判定する最も基本的な形はこれです。
=IF(ISBLANK(A2), "空白時の処理", "値がある時の処理")
ISBLANK(A2) が TRUE のとき
→ A2 は本当に空白(NULL 相当)
FALSE のとき
→ 何かしら値が入っている(数値・文字・数式など)
空白ならスキップ、値があれば計算する
典型的な NULL 対策パターン
例:A2 に値が入っていれば 100 を掛けたい。
A2 が空白なら何も表示したくない。
=IF(ISBLANK(A2), "", A2 * 100)
動き:
- A2 が空白 →
""(空白表示) - A2 に値 → 100倍した結果を返す
「未入力の行は無視したい」という場面でよく使います。
空白とエラーを区別したい場合
NULL(空白)だけ特別扱いし、エラーは別処理にする
例:A2 が空白なら「未入力」、
エラーなら「エラー」、
正常なら A2 の値を返す。
=IF(
ISBLANK(A2),
"未入力",
IF(
ISERROR(A2),
"エラー",
A2
)
)
NULL(空白)とエラーをしっかり分けたいときに便利です。
空文字 ""(数式の空白)にも対応する NULL 判定
ISBLANK では判定できない“見た目の空白”を扱う
次のような数式が入っているセルは、見た目は空白ですが ISBLANK では FALSE になります。
=""
この場合は、
LEN(A2)=0 を使うと「空文字」も NULL として扱えます。
=IF(LEN(A2)=0, "空白扱い", "値あり")
空白セルも空文字も両方まとめて NULL とみなしたいときに使います。
NULL を別の値に置き換える(デフォルト値を設定)
空白なら 0、値があればそのまま返す
=IF(LEN(A2)=0, 0, A2)
NULL を 0 や「未入力」などに変換して扱いたいときに便利です。
NULL を含む計算を安全に行う
空白なら計算しない、値があれば計算する
例:A2 と B2 の両方に値があるときだけ掛け算したい。
=IF(OR(LEN(A2)=0, LEN(B2)=0), "", A2 * B2)
どちらかが NULL なら空白を返し、
両方に値があるときだけ計算します。
NULL を含むデータを抽出する(FILTER と組み合わせ)
空白セルだけを一覧化したい
=FILTER(A2:A100, LEN(A2:A100)=0)
空白セルだけを別表にまとめたいときに使えます。
例題
問題1
A2 が空白なら「空白」、値があれば「入力済」と表示したいです。
IF と ISBLANK を使った式を書いてください。
=IF(ISBLANK(A2), "空白", "入力済")
問題2
A2 が空白なら何も表示せず、
値があれば 100 倍して返す式を書いてください。
=IF(ISBLANK(A2), "", A2 * 100)
問題3
A2 が空白なら「未入力」、
エラーなら「エラー」、
それ以外は A2 の値を返す式を書いてください。
=IF(ISBLANK(A2), "未入力", IF(ISERROR(A2), "エラー", A2))
問題4
A2 が空白セルまたは空文字(””)のとき TRUE を返す式を書いてください。
(ヒント:LEN を使う)
=LEN(A2)=0
問題5
A2:A20 の中から、空白セルだけを抽出して一覧にしたいです。
FILTER と LEN を使った式を書いてください。
=FILTER(A2:A20, LEN(A2:A20)=0)
まとめ
「NULL対策 → IF」のポイントは、
- Excel の NULL は「空白セル」または「空文字」
- ISBLANK は“本当の空白”だけ判定
- 空文字も含めて NULL とみなすなら LEN(A2)=0
- IF と組み合わせて「NULLなら〇〇」「値があれば△△」を自由に制御できる
というところにあります。
NULL(空白)を正しく扱えるようになると、
計算ミスや意図しないエラーが一気に減ります。
ぜひあなたの表でも活用してみてください。
