この7日間プランの全体像
このプランは「Java はまったく初めて」「プログラミングもほぼ初めて」という人を想定しています。
毎日 60 分 × 7 日で、コンソール（黒い画面）で動く小さなアプリを作れるレベルまでを目指します。
7日間のざっくりした流れはこうです。
（1）開発環境と「Hello World」
（2）変数・型・計算
（3）条件分岐 if
（4）繰り返し for / while
（5）メソッド（関数）
（6）配列と for の組み合わせ
（7）小さなミニ家計簿（または点数管理）アプリを完成
専門用語はできるだけ噛み砕き、「なぜそうするか」も一緒に説明していきます。
0日目：環境準備（ざっくり）
Javaの実行環境とIDE
超初級では「難しい設定で詰む」とやる気がなくなります。
おすすめは、次のどれかです。
（1）オンラインの Java 実行環境（ブラウザ上でコードを書いて実行できるサイト）
（2）IntelliJ IDEA Community（無料）や Eclipse などの IDE をインストール
（3）VS Code + Java 拡張機能
最初に大事なのは、「Java のコードを書いて、実行ボタンを押すと結果が見える状態」を作ることです。
この説明では、ファイル名を Main.java とし、main メソッドを持ったクラスからスタートする想定で書きます。
1日目：Hello World と「Javaプログラムの形」を理解する
最初の一歩：Hello World
まずは次のコードを Main.java に書いて、実行してみてください。
public class Main {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("こんにちは Java！");
}
}
実行すると、コンソールに
こんにちは Java！
と表示されれば成功です。
ここに出てくる要素を、一つずつ噛み砕きます。
Javaプログラムの基本構造（重要）
上のコードを「入れ物」と「入口」に分けて考えます。
（1）public class Main { ... }
これは「Main というクラス（設計図）です」という宣言です。
Java では、すべてのコードは必ずクラスの中に書きます。
（2）public static void main(String[] args) { ... }
これは「プログラムが最初に実行を開始する場所」です。main メソッドと呼ばれ、ここから処理が始まります。
（3）System.out.println("こんにちは Java！");
これは「画面に文字を表示する命令」です。
println は「print line（行を出力する）」の略で、文字列を表示した後に改行します。
この 3 つをざっくりまとめると、
- クラスの中に
- main メソッドを作って
- その中に処理を書いていく
という形になります。
1日目の練習
以下のように、中身の文字を自分で変えてみましょう。
public class Main {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("私の名前は山田です。");
System.out.println("Javaを勉強中です。");
}
}
複数行の println を使うことで、「上から順番に処理される」という感覚を掴んでください。
2日目：変数とデータ型、計算と文字列結合
変数とは？「名前付きの箱」のイメージ
変数は「値を入れておく箱」に名前を付けたものです。
int age = 25;
これは「age という名前の箱に 25 という整数を入れる」という意味です。
Java では、「何を入れる箱なのか（型）」を必ず前につけます。
代表的なものは次のようなものです。
int整数（小数点なし）double小数ありの数String文字列（テキスト）
数値型の例
public class Main {
public static void main(String[] args) {
int price = 120;
int quantity = 3;
int total = price * quantity;
System.out.println("合計金額は " + total + " 円です。");
}
}
ここでの流れを整理すると、
（1）price に 120、quantity に 3 を入れる
（2）total に price * quantity の結果（360）を入れる
（3）文字列と数値を + でつなげて表示
+ は数値同士なら足し算、文字列が入ると「つなぐ」動きになります。
String型と文字列
文字列は " で囲みます。
String name = "太郎";
System.out.println("こんにちは、" + name + "さん");
"こんにちは、" と name と "さん" がすべてつながって 1 つの文字列になります。
2日目の練習
（1）自分のプロフィールを変数で表現する
public class Main {
public static void main(String[] args) {
String name = "太郎";
int age = 20;
String hobby = "ゲーム";
System.out.println("名前: " + name);
System.out.println("年齢: " + age);
System.out.println("趣味: " + hobby);
}
}
name・age・hobby を自分のものに変えてみてください。
（2）税込み価格を計算する
public class Main {
public static void main(String[] args) {
int price = 100;
double taxRate = 0.1; // 10%
double tax = price * taxRate;
double total = price + tax;
System.out.println("税額: " + tax);
System.out.println("税込価格: " + total);
}
}
int と double の違い、「整数か小数か」を意識してみてください。
3日目：条件分岐 if で「場合分け」する
if文の基本形（重要）
「もし〜なら〜する。そうでなければ〜する」という処理を、Java では if で書きます。
if (条件) {
// 条件が true（真）のときの処理
} else {
// 条件が false（偽）のときの処理
}
例として、「点数が 80 以上なら合格、そうでなければ不合格」を考えます。
public class Main {
public static void main(String[] args) {
int score = 75;
if (score >= 80) {
System.out.println("合格");
} else {
System.out.println("不合格");
}
}
}
ここで score >= 80 が条件です。>= は「以上」、他にも
>より大きい<より小さい<=以下==等しい!=等しくない
といった比較演算子があります。
else if で条件を増やす
複数のランク分けもできます。
public class Main {
public static void main(String[] args) {
int score = 75;
if (score >= 80) {
System.out.println("Aランク");
} else if (score >= 60) {
System.out.println("Bランク");
} else {
System.out.println("Cランク");
}
}
}
上から順に条件がチェックされ、最初に当てはまったところのブロックだけが実行されます。
偶数・奇数を判定する
public class Main {
public static void main(String[] args) {
int num = 7;
if (num % 2 == 0) {
System.out.println("偶数です");
} else {
System.out.println("奇数です");
}
}
}
% は「割り算の余り」を表します。
2 で割った余りが 0 なら偶数、1 なら奇数です。
3日目の練習
（1）年齢によるメッセージ
- 20歳以上: 「大人です」
- 13〜19: 「ティーンです」
- 12以下: 「子どもです」
public class Main {
public static void main(String[] args) {
int age = 16;
if (age >= 20) {
System.out.println("大人です");
} else if (age >= 13) {
System.out.println("ティーンです");
} else {
System.out.println("子どもです");
}
}
}
age の値をいろいろ変えて試してみてください。
4日目：繰り返し for と while で「同じ処理を何度も」
for文の基本形（重要）
for は「回数がはっきりしている繰り返し」に向いています。
for (int i = 0; i < 5; i++) {
System.out.println(i);
}
この意味を分解すると、
（1）int i = 0; でカウンタ変数 i を 0 で初期化
（2）i < 5 の間だけループする（true の間）
（3）1 回ループするごとに i++（i を 1 増やす）
結果は 0〜4 までが順番に表示されます。
合計値を求める典型パターン
1〜10 までの合計を求める例です。
public class Main {
public static void main(String[] args) {
int sum = 0;
for (int i = 1; i <= 10; i++) {
sum = sum + i;
}
System.out.println("合計: " + sum);
}
}
このパターンは今後何度も使います。
- ループの外で sum を 0 で用意
- ループ内で sum に少しずつ足していく
- ループが終わったら結果を使う
while文との違い
while は「いつ終わるか条件次第」の繰り返しに向いています。
int i = 0;
while (i < 5) {
System.out.println(i);
i++;
}
for とほぼ同じ動きですが、
- 初期化
- 繰り返し条件
- 更新処理
を別々に書くイメージです。
4日目の練習
（1）1 から 100 までの中で、3 の倍数だけ表示する
public class Main {
public static void main(String[] args) {
for (int i = 1; i <= 100; i++) {
if (i % 3 == 0) {
System.out.println(i);
}
}
}
}
if と for を組み合わせる感覚を掴んでください。
5日目：メソッド（関数）で処理に名前をつける
メソッドの基本形（重要）
メソッドは「処理のまとまりに名前をつけたもの」です。
Java ではクラスの中に定義します。
public class Main {
public static void hello() {
System.out.println("こんにちは！");
}
public static void main(String[] args) {
hello();
hello();
}
}
ここでのポイントは、
public static void hello()がメソッド定義- main の中で
hello();と書くとその処理を呼び出せる
「定義」と「呼び出し」は別、という感覚が大事です。
引数付きメソッド
値を渡して、その値を使った処理をさせることもできます。
public class Main {
public static void greet(String name) {
System.out.println("こんにちは、" + name + "さん");
}
public static void main(String[] args) {
greet("太郎");
greet("花子");
}
}
String name が「外から渡される値」の受け取り口です。
戻り値があるメソッド
計算した結果を呼び出し元に返したいときは、戻り値を使います。
public class Main {
public static int add(int a, int b) {
int result = a + b;
return result;
}
public static void main(String[] args) {
int sum = add(3, 5);
System.out.println("合計: " + sum);
}
}
ここで重要なのは、
- メソッドの戻り値の型（
int）を宣言する - 最後に
returnで値を返す voidは「何も返さない」という意味
という 3 点です。
5日目の練習
（1）税込み価格を計算するメソッド
public class Main {
public static int calcTaxIncluded(int price) {
double taxRate = 0.1; // 10%
double result = price * (1 + taxRate);
return (int)result; // 小数点以下を切り捨て
}
public static void main(String[] args) {
int price = 1000;
int finalPrice = calcTaxIncluded(price);
System.out.println("税込価格: " + finalPrice + " 円");
}
}
（2）点数からランクを返すメソッド
public class Main {
public static String getRank(int score) {
if (score >= 80) {
return "A";
} else if (score >= 60) {
return "B";
} else {
return "C";
}
}
public static void main(String[] args) {
System.out.println(getRank(85));
System.out.println(getRank(70));
System.out.println(getRank(50));
}
}
if とメソッドを組み合わせることで、「判定ロジック」を部品化しています。
6日目：配列で「複数の値」をまとめて扱う
配列の基本
配列は「同じ種類のデータをまとめる箱」です。
int[] scores = {80, 90, 70};
3 つの整数をひとまとめにしています。
1 要素ずつ取り出すには、インデックス（番号）を使います。
System.out.println(scores[0]); // 80
System.out.println(scores[1]); // 90
System.out.println(scores[2]); // 70
インデックスは 0 から始まることに注意してください。
配列と for の組み合わせ（重要）
配列の中身を全部処理するとき、for 文とセットで使うのが定番です。
public class Main {
public static void main(String[] args) {
int[] scores = {80, 90, 70, 100};
int sum = 0;
for (int i = 0; i < scores.length; i++) {
sum = sum + scores[i];
}
double average = (double)sum / scores.length;
System.out.println("合計: " + sum);
System.out.println("平均: " + average);
}
}
ここでの重要ポイントは、
scores.lengthで「要素の数」が分かるscores[i]で i 番目の要素にアクセス- ループで少しずつ合計していく
という 3 つです。
6日目の練習
（1）名前リストに挨拶する
public class Main {
public static void main(String[] args) {
String[] names = {"太郎", "花子", "次郎"};
for (int i = 0; i < names.length; i++) {
System.out.println("こんにちは、" + names[i] + "さん");
}
}
}
（2）配列とメソッドの組み合わせ
public class Main {
public static int sum(int[] nums) {
int total = 0;
for (int i = 0; i < nums.length; i++) {
total += nums[i];
}
return total;
}
public static void main(String[] args) {
int[] data = {5, 10, 15};
int result = sum(data);
System.out.println("合計: " + result);
}
}
配列をメソッドに渡して、処理結果だけ返してもらう形です。
「データ」と「処理」を分け始める最初の一歩になります。
7日目：ミニ家計簿（または点数管理）アプリを作る
作るアプリのイメージ
コンソールベースですが、こんな機能を持つミニアプリを作ってみます。
- 複数の金額データを配列に持つ
- 合計と平均を計算して表示
- 一定金額以上なら「使いすぎ注意」を出す
まずは「固定データ版」で OK です。入力機能などは中級で扱えばいいので、
ここでは「配列＋for＋メソッド＋if を全部まとめて使う」ことを目標にします。
コード例：簡易支出サマリー
public class Main {
public static int sum(int[] nums) {
int total = 0;
for (int i = 0; i < nums.length; i++) {
total += nums[i];
}
return total;
}
public static double average(int[] nums) {
int total = sum(nums);
return (double)total / nums.length;
}
public static void checkSpending(int total) {
if (total >= 50000) {
System.out.println("今月は支出が多めです。見直しを検討してください。");
} else {
System.out.println("支出は比較的おさえられています。");
}
}
public static void main(String[] args) {
int[] expenses = {1200, 800, 5600, 10000, 20000};
int total = sum(expenses);
double avg = average(expenses);
System.out.println("支出合計: " + total + " 円");
System.out.println("平均支出: " + avg + " 円");
checkSpending(total);
}
}
このコードには、これまで学んだ要素がすべて詰まっています。
- 配列
expenses - 合計を出すメソッド
sum - 平均を出すメソッド
average（中で sum を再利用） - total による条件分岐
checkSpending
そして main では、
- データ（配列）を用意し
- ロジック（メソッド）に渡し
- 結果を表示する
という流れになっています。
コードの読み方のコツ
上から行単位で読むのではなく、
（1）データ：int[] expenses に何が入っているか
（2）処理：sum と average と checkSpending は何をしているか
（3）つなぎ：main がそれらをどう組み合わせているか
という「役割」で分けて読むと理解しやすくなります。
この7日で身についた「核」と次のステップ
ここまでの 7 日間で、あなたは次の Java の基礎を押さえました。
- クラスと main メソッドの形
- 変数・型（int / double / String）
- 四則演算と文字列結合
- if / else / else if による条件分岐
- for / while による繰り返し
- メソッドの定義と引数・戻り値
- 配列とループの組み合わせ
これは Java に限らず、多くの言語で共通する「プログラミングの土台」です。
次のステップとしては、例えばこんな方向があります。
（1）Scanner を使ってコンソールから入力できるようにする
（2）クラスを自分で定義して「オブジェクト指向」の入口を覗く
（3）配列ではなく ArrayList を使って、柔軟なリストを扱ってみる
（4）JavaFX や Swing で、GUI（ウィンドウ付き）のアプリに挑戦する
